Last-modified: 2016-01-31 (日) 10:53:52 (687d)

【OH-58】(おーえいちごじゅうはち)

Bell OH-58 Kiowa(カイオワ)
アメリカ陸軍が運用している観測ヘリコプター

本機のルーツは、H-13「スー」の後継として陸軍が1960年代に提示したLOH*1計画までさかのぼる。
このときベル社が試作機として供した「YOH-4A(モデル206)」は、提示価格*2などを理由にしてOH-6Aに敗れた。
しかし、YOH-4Aに可能性を感じていたベル社は、独自に民間型のベル206A「ジェットレンジャー」を開発し、1965年に初飛行させた。
それまでにない流麗な外観と、ターボシャフト採用による高出力、それでいて従来のレシプロヘリコプターと変わらない経済性が評価され、民間タービンヘリコプターの草分け的存在となり、多くの機体が使われ続けている。

一方、本機を退けてLOHとして採用されたOH-6Aが、いざ陸軍に納入されることになると納期や価格などの面で問題を起こしたため、急遽代替の機種が必要とされた。
そこで陸軍は1968年に再度入札をおこない、ジェットレンジャーを軍用に再々設計したOH-58「カイオワ」を採用するに至る。

1981年にはAHIP*3により、改善型のOH-58D「カイオワ・ウォリアー」が開発される。
ローターを複合材の4枚ブレードにし、エンジンを強化して飛行性能を強化するとともに、MMSを取り付け、AH-64などの味方機にデータリンクして観測情報を送信する。
また、初期引渡し分のうち15機は自身も武装することが可能となり、AIM-92空対空ミサイルAGM-114対戦車ミサイル、M260ロケット弾ポッドや12.7mm機銃などを運用することができる。

近年では、OH-58Dをさらに強化した民間型のベル407などが登場し、アメリカを代表するロングセラー機のひとつとなっている。

OH-58Dの発展型としてARH(武装偵察ヘリコプターRAH-66の代案)型のARH-70が開発されていたが、コスト高騰等の理由により開発中止。
現在は延命改修型のOH-58Fが開発されている。

スペックデータ(OH-58D)

乗員2名
全長12.85m
胴体長10.48m
全高3.93m/2.73m(MPLH折り畳み時)
主ローター直径10.67m
回転円盤面積89.4
空虚重量1,492kg
最大離陸重量2,495kg
最大兵装搭載量907kg
エンジンアリソン T703-AD-700ターボシャフト推力485kW)×1基
速度
(最大/巡航)
128kt/114kt
超過禁止速度130kt
燃料容量454リットル
海面上昇率4,875m/min
実用上昇限度4,575m
ホバリング高度限界
(IGE/OGE)
3,050m/2,105m
航続距離223nm
兵装M296 12.7mm機銃
AIM-92 2連装ランチャー×2基(左右1基ずつ。)
M279 2連装ランチャー×2基(左右1基ずつ。AGM-114を搭載。)
M260 7連装ロケット弾ポッド(ハイドラ70 70mmロケット弾を装備)等

主なバリエーション

  • ベル206シリーズ
    • YOH-4A:
      初期試作型。
      以降の機種とは異なり球形の風防機首を持つ。

    • ベル206A「ジェットレンジャー」:
      OH-4Aを改良した民間機型。

    • TH-57A「シーレンジャー」:
      206Aをアメリカ海軍練習機として採用したもの。

    • OH-58A「カイオワ」:
      206Aを再々設計した観測ヘリコプター型。

    • OH-58B:
      オーストリア空軍向け。

    • OH-58C:
      エンジンの換装(アリソン T63-A-720(313kW))や電子機器類のアップグレードが行われた型。
      アメリカ陸軍及びドミニカ共和国が採用した。

    • ベル206B:
      206Aのエンジンを420馬力に強化したタイプ。

    • TH-57B:
      206Bを米海軍が練習機として採用したもの。

    • TH-67「クリーク」:
      206Bを基にした米陸軍用練習機

    • ベル206L「ロングレンジャー」:
      キャビンを延長した7人乗りタイプ。

    • ジェミニST:
      206Lをトライドエア社が双発に改造したもの。

    • ベル206LT:
      ジェミニSTの同等品をベル自ら新規製造したもの。

  • ベル406シリーズ
    • OH-58D「カイオワ・ウォリアー」:
      飛行・観測能力を強化し攻撃力を追加した型。
      エンジンをアリソン T703-AD-720に換装し、トランスミッションの出力も増加、メインローターを複合材料製4枚ブレードへ変更などの改良が施された。
      アメリカ陸軍のほか、台湾陸軍が採用している。

    • OH-58D(I):
      「プライム・チャンス」と呼ばれるD型の武装携行型。
      兵装パイロンが胴体両側面に取り付けられ、トランスミッションの出力が強化されている。
      また、レーダー警戒装置赤外線妨害装置、レーザー探知装置などを追加装備し、乗員の生存性を高めている。

    • ベル406CS「コンバットスカウト」:
      OH-58Dのアビオニクスを制限し、武装を軽装備化した輸出モデル。
      胴体側面にGIAT 20mm機関砲ポッドTOW対戦車ミサイル、70mmロケット弾を装備する。
      サウジアラビア陸軍で13機が使用。

    • OH-58X:
      OH-58D試作4号機を改造した簡易ステルス型。
      機首ターレットのFLIRやリング・レーザー・ジャイロ式INSGPSが追加装備されている。
      1992年に初飛行したが採用はされていない。

    • OH-58F:
      OH-58Dの延命改修型*4として開発中。2013年初飛行。
      アビオニクスが強化され、MMSの代わりに新型FLIRが採用されている。

  • ベル407シリーズ
    • ベル407:
      406を基にエンジン強化や操縦系の自動化などを施した民間向けタイプ。

    • MQ-8C「ファイアスカウト」:
      407の機体にMQ-8?無人偵察ヘリの遠隔操縦システムを組み込んだ米海軍向け無人輸送ヘリ。

  • ベル417シリーズ
  • ベル427シリーズ
    • ベル427:
      417の胴体を延長し、エンジンを双発にしたタイプ。

    • ベル429:
      427の改良型。
      ローターブレードを変更して飛行性能を向上し、1名での計器飛行に対応、クラムシェルドアを追加するなどした。

    • ベル429WLG:
      429に小型のスポンソンを装備して引き込み式ランディングギアを内蔵し、速度性能などを向上させた型。

  • ベル505シリーズ

*1 Light Observation Helicopter:主力軽観測ヘリコプター。
*2 この時にヒューズ社がOH-6を採用させるために提示した額は、本機を下回る非現実的な額だったという。
*3 Army Helicopter Improvement Program:陸軍ヘリコプター改善計画。
*4 損耗分の新規生産予定もあり。

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