Last-modified: 2021-08-28 (土) 19:22:34 (50d)

【P-2】(ぴーつー)

Lockheed P-2"Neptune(ネプチューン)"

ロッキード*1が1940年代に開発した対潜哨戒機
第二次世界大戦時に使用されていたPV-1「ヴェンチュラ」/PV-2「ハープーン哨戒爆撃機の後継として1943年から開発され、1945年に試作機が初飛行
1947年からアメリカ海軍で運用が開始された。

機体はライト社製のR-3350エンジンを搭載する中型クラスの双発機であったが、補助推進機関としてターボジェットエンジン2基を搭載している。
乗員は7名で、武装には魚雷2発または爆雷12発のほか、防御用に12.7mm機関銃を装備した。
その後完成した生産型では、主翼下にロケット弾を搭載できるハードポイントが追加されている。

第二次世界大戦中の就役には間に合わなかったが、朝鮮戦争ベトナム戦争など1950年代以降のアジア地域での争乱では当機の能力を存分に発揮し、米海軍だけでなく西側諸国の対潜哨戒機として多数が配備されることになった。
日本でもP2V-7*2川崎航空機によってノックダウン生産およびライセンス生産されたほか、エンジンをターボプロップに改良したP-2J*3も生産された。
日本で運用された本機は、1994年に退役するまで生産・配備された83機全機が無事故を達成している*4

後継機であるP-3の導入により、1980年代には各国軍から順次退役したが、払い下げられた機体の一部は現在も少数機が消防機として使用されている。

関連:P-3 第十雄洋丸事件

主な採用国

主な配備先(P-2J)

  • P-2J
    • 自衛艦隊航空集団
      • 第1航空群第1航空隊
      • 第1航空群第7航空隊
      • 第2航空群第2航空隊
      • 第2航空群第4航空隊
      • 第4航空群第3航空隊
      • 第5航空群臨時沖縄航空隊→沖縄航空隊→第5航空隊
      • 第51航空隊第511飛行隊
    • 鹿屋教育航空群
      • 第203教育航空隊
    • 下総教育航空群
      • 第205教育航空隊
  • UP-2J
    • 自衛艦隊航空集団
      • 第51航空隊→第61航空隊→第31航空群→第81航空隊
  • VSA

スペックデータ

形式P-2H/P2V-7P-2J
乗員7〜9名10〜12名
全長27.94m29.23m
全高8.94m8.93m
翼幅31.65m30.87m
主翼面積92.9
自重22,650kg19,278kg
最大離陸重量35,240kg34,020kg
エンジンライト R-3350-32W「サイクロン」
空冷星型複列18気筒×2基
GET64-IHI-10?ターボプロップ×2基
補助エンジンWH J34-WE-34?ターボジェット×2基IHI J3-IHI-7Cターボジェット×2基
エンジン出力3,700shp(2,759kW)(R-3350-32W)
15.1kN(3,400lbf)(J34)
2,850shp(2,125kW)(T64-IHI-10)
13.7kN(3,085lbf)(J3-IHI-7C)
速度
(最大/巡航
586km/h / 333km/h650km/h / 402km/h
航続距離3,540km4,445km
実用上昇限度6,827m9,150m
上昇率-548m/min
兵装胴体爆弾倉に最大3,600kgまでの兵装を搭載可能。
無誘導爆弾
航空対潜魚雷×2発または対潜爆雷×12発
2.75in(70mm)FFAR
リムーバブルウィングマウントポッド
ロケット弾8発)
Mk.44ホーミング魚雷×4発
または
対潜爆雷×16発
5in(128mm)無誘導ロケット弾×16発


派生型(カッコ内は生産機数および改称後名称)

  • XP2V-1(2機):
    試作原型機。
    エンジンはライトR-3350-8(出力2,300hp)を搭載。

  • P2V-1(14機):
    XP2V-1に翼下ハードポイントを追加した前量産型(初期量産型)。
    エンジンはライトR-3350-8Aを搭載。
    主翼下に127mmHVARまたは300mm「テイニー・ティム」ロケット弾用のハードポイントが準備されている。
    15機製造のうち1機はXP2V-2に改造。

  • XP2V-2(1機):
    1型のエンジンを水噴射装置付きのライトR-3350-24W(出力2,800hp)に換装した改良型試作原型機。

  • P2V-2(81機):
    ソノブイの搭載能力を付与された改良量産型。
    エンジンはR-3350-24Wを搭載。
    最初の8機は「ベル」尾部ターレット(12.7mm機関銃×2挺)を装備し、残りの機体は「エマーソン」尾部ターレット(20mm機関砲×2門)を装備する。

  • P2V-2N「ポーラベアー」(2機):
    「プロジェクトスキージャンプ」で改修された極地探検型。
    長さ4.9mのアルミ製スキー脚とJATO用ロケット、磁気捜索装置を装備。

  • P2V-2S(1機):
    AN/APS-20捜索レーダーを搭載した早期警戒機型原型機。

  • P2V-3(53機):
    エンジンをライトR-3350-26W(出力3,200hp)に換装した量産型。

  • P2V-3B(P-2C)(16機):
    近接支援評価用にASB-1レーダー爆撃システムを装備した型。

  • P2V-3C(12機):
    核兵器搭載能力を持つ空母搭載改修型。
    対潜機材や尾部砲塔、機首の機関砲を撤去しJATOロケットを装備。
    Mk.1(リトルボーイ)核爆弾を搭載した。

  • P2V-3W(30機):
    AN/APS-20捜索レーダーを搭載する早期警戒機型。

  • P2V-3Z(2機):
    座席を6席追加したVIP輸送機型。

  • P2V-4(P-2D)(52機):
    早期警戒機改造型。
    エンジンをR-3350-30Wに換装し、翼端燃料タンクを設置した。

  • P2V-5(424機):
    改良型。
    エンジンはライト R3350-30W(3,250hp)を搭載し、翼端タンクや機首捜索員席、MADを追加装備した。

  • P2V-5F(P-2E):
    5型に補助用のウエスティングハウス? J34ターボジェット(出力14.5kN)2基を追加装備した型。

    • P2V-5FD(DP-2E):
      5F型の無人標的機管制機型。

    • P2V-5FE(EP-2F):
      5F型の電子偵察機型。

    • P2V-5FS(SP-2E):
      5F型にジュリー/ジェジベルASW装置を搭載した型。
      AQA-3長距離音響捜索装置とジュリー音響測深機を装備する。

    • AP-2E(RP-2E):
      ベトナム戦争中にアメリカ陸軍で使用された電子偵察機SIGINT/ELINT)型。

    • NP-2E:
      試験機型。

    • OP-2E(12機):
      ベトナム戦争中に行われた電子戦作戦「イグルー・ホワイト」で使用された型。
      機首の地形回避レーダーチャフディスペンサー、主翼ガンポッドを装備していた。

    • ネプチューンMR.1(52機):
      P2V-5に準ずる英国向け機体の英軍呼称。

  • P2V-6(P-2F)(83機):
    機雷投下および偵察機型。エンジンはR3350-32W(3,500hp)を搭載。
    爆弾倉は拡大され、翼端タンクを装備している。

  • P2V-6M(16機):
    AQM-41(AUM-N-2)"Petrel"空対艦ミサイル搭載型。P2V-6Bより改称。

  • P2V-6F(P-2G):
    6型にJ-34ターボジェットエンジン2基を追加した型。

  • P2V-6T(TP-2F):
    機上作業練習機型。

  • P2V-7(P-2H)(311機):
    6F型の改良型で最終モデル。

  • CP-122「ネプチューン」:
    P2V-7に準ずるカナダ向け機体の呼称。

  • P2V-7B(15機):
    機首捜索員席を撤去し20mm機関砲×4基を装備したオランダ向け機体。

  • P2V-7S(SP-2H):
    対潜器材を改良し、音響捜索装置を搭載した型。

  • P2V-7LP(LP-2J)(4機):
    スキー脚を装備する極地探検用機。

  • DP-2H:
    7型の無人標的機管制機改修型。

  • EP-2H(1機):
    7型改造の特殊偵察機型。

  • NP-2H(1機):
    7型の特殊試験機改修型。

  • P2V-7U(RB-69A)(5機+2機改修):
    CIAが海軍から7型を購入し、アメリカ空軍に運用を委託した電子偵察機*5
    実際の運用は台湾(中華民国)空軍に再委託され*6、中華人民共和国や北朝鮮に対する隠密偵察飛行に投入されていた。

  • AP-2H(4機):
    対地レーダーを装備するガンシップ型。

川崎航空機でのライセンス生産型

  • P2V-7改(1機):
    P2V-7を川崎航空機で改修した型。
    エンジンはターボプロップ化され、胴体が延長されている。

  • P-2J(82機):
    P2V-7改に準ずる海上自衛隊向け量産型。
    愛称は「おおわし」。

  • UP-2J(2機):
    多用途機型。後にU-36Aに更改。

    • 9161号機:
      「ファィアビー」高速標的機発進装置とスリーブ型ターゲット曳航装置を搭載。
      さらに艦艇搭載用電子戦機器の評価用に対艦ミサイルを模擬したミサイルシーカー・シミュレータ装置も装備した。

    • 9162号機:
      電子戦訓練機型。
      スリーブ型ターゲット曳航装置のほか、訓練用ECM装置とデータレコーダーを装備。
      艦艇のレーダーに対し電波妨害を行うことで艦艇部隊の電子戦訓練を支援する。

  • UP-2J(E)(2機):
    外国艦艇等の電波諸元等を収集するための電子戦データ収集装置を装備したELINT機型。
    後にEP-3に更改。

  • VSA*7(P2V-7改):
    可変特性実験機。
    機首に試験用の標準ピトー管が設置された以外に外見上の違いは無い。


*1 もともとはロッキード社に合流する前のベガ・エアクラフト社が開発していた機体である。
 そのため、当初の型式記号もロッキード社の「O」ではなく「V」が与えられていた。

*2 型式はアメリカでの機体命名法変更後も「P2V-7」のままだった。
 これは対潜ヘリコプターHSS-2対潜機S2F陸上自衛隊HU-1と同様である。

*3 本機は、P-3B並みのハードを備えていたとされる。
*4 これは軍用機としては極めて珍しいケースだという。
*5 海軍では「多用途機」、空軍では「爆撃機から改造された無線訓練機」という名目になっていた。
*6 正規のアメリカ軍将兵が乗り組んだ機体が敵地で墜落不時着すると、外交的な失点になるリスクがあったため。
*7 Variable Stability Test Aircraftの略。

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