Last-modified: 2015-06-17 (水) 22:26:42 (646d)

【MiG-23】(みぐにじゅうさん)

旧ソビエトのミグ設計局がMiG-21の後継機として開発した戦闘機
NATOコードFloggar(フロッガー).

本機は、前作MiG-21の欠点を意識して1960年代初期から開発がスタート。
当時、ソ連軍は「MiG-21より大きな兵器搭載量・航続距離・火力・速度上昇力等を有する戦闘機を製作せよ」と言う要求をミグ設計局に提出、その要求に対し、ミグ設計局は1967年に試作機「23-11」を製作した。
しかし、軍からの要求を全て満たしたために予想していたものより大型の機体となり、「大型化による運動能力の低下」を心配したミグ設計局は、当時同時期にスホーイが開発していたSu-17「フィッター」と同じ可変後退翼(手動)を導入、これにより離着陸距離が短縮され、超音速での機動性も上昇して大型化のリスクは改善された。
その後、小規模の改良を加え1969年に初期生産型であるMiG-23Sの量産が開始。
後のMiG-23Mではパルス・ドップラー式の「サプフィール*1レーダーを搭載したことにより中射程空対空ミサイルAA-7「エイペックス」?)の運用能力が追加された。

実戦配備から30年以上経っているが、現在でもロシア軍の他、多数の国へ輸出され運用されている。
なお、本機は1978年にソ連がフィンランドとフランスを訪問した時に西側諸国に初めて公開された。
また、後に、本機を改造してMiG-27攻撃機が設計された。

実戦での戦績

本機初の実戦は1982年のレバノン侵攻?だった。
この時、イスラエル軍の報告ではF-15F-16がシリア軍の本機7機を撃墜した、とされている。
しかし、シリア軍側はBQM-34?×1機・F-16A×3機・F-4E×4機・E-2C×1機を本機で撃墜したと主張している。

その後、1986年にはリビア沖のシドラ湾にてリビア空軍のMiG-23×2機がアメリカ海軍F-14AAIM-9「サイドワインダー」AIM-7「スパロー」撃墜され(シドラ湾事件?*2、これと並行して行われたソ連軍のアフガン侵攻では、2機がパキスタン軍のF-16A撃墜されるも、その時にF-16A1機を撃墜してい*3

しかし、これはどちらかと言うとパイロットの技量に由来する問題であり、また、BVR交戦能力の無い輸出型の機体が使用されていたからでもある。
事実、アンゴラでは、AA-7ミサイルを運用できるキューバ空軍所属の本機が、損害無しに南アフリカ空軍のインパラ?ミラージュF1C.Zを各1機撃墜しており、また他にもキューバ側の空対空による撃墜との主張に対して、南ア側はSAMによる損失としている例がいくつかある(有利な体勢で戦闘を行うことの出来た希な例である)。
また、ソ連空軍のMiG-23は、領空侵犯したイランのAH-1攻撃ヘリ2機を撃墜している。

他にも湾岸戦争イラク軍?:MiG-23による撃墜数0)やイラン・イラク戦争イラク軍?F-4E×3機・F-4D×1機・AH-1J×1機・不明2機=合計撃墜数7)、チャド紛争(リビア軍:撃墜数0)等でも使用された。
ただし、撃墜数においては、大抵の場合どちらの国も過大評価しているのであまりあてには出来ない。

MiG-23.jpg

Photo:Russia air force

関連:MiG-21 MiG-27 Su-17

スペックデータ(MiG-23ML)

乗員1名(単座型)/2名(複座型)
全長17.18m/15.65m(機首プローブ除く)
全高4.82m
全幅
後退角72度/16度)
7.78m/13.97m
主翼面積
(後退角72度/16度)
34.2/37.4
空虚重量10,200kg
最大離陸重量17,800kg
最大兵装搭載量2,000kg
エンジンカチャツロフ R-29-300?ターボジェット×1基
エンジン推力81.3kN/122.6kN(A/B使用時)
最高速度マッハ2.35
最大水平速度729kt(海面高度)
上昇率14,400m/min
実用上昇限度18,500m
航続距離1,050nm/1,520nm(フェリー時)
戦闘行動半径323nm(Hi-Lo-Hi)
固定武装GSh-23L 23mm連装機関砲×1門(装弾数200発)
兵装
AAMR-23RT?×2発
R-24R/T?×2発
R-13M/M1×4発
R-3S×4発
R-60×4発
R-27(MiG-23-98)
R-73
AGMKh-23?×1発
機関砲コンテナUPK-23-250 23mm機関砲パック
爆弾FAB-500×4発、FAB-10×10発
ロケット弾S-5S-8S-24
その他増槽
FCSレーダーRP-21「サプフィール(TsD-30)」マルチモード火器管制レーダー
NATOコード:スピン・スキャン)


2003年現在での各国での保有数(推測)

  • アフリカ地域:
    アルジェリア空軍:18機(MiG-23MS/UBフロッガー)
    アンゴラ空軍:6機(MiG-23ML/UBフロッガー)
    ナミビア空軍:2機(MiG-23フロッガー)
    リビア空軍:70機(MiG-23MS/UBフロッガー)
    ジンバブエ空軍:3機(MiG-23フロッガー)
  • アジア地域:
    シリア空軍:80機(MiG-23MF/ML/MS/UBフロッガー)
    インド空軍:25機(MiG-23MF/UBフロッガー)
    北朝鮮空軍:45機(MiG-23ML/UBフロッガー)
    イエメン空軍:20機(MiG-23ML/UBフロッガー)
    イラク空軍:不明(MiG-23フロッガー)
  • 東ヨーロッパ地域: ブルガリア空軍:23機(MiG-23MF/ML/MLD/UBフロッガー)
  • ユーラシア地域: カザフスタン空軍:31機(MiG-23MLD/UBフロッガー)
    ロシア空軍:270機(MiG-23ML/MLD/UBフロッガー)*4
    トルクメニスタン空軍:230機(MiG-23M/ML/MF/UBフロッガー)
  • 北アメリカ地域:
    キューバ空軍:20機(MiG-23ML/MF/UBフロッガー)

主なバリエーション

試作型

  • 23-01:
    試作STOL戦闘機。NATOコードでは「フェイスレス」と呼ばれる。
    MiG-21と同じ、尾翼付きデルタであるが、胴体側面に円形の空気取り入れ口を配置し、機首に大型のレドームを備えていた。
    主エンジンにMiG-21が装備していたR-11F2S-300を改設計したR-27-300(推力7,800kg)を、リフトエンジンとして胴体内にコリェソフRD-36-35(推力2,350kg)を2基装備していた。
    1963年に初飛行したが、開発中止となった。

  • 23-11:
    試作可変翼戦闘機。
    23-01と同様エンジンはR-27-300を搭載する。
    1967年に初飛行。23-01が開発中止となったため本機が採用された。

  • 23-31(MiG-21PD):
    MiG-21を改造したVTOL研究機。

初期型

  • MiG-23S"フロッガーA":
    初期生産型。
    レーダーMiG-21と同じ「サプフィール21(RP-22)」を搭載し、ミサイル誘導装置は「デーリタN」と「ラズーリS」を搭載する。
    1969年から1970年にかけてモスクワのズナーミャ・トルダーで少数が生産されたのち、主として練習機として使用された。

  • MiG-23UB"フロッガーC":
    S型をベースにした複座の戦闘訓練型。転換用高等練習機としても用いられた。
    レーダーを装備していないが、限定的な戦闘能力は有していた。
    量産型は中期型に準じた機体構造になり、R-29B-300エンジンを搭載、主翼も張り出しのあるものに変更された。
    生産は1970年から1978年までイルクーツクのイルクーツク航空機工場で行われた。

中期型(前線戦闘機型)

  • MiG-23M"フロッガーB":
    前線戦闘機として開発されたソ連向け量産型。
    レーダーエンジンが強化され、レーダーは「サプフィール23D」、エンジンはR-29B-300を搭載している。
    これにより、R-23R(AA-7「エイペックス」)?が搭載出来るようになった。
    また、赤外線探知装置としてTI-23を装備している(後にTI-23-1に更新)。
    ミサイル誘導装置は「デリータNG」と「ラズーリSM」を搭載している。

  • MiG-23M(E)"フロッガーE":
    ワルシャワ条約機構外への輸出用モデル。
    機体能力は大幅にダウングレードされており、レーダーは初期型と同じく「サプフィール21」を搭載しているが、赤外線探知装置は装備していない。
    エンジンはR-27F2M-300ターボジェットを搭載している。
    1973年から輸出が開始され、主にアラブ諸国に輸出された。

  • MiG-23MS"フロッガーE":
    M型の輸出用ダウングレード型。
    「アルマーズ*523」兵器システムを装備し、レーダーは「サプフィール21(RP-22)」、エンジンはR-29-300に換装されている。
    なお、赤外線センサーは搭載されていない。
    主にアラブ諸国やアフリカ諸国で運用された。

  • MiG-23MF"フロッガーB":
    ワルシャワ条約機構向け輸出型。
    MiG-23Mとほぼ同規格の機体で、MiG-23Mと同じ「サプフィール23D」レーダーを搭載した。
    後にワルシャワ条約機構外へも輸出された。

戦闘爆撃機

  • MiG-23B"フロッガーF":
    S型を基に開発された初期型。
    「ソーコル23S」照準システム、フォーン・レーザー測距儀などの対地攻撃用機器を装備した。
    エンジンはSu-17Mと同じAL-21F-3を搭載している。

  • MiG-23BM"フロッガーH":
    B型のソ連国内向け改良型。
    エンジンはM型と同じR-29B-300に変更している。
    一部には空中給油能力もある。

  • MiG-23BN:
    輸出型。

  • MiG-27
    MiG-23B/BNシリーズの発展型。詳しくは項を参照。

  • MiG-23R:
    前線偵察機型。計画のみ。

  • MiG-23BK:
    ソ連国内向け。
    後にMiG-27Kに改称された。

後期型(多目的戦闘機型)

  • MiG-23A:
    前線戦闘機として開発された試作型。

  • MiG-23ML"フロッガーG"
    M型の改良型。
    「サプフィール23ML」レーダーを搭載し、赤外線探知装置はTI-23M、ミサイル誘導装置は「ラズーリSML」に更新した。
    また、SPO-2M敵味方識別装置が装備され、戦闘能力が向上した。
    機体も軽量化され、エンジンを高出力のR-35-300に強化し、飛行性能は飛躍的に向上した。

  • MiG-23UM:
    MiG-23MLの複座戦闘訓練型。

  • MiG-23P"フロッガーG":
    ソ連国内向けモデルで、ソ連防空軍向け迎撃戦闘機型。
    主に、低空目標の迎撃用に用いられた。
    性能はML型と同じだが、迎撃管制用データリンクが追加装備されている。
    「アメチースト*6」レーダー、TI-26赤外線探知装置を搭載。

  • MiG-23MLA"フロッガーG":
    MiG-23Pの空軍型。
    レーダーは「サプフィール23MLA」、赤外線探知装置はTI-26が装備された。

  • MiG-23K:
    艦上戦闘機型。
    MiG-29KおよびSu-27Kと競合したが、試作中止となった。

  • MiG-23MLD"フロッガーK":
    ML/P型の改良型でチャフフレアディスペンサーが追加装備された型。
    「サプフィール23MLA」レーダーを搭載、赤外線探知装置はTI-26を装備。

  • MiG-23MLG:
    MLD型の発展型。
    新型のアクティブ妨害装置や照射式警告観測装置を搭載する予定であったが、MiG-29の実用化に伴い計画中止となった。

  • MiG-23MLS:
    MLG型の輸出型。

  • MiG-23MLDG:
    MLD型の発展型。
    新型の「ガルデーニヤ」アクティブ妨害装置や照射式警告観測装置を搭載する予定であった。

近代化改修型


*1 Сапфир:ロシア語でサファイアの意。
*2 このとき撃墜された機体は、ロシア側の資料では「MiG-23MS」、アメリカ合衆国側の情報では「MiG-23ML」であったということになっている。
*3 ただし、パキスタンは味方の誤射による損失としている
*4 他にも予備機として200機ほど在籍。
*5 Алмаз:ロシア語でダイヤモンドの意。
*6 ロシア語でアメジストの意。

添付ファイル: fileMiG-23.jpg 3557件 [詳細]

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