Last-modified: 2021-08-01 (日) 00:01:27 (48d)

【P-47】(ぴーよんじゅうなな)

Republic P-47"Thunder bolt(サンダーボルト)".

リパブリック?社が提案し開発された、アメリカ陸軍航空隊重戦闘機。"Jug(ジャグ)*1"の愛称でも知られる。
1940年6月に P&W/R2800 空冷エンジンを装備する戦闘機の計画がきっかけとなって開発が始まった。

スーパーチャージャーを装備し、優れた高高度性能をもつ防空戦闘機として設計されたのだが、肝心のエンジンがあまりにも大き過ぎたため、当時の常識を超越するほど大柄な機体に仕上がってしまった。

配備初期、パイロットからは「戦闘機の概念を覆された」として、まるで怪物のように扱われた。
特にイギリス軍には「敵の銃弾を避けて逃げ回れるほどコックピットが広い」と、揶揄されたりもした。

しかし、恐ろしく頑丈で機体を蜂の巣にされても平然と飛行でき、胴体着陸にもびくともしなかった上に、上昇率やロールレートも良好であったことから、扱いに慣れるにつれて多くのパイロットから「落ちない飛行機」として気に入られ、敬意の念を持って迎えられるようになった。
なかにはP-51以上に評価する者もいた。

後に様々なタイプが製作され、なかでも長距離飛行を可能としたD型やN型はヨーロッパ戦線・太平洋戦線などで爆撃機の護衛として活躍したほか、とりわけP-51の登場後は大きなペイロードを活かし、翼下にロケット弾爆弾を多数搭載した戦闘爆撃機としても活躍している。

現在も多くの機体が残っており、このうち数機が飛行可能な状態で保存されている。

関連:ヤーボ F-84

スペックデータ

P-47D-30
乗員1名
全長11.00m
全高4.47m
翼幅12.42m
翼面積27.87
空虚重量4,535kg
総重量5,774.48kg
最大離陸重量7,938kg
発動機P&W R-2800-59B「ダブルワスプ」空冷星形複列18気筒×1基
出力2,600馬力(1,938kW)
速度
(最高/巡航)
697km/h(高度8,839m)/ 542km/h
戦闘行動半径1,290km
航続距離2,900km(フェリー時)/3,060km(増加タンク使用)
上昇限度12,500m
上昇率16.15m/s
翼面荷重207kg/
パワー/マス335W/kg
固定武装ブローニングM2 12.7mm機関銃×8門(弾数3,400発)
爆装翼下に最大1,100kgの兵装を搭載可能。
2,500ポンドまでの爆弾
5インチ(127mm)無誘導ロケット弾×10発


F-47N(P-47N)
乗員1名
全長11m
全高4.48m
翼幅12.95m
翼面積29.91
空虚重量4,997kg
プロペラCURTISS ELECTRIC C.S. No.836-14C2-18-R1 4枚翅
(ブレード直径:3.96m、ブレード面積:12.33屐
発動機P&W R-2800-59B「ダブルワスプ」空冷星形複列18気筒×1基
ミッションベーシックインターセプターフェリー
離陸重量9,452kg8,104kg9,452kg
戦闘重量6,860kg7,384kg6,860kg
搭載可能燃料機体内燃料タンク:557gal (2,108リットル)
落下増槽タンク:110gal(416リットル)×1基 + 165gal(625リットル)×2基
計997gal(3,774リットル)
外部燃料搭載量440gal
(1,666リットル)
-440gal
(1,666リットル)
最高速度
(高度10,688m時)
735km/h720km/h735km/h
上昇能力
(海面高度)
18.69m/s16.61m/s18.69m/s
実用上昇限度12,939m12,649m12,939m
航続距離*23,158km-3,547km
戦闘行動半径1,482km843km-
固定武装AN/M2 12.7mm機関銃×8門(弾数計4,000発)
外部兵装1,000/500/250/100lbs爆弾×3発から最大1,361kg + HVARロケット弾×10発


派生型

  • XP-47(AP-10):
    AP-4計画に基づく重戦闘機原型機。計画中止。

  • XP-47A:
    AP-10計画に基づく軽戦闘機原型機。
    アリソン V-1710液冷エンジンを搭載し、12.7mm機関銃2丁を装備した。
    計画中止。

  • XP-47B:
    XR-2800「ダブルワスプ」空冷エンジン(出力1,650hp)を搭載した防空戦闘機原型。

    • P-47B:
      XP-47Bでの欠点を改善した初期生産型。エンジンはR-2800-21(出力2,000hp)を搭載。
      12.7mm機銃×8丁を装備。

    • RP-47B:
      ポートインタークーラーベントにカメラを取り付けた写真偵察機型。
      少数機が改造されていたが、1944年にすべてのP-47Bに適用された。

  • P-47C:
    P-47Bの不具合を改善した改良型。
    動翼の強度向上やターボチャージャー制御器のアップグレードなどが図られている。

    • P-47C-1:
      胴体延長やオイルクーラー排気口・ブレーキ・着陸装置・電気系統などに改修を加えた型。

    • P-47C-2:
      胴体下部に爆弾架を装備した型。
      200ガロンの増槽または500ポンド爆弾を搭載可能。

    • P-47C-5:
      最多量産型。
      エンジンは水エタノール噴射装置付きのR-2800-59(出力2,300hp)を搭載。

  • P-47D:
    主要生産型。
    エンジンはR-2800-21W(出力2,300hp)かR-2800-59W(出力2,540hp)を搭載。

    • P-47D-1〜D-11:
      カウルフラップの増加やエンジンの換装および燃料・油圧系統の改良、コックピットに装甲板を追加した型。

      • P-47D-2:
        ターボチャージャーシュラウドを外した型。

      • P-47D-3:
        小改良型。

      • P-47D-4:
        GE C-21スーパーチャージャーと水噴射装置を装備した型。

      • P-47D-5:
        GE C-21スーパーチャージャーと水噴射装置に加えて、B-7 爆弾/増槽懸架装置を装備した型。

      • P-47D-6:
        電気システムの小改良型。

      • P-47D-10:
        フラップ、冷却システム、燃料・油圧システムを改良した型。
        R-2800-63エンジン(出力2,300hp)と改良されたGE C-23スーパーチャージャーを搭載。

      • P-47D-11:
        水噴射装置を自動噴射方式に変更した型。

    • P-47D-15:
      胴体内燃料容量が増加した航続距離増大型。
      両翼下にもドロップタンクが搭載可能になった。
      また、投棄可能なキャノピーを装備した。

    • P-47D-16〜D-23:
      燃料系統・エンジンサブシステムの改良および投棄可能なキャノピーや防弾風防を装備した型。
      プロペラもより大きなものに換装されている。

      • P-47D-16:
        燃料系統の小改良型。

      • P-47D-20:
        主翼パイロンの改良などが施されたマイナーチェンジモデル。
        エンジンはR-2800-59(出力2,300hp)を搭載。

      • P-47D-21:
        水噴射装置のボタンをスロットルに変更した型。

      • P-47D-22:
        プロペラを直径4.01mのハミルトンスタンダード製24E50-65に変更した型。

      • P-47D-23:
        D-22と同様にプロペラを直径3.96mのカーチス製C542Sに変更した型。

      • サンダーボルトMk.1:
        RAF向けのD-22型に付けられた呼称。
        キャノピーはレイザーバックタイプ(一部機体はマルコムフードタイプを装備)。

    • P-47D-25〜D-30:
      エンジンの改修や燃料容量の増加、エアブレーキの追加などの改修を行った型。

      • P-47D-25:
        XP-47Lをベースにハミルトンスタンダード製プロペラを装備した型。

      • P-47D-26:
        D-25と同様だがカーチス製プロペラを装備した型。

      • P-47D-27:
        改良型水噴射システムとドロップタンク制御、および新しいセルモーターを装備した型。

      • P-47D-28:
        コックピットと無線方向探知機の小改良型。
        カーチス製プロペラを標準装備。

      • P-47D-30:
        ダイブブレーキなどの小改良型。

      • P-47D-40:
        D型の最終モデル。
        垂直尾翼前方にドーサルフィンの追加やK-14照準装置*3を搭載する改修を行った。
        また、尾部警戒レーダーを装備した。
        武装には両翼下に127mm"HVAR*4"用のコンパクトな新型発射器が10基取り付けられた。

      • サンダーボルトMk.2:
        RAF向けD-25/-30/-40型に付けられた呼称。キャノピーはバブルキャノピータイプ。

  • XP-47E:
    P-47Bを改造した試作型。
    P-47C-5用のR-2800-59エンジンや与圧コックピット、新型のハミルトン・スタンダード製プロペラの試験に使用された。

  • XP-47F:
    P-47Bの主翼を層流翼に変更した試作型。

  • P-47G:
    カーチス・ライト社で生産されたP-47C/D初期モデルの呼称。

    • P-47G-1:
      P-47C-1と同様の機体。

    • P-47G-5:
      P-47D-1と同様の機体。若干の改良が施されている。

    • P-47G-10:
      P-47D-5と同様の機体。

    • P-47G-15:
      P-47D-10と同様の機体。

    • TP-47G「ダブルボルト」:
      P-47G-15をタンデム複座のコックピットに改造した練習機型。
      2機試作されたが、生産には至らなかった。

  • XP-47H:
    P-47系唯一の液冷装備型。
    P-47D-15にクライスラーXIV-2200 倒立V型16気筒液冷エンジン(出力2,300hp)とC-5ターボチャージャーを搭載した。試作のみ。

  • XP-47J:
    P-47Dの軽量化改修機。
    強制空冷ファン付きのキツめのカウルに変更し、軽量化された主翼を装備。機関砲を6丁に減らした。
    R-2800-57(C)エンジン(出力2,800hp*5)とGE CH-5ターボチャージャーを搭載した。試作のみ。

  • XP-47K:
    P-47D-5にバブルキャノピーホーカー・タイフーンのものを流用)を搭載した試作機。

  • P-47L:
    P-47D-20にバブルトップ型キャノピーを搭載した試作機。
    燃料搭載量が増加している。

  • P-47M:
    ドイツのV-1飛行爆弾(巡航ミサイル)やジェット戦闘機に対抗するために開発された型。
    R-2800-57(C)エンジン(出力2,800hp)とCH-5 スーパーチャージャーを搭載し、一部機体は機銃を6丁に減じた。
    130機が製造され、Me262を撃墜する戦果を挙げている。

    • YP-47M:
      プロトタイプ。

    • P-47M-1:
      生産型。

  • P-47N:
    太平洋戦域向け長距離型で最終生産型。
    片翼に190リットル(50USG)の燃料タンクが収められた新設計主翼を持つ。
    エンジンはR-2800-77(C)を搭載。

    • XP-47N:
      プロトタイプ。YP-47Mの2号機を改造した。

    • P-47N-1:
      初期生産型。ドーサルフィンを装備する。

    • P-47N-5:
      尾部警戒レーダーの搭載、ロケットランチャースタブ及び無線機の改良を施した型。
      エンジンはR-2800-73(出力2,800hp)を搭載。

    • P-47N-15:
      S-1爆弾投下機やK-14照準器、再設計されたパイロットシートを装備した型。

    • P-47N-20:
      燃料系統と無線機の改良を施した型。

    • P-47N-25:
      コクピットフロアや尾輪のリンケージを再設計した型。
      エンジンはR-2800-73、R-2800-77、またはR-2800-81のいずれかを装備。

    • F-47N:
      アメリカ陸軍航空隊からアメリカ空軍に移管した際の名称。

  • RP-47:
    偵察機型。1機のみ製作。

  • XP-72(AP-19)「スーパーサンダーボルト」:
    R-4360-13「ワスプ・メジャー」を搭載する試作型。
    ドイツのV-1?ミサイルに対抗させる目的で開発されたが、ジェット機の出現により開発中止となり生産には至らなかった。

  • ターボボルト:
    ドイツのジェット戦闘機に対抗するために開発されたP-47のターボジェット型。計画のみ。
    GE J31ターボジェット(後にアリソンJ35に変更)を搭載し、8門の機銃を機首に移設する計画だった。

  • AP-47:
    P-47の混合動力型。提案のみ。
    機首にR-2800エンジン、後部胴体にはウェスティングハウス24Cターボジェットを搭載する予定だった。


*1 ヒンドゥー教の神のジャガーノートから。あるいは、胴体形状が牛乳輸送缶(Milk jug)にそっくりであった事から。
*2 燃料消費量+5%の補正後に算出。
*3 英フェランティ製 GGS Mark.D 演算・ジャイロ式ガンサイトをライセンス生産したもの。
*4 High Velocity Air Rocket.
*5 水メタノール噴射による緊急最大出力。

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