Last-modified: 2021-05-07 (金) 11:50:40 (141d)

【OH-58】(おーえいちごじゅうはち)

Bell OH-58 Kiowa(カイオワ).

アメリカ陸軍が運用している観測ヘリコプター

本機のルーツは、H-13「スー」の後継として陸軍が1960年代に提示したLOH*1計画までさかのぼる。
このときベル社が試作機として供した「YOH-4A(モデル206)」は、提示価格*2などを理由にしてOH-6Aに敗れた。
しかし、YOH-4Aに可能性を感じていたベル社は、独自に民間型のベル206Aジェットレンジャー」を開発し、1965年に初飛行させた。
それまでにない流麗な外観と、ターボシャフト採用による高出力、それでいて従来のレシプロヘリコプターと変わらない経済性が評価され、民間タービンヘリコプターの草分け的存在となり、多くの機体が使われ続けている。

一方、本機を退けてLOHとして採用されたOH-6Aが、いざ陸軍に納入されることになると納期や価格などの面で問題を起こしたため、急遽代替の機種が必要とされた。
そこで陸軍は1968年に再度入札をおこない、ジェットレンジャーを軍用に再々設計したOH-58「カイオワ」を採用するに至る。

1981年にはAHIP*3により、改善型のOH-58D「カイオワ・ウォリアー」が開発される。
ローターを複合材の4枚ブレードにし、エンジンを強化して飛行性能を強化するとともに、MMSを取り付け、AH-64などの味方機にデータリンクして観測情報を送信する。
また、初期引渡し分のうち15機は自身も武装することが可能となり、AIM-92空対空ミサイルAGM-114対戦車ミサイル、M260ロケット弾ポッドや12.7mm機関銃などを運用することができる。

近年では、OH-58Dをさらに強化した民間型のベル407などが登場し、アメリカを代表するロングセラー機のひとつとなっている。

軍用機としては、OH-58Dの発展型としてARH(武装偵察ヘリコプターRAH-66の代案)型のARH-70が開発されていたが、コスト高騰等の理由により開発中止。
これらに代わり、延命改修型のOH-58Fが開発されていたがこれも中止。
今後は任務をAH-64EUH-72、または無人機に譲り、順次退役となる見込みである。

スペックデータ(OH-58D)

乗員2名
全長12.85m
胴体長10.48m
全高3.93m/2.73m(MPLH折り畳み時)
主ローター直径10.67m
回転円盤面積89.4
空虚重量1,492kg
最大離陸重量2,495kg
最大兵装搭載量907kg
エンジンアリソン T703-AD-700ターボシャフト推力485kW)×1基
速度
(最大/巡航)
128kt/114kt
超過禁止速度130kt
燃料容量454リットル
海面上昇率4,875m/min
実用上昇限度4,575m
ホバリング高度限界
(IGE/OGE)
3,050m/2,105m
航続距離223nm
兵装M3P(またはM296)12.7mm重機関銃×1基(左側500発)
AIM-92「スティンガー」AAM 2連装ランチャー×2基(左右1基ずつ)
M279 2連装ランチャー×2基(左右1基ずつ。AGM-114「ヘルファイア」を搭載。)
M260 7連装ロケット弾ポッド(ハイドラ70 70mmロケット弾を装備)

主なバリエーション

※民間型はベル206を参照。

  • OH-58A「カイオワ」:
    206Aを再々設計した観測ヘリコプター型。

  • OH-58B:
    オーストリア空軍向け。

  • OH-58C:
    エンジンの換装(アリソン T63-A-720(313kW))や電子機器類のアップグレードが行われた型。
    アメリカ陸軍及びドミニカ共和国が採用した。

  • OH-58D「カイオワ・ウォリアー」:
    飛行・観測能力を強化し攻撃力を追加した型。
    エンジンをアリソン T703-AD-720に換装し、トランスミッションの出力も増加、メインローターを複合材料製4枚ブレードへ変更などの改良が施された。
    アメリカ陸軍のほか、台湾陸軍が採用している。

  • OH-58D():
    「プライム・チャンス」と呼ばれるD型の武装携行型。
    兵装パイロンが胴体両側面に取り付けられ、AIM-92「スティンガー」AAMAGM-114「ヘルファイア」対戦車ミサイル、M260 2.75inロケット弾ポッド機銃ポッドを携行できた。
    また、トランスミッションの出力が強化され、レーダー警戒装置赤外線妨害装置、レーザー探知装置などを追加装備し、乗員の生存性を高めている。
    タンカー戦争では海軍の艦艇に搭載されて、タンカーを狙うイラン革命防衛隊海上部隊のボグハマール*4への夜間攻撃に活躍した。

  • ベル406CS「コンバットスカウト」:
    OH-58Dのアビオニクスを制限し、武装を軽装備化した輸出モデル。
    胴体側面にGIAT 20mm機関砲ポッドTOW対戦車ミサイル、70mmロケット弾を装備する。
    サウジアラビア陸軍で13機が使用。

  • OH-58X:
    OH-58D試作4号機を改造した簡易ステルス型。
    機首ターレットのFLIRやリング・レーザー・ジャイロ式INSGPSが追加装備されている。
    1992年に初飛行したが採用はされていない。

  • OH-58F:
    OH-58Dの延命改修型*5として開発されていた機体。
    コックピットおよびセンサのアップグレードプログラム(CASUP)によりアビオニクスが強化され、MMSの代わりに新型FLIRが採用されている。
    2013年に初飛行したが資金難により開発中止。

    • OH-58F Block.2:
      武装空中偵察機計画(AAS)によるF型の改修案。資金難により2013年に開発中止。


*1 Light Observation Helicopter:主力軽観測ヘリコプター。
*2 この時にヒューズ社がOH-6を採用させるために提示した額は、本機を下回る非現実的な額だったという。
*3 Army Helicopter Improvement Program:陸軍ヘリコプター改善計画。
*4 小型プレジャーボートに機関砲やロケットランチャーを積んだ武装小艇。
*5 損耗分の新規生産予定もあったが、製造されたかどうかは不明。

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