Last-modified: 2022-11-20 (日) 09:02:44 (79d)

【MiG-3】(みーぐとりー)

ОКБ Микояна и Гуревича МиГ-3 / Mikoyan-Gurevich MiG-3.

大祖国戦争(第二次世界大戦)中に登場した、ソ連空軍の制式戦闘機

本項では前身のMiG-1についても解説する。

アルテム・ミコヤンとミカエル・グレビッチの「ミグ」チームに指示された新型戦闘機として試作されたのが「I-200」高高度戦闘機だった。
1段2速過給器付きの「ミクーリン AM-35A」液冷V型12気筒エンジン(出力1,350PS)を搭載、戦時体制の維持のための木金混合構造の本機は、速度性能が重視されたため高翼面荷重、後退コックピットといったスタイルとなった。
しかし、同時期に開発指示が行われていたYak-1?LaGG-3?と比べるとモーターカノン武装が不可であり、火力面で劣った。

完成したI-200は1940年4月に初飛行、試験の結果、高度7,000mで650km/hを発揮し、操縦性、コックピットの居住性*1は悪かったものの、当局はその高性能から本機を採用、「MiG-1」として100機程度が生産された。

その後、実際の運用や風洞試験によって得られた知見をもとに主翼の上反角を増し安定性を向上、ラジエーター位置を前進させ、視界を拡大するために操縦席後方の窓ガラスを拡大、機内燃料タンク増加などの改良を施した機体が「MiG-3」である。
重量増加により全体的な性能は低下したものの、MiG-3は高高度戦闘機として一つの完成形となった。

しかし、1940年後期から実戦投入された本機は、独ソ戦における空中戦のほとんどが低空で発生した事、ドイツが東部戦線に投入した高高度向け航空機がJu 86P偵察機のみであった事で、本来の活躍の場を得られなかった。
また、武装も通常型では貧弱で、両翼下に12.7mmガンポッドを搭載した機体が821機製造されたものの、性能低下を嫌って外した部隊があったという。
また、武装を20mm機関砲×2に換装したMiG-3-34も存在したが、総数52機のみであった。

主力戦闘機としてはYak-1?などが活躍したことから、戦局の安定以後は高高度域での戦術偵察機などとして使用され、1943年末には後方部隊へと転属していった。
約3,000機*2が製作されたが、使用していたエンジンの発展型がIl-2に優先され、本機の生産は終了した。

なお、本機の設計によってミグ・チームはスターリン賞を受賞した。
また、のちに本機の後継機としてミグはI-220/221/222/224/225を設計した。

スペックデータ

型式MiG-1MiG-3
乗員1名
全長8.16m8.25m
全高2.62m3.3m
翼幅10.2m
翼面積17.4417.44
翼型root:クラークYH(14%)
tip:クラークYH(8%)
空虚重量2,602kg2,699kg
全備重量3,099kg3,355kg
最大離陸重量-3,510kg
発動機ミクーリン AM-35A液冷V型12気筒×1基
出力
(仏馬力/kW)
1,350PS(993kW)
最高速度657km/h (高度7,200m)505km/h(海面上)
640km/h(高度7,800m)
航続距離580km857km
戦闘行動半径-820km
実用上昇限度12,000m
上昇率16.8m/s-
上昇能力高度5,000mまで5分9秒高度5,000mまで6分5秒
高度8,000mまで10分28秒
翼面荷重177kg/192kg/
馬力荷重320W/kg295W/kg
固定武装Berezin UBS 12.7mm機関銃×1挺(胴体)
ShKAS 7.62mm機関銃×2挺(胴体)
追加武装50/100kg爆弾×2発50/100kg爆弾×2
あるいは
RS-82 82mmロケット弾×6発


主な派生型

  • ポリカールポフ I-61:
    I-200原型機。

  • ポリカールポフ I-200 :
    I-61のエンジンを強化した試作機。

  • MiG-1:
    初期量産型。約100機製造。

    • MiG-1 AM-37:
      出力強化型。エンジンをAM-37(出力1,500hp(1,119kW))に換装した。

  • MiG-3(初期型):
    MiG-1の改良型。I-200の4号機を試作機とした。
    安定性、居住性を改善し、燃料タンク増加等を実施。

  • MiG-3(後期型):
    防弾鋼板の増厚や不活性化システムの実装、空戦性能の改善を目的とした前縁スラットの実装などが行われた。

  • MiG-3 AM-38:
    低高度における性能改善を目的として試験された出力強化型。
    エンジンは従来型から出力の向上したAM-38(出力1,600hp)を搭載。

  • MiG-3U(I-230):
    高高度迎撃機型。冷却器周りなどの機体各部を再設計し、空力的に改善した。
    武装として機首にShVAK 20mm機関砲×2門を搭載。
    AM-35エンジンの生産終了により試作のみ。

  • I-231:
    I-230にAM-39Aエンジン (離昇1,800hp) を搭載した出力強化型。
    AM-39A自体が試作に終わった為量産されなかった。

  • MiG-9(I-210):
    シュベツォフ M-82空冷星型複列14気筒(出力1,700hp)エンジンを搭載した型。
    試作機のみ。

  • MiG-9E(MiG-9Ye、I-211):
    カウルを再設計し、M-82F空冷エンジンを搭載した改設計原型案。試作機のみ。


*1 ラジエーターと位置が近く、座席付近が加熱されたため。厳冬期は暖房代わりにもなった。
*2 3,300機との説もあり。

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