Last-modified: 2017-06-14 (水) 01:30:15 (161d)

【P-38】(ぴーさんじゅうはち)

Lockheed P-38"Lightning(ライトニング)."

1930年代後半にロッキード社が製作し、アメリカ陸軍航空隊が運用していた単座の小型双発戦闘機
1939年1月に試作機のXP-38が初飛行し、9月にはP-38として制式採用された。

高速・重武装の防空戦闘機を目指した結果、機体は双胴型という珍しい形状となったが、それにより高々度での戦闘だけでなく、爆撃偵察にも使えるようになり、汎用性に富んだ機体になった。
また、改修を重ねて燃料タンクの拡張や増槽を装備することで航続距離を伸ばし、長距離を飛ぶ任務に就くことも多かった。

第二次世界大戦時、欧州戦線ではドイツ本土空襲に向かう重爆撃機の主力掩護戦闘機や速度性能を生かした偵察機として活躍し、また高速・重武装を生かした一撃離脱戦法でフランスの鉄道拠点や機関車を集中的に破壊し、ドイツ軍兵士に「双胴の悪魔」と呼ばれた。
太平洋においてもその高速・重武装で活躍し、F6FF4Uに次いで最も多くの日本軍機を撃墜した戦闘機とされている。
特に有名な逸話としては、ブーゲンビル島上空にて連合艦隊司令長官・山本五十六の乗った一式陸上攻撃機を撃墜したことであろう。

米軍のエースパイロットで主に本機に搭乗して戦果を挙げたのは、リチャード・ボング(撃墜数40機)とトーマス・マクガイア(撃墜数38機)が有名。
また、「星の王子様」の作者であるサン・テグジュペリが最後に乗っていたのも本機の偵察機型(F-5)である。

大戦後、各国では双発戦闘機にレーダーを搭載して夜間戦闘機化が図られたが、本機は、外部搭載量は大きいものの、機体内部にほとんど余裕がなく、レーダーを装備するには機外搭載とならざるを得なかったことから早くに退役してしまい、朝鮮戦争には参加していない。

関連:ヤーボ 戦闘攻撃機 ペロ8

スペックデータ

乗員1名
全長11.53m
全高3.00m
翼幅15.85m
翼型NACA? エアフォイル23016/NACA4412
主翼面積30.43
空虚重量5,800kg
運用時重量7,940kg
最大離陸重量9,798kg
発動機アリソンV-1710-111/113 液冷ターボスーパーチャージャー V型12気筒×2基
エンジン出力1,194kW(1,600hp)
最大速度667km/h(高度7,620m時)
航続距離1,770km(1,100海里)/3,640km(2,600海里)(フェリー飛行時)
実用上昇限度13,400m(44,000ft)
最大上昇率1,448m/min
固定武装YP-38/P-38:
T-9 37mm機関砲×1門(弾数15発)
AN/M2 12.7mm機銃×2門(弾数各200発)
AN/M2(ブローニングM1919)7.62mm機銃×2門(弾数各500発)

P-38E以降:
イスパノM2(C)20mm機関砲?×1門(弾数150発(弾薬構成:2 HE, 2 AP, 2 曳光弾))
コルト・ブローニングMG53-2 50口径12.7mm機関銃×4門(弾数各500発)
爆装ロケット弾
M10 3連装112mmロケットランチャー×4基または127mmHVAR*1×10発
爆弾(非ロケット弾搭載時):
2,000ポンド爆弾または1,000ポンド爆弾×2発
500ポンド爆弾または250ポンド爆弾×4発

バリエーション

  • XP-38:
    原型機。エンジンはV-1710-11/15(出力960hp)を搭載。

  • YP-38:
    武装を施した生産前機。エンジンはV-1710-27/29(出力1,150hp)を搭載。
    外側のみであった胴体ブームのラジエーターを両側に装備して冷却能力を高めている。

  • P-38:
    初期生産型。武装は37mm機関砲×1門、12.7mm機銃×4門。
    操縦席後方に防弾鋼板が装備された。

    • XP-38A:
      与圧操縦席としたP-38改修型試験機。

  • P-38D:
    水平安定板取り付け角を変更し、防弾燃料タンクを装着した型。
    この改修により尾部の振動が改善された。

  • P-38E:
    実戦投入を想定し、武装を37mm機関砲から20mm機関砲に変更、プロペラをハミルトン油圧式からカーチス電動式に変換した型。
    210機が生産され、そのうち100機以上が武装をカメラ4台に置き換えたF-4写真撮影偵察機に改造された。

  • P-38F:
    爆弾倉を双胴に設置し、空戦フラップを装備した型。
    エンジンはV-1710-49/53(出力1,330hp)を搭載。527機生産。

  • P-38G:
    エンジン出力の強化と性能が向上した通信機を搭載した型。
    エンジンはV-1710-51/55(出力1,325hp)を搭載。1,082機生産。

  • P-38H:
    G型の発動機出力強化型。
    エンジンはV-1710-89/91(出力1,430hp)を搭載。

  • P-38J:
    インタークーラー(中間冷却器)の位置を変更し、電動式ダイブブレーキを装備したタイプ。
    一部機体は複座軽爆撃機に改修された。2,970機生産。

    • ドループスヌート:
      J型の武装を全廃して機首に爆撃手席を設けたパスファインダー(爆撃先導機)型。

    • ミッキー:
      J型に爆撃照準レーダーを搭載した型。

  • P-38K:
    出力向上を図った試作型。
    G型にV-1710-75/77エンジン(1,425hp)を搭載した。

  • P-38L:
    最も多く生産された型で3,923機が生産された。
    爆弾や1,140リットルのドロップタンクを搭載するためのパイロンや油圧ダイブフラップ、補助翼を装備している。
    エンジンはV-1710-111/113(出力1,475hp)を搭載。
    また、生産されたうちの113機はコンソリデーテッド・バルティエンジンを搭載している。

  • P-38L-5:
    コンソリデーテッド社で製作された機体。L型準拠。

  • P-38M:
    レーダーを装備し、レーダー手席を設置した夜間戦闘機型。
    F、K、L型を改修した。

  • TP-38L:
    L型改修の複座練習機型非公式呼称。J型改修のTP-38Jもある。

  • RP-38:
    P-38改修の左右非対称機体による操縦特性調査任務機。

  • RP-38D:
    D型の(米空軍移行後の)改称後呼称。主に偵察任務用

  • RP-38E:
    E型の(米空軍移行後の)改称後呼称。主に偵察任務用

  • F-38J:
    J型の(米空軍移行後の)改称後呼称

  • F-38L:
    L型の(米空軍移行後の)改称後呼称

  • F-4:
    E型の写真偵察機改装型。カメラを4台搭載。

  • F-4A:
    F型の写真偵察機改装型。カメラを4台搭載。

  • F-5A:
    G型の写真偵察機改装型。カメラを5台搭載。

  • F-5B:
    J型の写真偵察機改装型。カメラを5台搭載。

  • F-5C:
    カメラ装備を改善した型。

  • XF-5D:
    複座偵察戦闘機に再生されたF-5Aの呼称。

  • F-5E:
    F-5Cに改装されたP-38JまたはP-38Lの改称後呼称。

  • F-5F:
    カメラ装備をF-5C準拠に改修した後のF-5Bの呼称。

  • F-5G-6:
    P-38L-5を改装した写真偵察機改装型。

  • XP-49:
    コンチネンタルXIV-1430-9/11エンジン搭載の強化型原型。生産されず。

  • XP-58:
    V-3420-11/13エンジン(出力2,600hp)搭載の拡大型原型。生産されず。


*1 High Velocity Aircraft Rocket.

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