Last-modified: 2017-01-14 (土) 11:55:58 (192d)

【OV-10】(おーぶいじゅう)

North American OV-10"Bronco(ブロンコ)"

アメリカのノースアメリカン社が1960年代に開発したCOIN機観測軽攻撃機)。
従来、海兵隊で使用されてきたセスナOE-1「バードドッグ」観測機、空軍が用いていたA-1「スカイレイダー」攻撃機及びA-26「インベーダー」?中型爆撃機の代替となる機体として*1「LALA(軽武装偵察航空機)」計画の名称で開発が進められ、1965年に初飛行した。

主翼直線翼を高翼配置とし、後部胴体は主翼に付けられた双発のエンジンポッドから延びる双ブーム形式、両ブーム尾端には垂直安定板を立て、その上端を水平安定板が結ぶという、独特のスタイルとなっている。
コックピットタンデム複座型で、アルミ合金装甲板が張られている。
また、キャノピーは2cm厚の防弾ガラス製で、操縦席からの下方視界を良くするために大きく取られている。

コックピット後方の胴体ポッド内は貨物室となっており、空挺隊員5名または担架2床と衛生兵1名、1,451kgまでの貨物を搭載できるようになっている。
なお、空挺隊員や貨物などを空中投下する場合は、飛行前に予め整流カバーを兼ねたドアを外す必要があった。

武装としては、胴体下面左右のスポンソンに20mm機関砲M60 7.62mm機関銃を装備したガンポッドを搭載できるほか、前線統制任務に使用する発煙ロケット弾偵察ポッドなども搭載できるようになっている。
また、主翼下面外翼部にはそれぞれ各1基のハードポイントが設置され、自衛用のサイドワインダーAAMや通常爆弾も搭載できる。

現在、アメリカ空軍ではA/OA-10A「サンダーボルトII」、海兵隊ではF/A-18「ホーネット」と代替されて全て退役している。
退役した機体の一部は、民間の消防機として消火剤を搭載した航空機への前線航空管制や森林地帯での偵察に使用されているほか、NASAでも実験機として使用されている。

アメリカのほか、西ドイツやインドネシア、フィリピン、タイなどに輸出された。

スペックデータ

乗員2名+兵員6名
全長13.41m
全高4.62m
全幅12.19m
主翼面積27.0
空虚重量3,127kg
最大離陸重量6,563kg
エンジンギャレットT-76G-10/12ターボプロップ(出力533kW)×2基
ギャレットT76-G-420/421ターボプロップ×2基(OV-10C)
最大速度250kt
海面上昇率920m/min
実用上昇限度9,145m
航続距離1,240nm(フェリー時)
戦闘行動半径200nm
ハードポイント胴体下面中央×1基(最大1,200ポンド)
胴体スポンソン下面×4基(各最大600ポンド)
主翼外側パイロン×2基
兵装M60C 7.62mm機銃×4挺(胴体左右スポンソン内に各2連装)
M18/SUU-1A/AおよびB/Aガンポッド(胴体スポンソン下面および胴体中央)
Mk4.Mod.0 20mmガンポッド(胴体中央ステーション) *2
M197 20mm3砲身機関砲ターレット(試作のみ)
AIM-9「サイドワインダー」AAM
LAU-59/A「マイティマウス」ロケット弾ポッド(弾数7発)
LAU-33A/A「ズーニー」ロケット弾ランチャー(弾数2発)
PMBR MK24パラシュートフレア弾ランチャー(弾数6発)
クラスター爆弾
通常爆弾
AERO 1C ドロップタンク
電子装備
防御装備
AN/AIC-18 機内交話装置
AN/ARC-51BX UHF-AMラジオ
807A VHF-AMラジオ
FM-622 VHF-FMラジオ
HF-103 HF-SSBラジオ
AN/ASN-75磁気コンパス
AN/ARN-52(V) TACAN
AN/ARA-50 UHF自動方位探知器(ADF)
AN/ARN-83 LF-ADF
51R6 VOR/INS
51V-4A INSグライドスロープ・レシーバー
電波高度計(アメリカ海兵隊向け)
KB-18Aストライクカメラ(アメリカ空軍向け)

ALQ-144「ディスコライト」IRジャマー×1基(胴体上面)
各種フレアディスペンサー


派生型(カッコ内は生産機数)

  • YOV-10A(7機):
    試作型。
    エンジンはP&W T74ターボプロップを搭載。

  • YOV-10D(1機):
    アメリカ海兵隊が開発した夜間観測機型の試作型。
    YOV-10A試作2号機を改造した。

  • OV-10A(271機):
    初期生産型。
    少数機がモロッコ空軍機として輸出されている。

  • OV-10B(6機):
    旧西ドイツ空軍で使用された標的曳航機型。
    胴体スポンソンが廃止され、標的曳航装置を胴体側面に追加。
    標的観測のため後部ドアを透明な風防へ換装している。

  • OV-10B(Z)(12機*3):
    上記の西ドイツ空軍が購入した機体の胴体背面に、J85-GE-4?エンジンポッド形式で追加した型。
    最大速度が341ktへ向上した。

  • OV-10C(32機):
    タイ空軍向けの生産型。
    基本構成はA型に準じるが、エンジンはD型と同様にT76-G-420/421を搭載している。
    また、主翼下パイロンが廃止され、後部座席下面にKB-18A ストライクカメラを生産時から搭載している。
    2004年に複数機がフィリピン空軍へ寄贈されている。

  • OV-10D:
    アメリカ海兵隊が開発した夜間観測機型。
    機首にAN/AAS-37前方監視赤外線/レーザー目標指示/自動ビデオ追跡装置、ALQ-144赤外線妨害装置を搭載、半球形のセンサー収容部が機首下面に張り出している。
    また、追加した電子機器の冷却のため機首左右にラムエア・インテークが追加された。
    エンジンは、出力強化型のT76-G-420/421へ換装された。

  • OV-10D+:
    アメリカ海兵隊のOV-10AをOV-10D仕様へ改修した型。
    航空母艦での運用を考慮し、機体フレームの強化や搭載電子機器類の新型化なども行われている。

  • OV-10E(16機):
    ベネズエラ空軍向けの生産型。
    基本構成はA型に準じるが、各種通信機器の換装が行われている。

  • OV-10F(16機):
    インドネシア空軍向けの生産型。

  • OV-10G:
    韓国空軍向けの生産型。

  • OV-10T:
    ノースアメリカンが小型戦術輸送機としてアメリカ空軍へ提案したモデル。
    胴体幅を1.5m程度へ拡大したものが計画されたがペーパープランのみとなる。

  • OV-10X:
    LAAR計画へボーイングが提案した、OV-10の近代化改修モデル。

この他、CAL FIRE*4にて1993年からアメリカ軍払下げ機を消防機(観測/指示)としても運用している。


*1 当初は、陸軍も独自の近接航空支援機の必要性から開発に参加していたが、空軍からの反対により計画から降りている。
*2 海兵隊/海軍仕様機のみ。
*3 実際に搭載されたものはごく一部と思われる。
*4 California Department of Forestry and Fire Protection.

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