Last-modified: 2016-06-06 (月) 18:34:58 (351d)

【Mi-24】(みるにじゅうよん)

旧ソビエトのミル設計局が、1960年代に開発した強襲ヘリコプター
NATOコードHind(ハインド)、ソ連のパイロット内では「クラガチール*1」の愛称で呼ばれている。
Mi-8「ヒップ」汎用ヘリコプターをベースに開発された。

ベトナム戦争当時のアメリカ軍戦訓を前提としており、ヘリボーンを想定して開発された。
機体後部のキャビンで兵員を輸送しつつ、近接距離から近接航空支援を行う運用が想定されている。

機体の中腹にあるスタブウィングはハードポイントの積載量が大きく、対戦車ミサイルロケット弾爆弾ガンポッドなど多数の武装を装備できる。
また、ローターチタニウム製で12.7mm対物ライフルを受けても耐えられる耐久性能を誇る*2
反面、それらの性能を支えるために機体が大きく鈍重になっている。
近年ではその鈍重さゆえヘリボーンでの歩兵輸送からは外され、攻撃ヘリコプターとしてのみ運用される場合が多い。

東側諸国を代表する強力なヘリコプターであり、就役以来、数々の紛争内戦に投入された。
現在でも旧共産圏をはじめ30カ国以上で使用されている。
幾度となく後継機種が開発されているが、制度上の選定が難航しており、当分は運用されつづける見通しである。


スペックデータ

乗員3名+兵員8名
全長21.50m
翼長6.66m
主回転翼直径17.30m
テイルローター直径3.91m
円板面積235.00
空虚重量7,675kg
離陸重量
(通常/最大)
10,500kg/11,000kg
発動機クリーモフ TV3-117ターボシャフト(出力2,200馬力)×2基
巡航速度270km/h
航続距離
(限界/実用)
1,000km/450km
実用上昇限度4,950m
ホバリング上昇限度1,400m
武装搭載量6箇所に対戦車ミサイル、ロケットランチャー、爆弾など1,275kgまで。
固定武装A-12.7 12.7mm機銃×1門(弾数900発。NUB-1可動式銃塔に装備。)
YaKB-12.7 4銃身12.7mm機銃×1門(弾数1,470発。USPU-24可動式銃塔に装備(D/V型))
GSh-30K 30mm連装機銃×1門(弾数250発。(P型))
GSh-23L 23mm連装機関砲×1門(VP/VM型)
兵装
対戦車ミサイル
(各4発)
9M17P「ファラーンガ-M」
9M17P「ファラーンガ-PV」(D型)
9M114「シュトゥールム-V」(V型/P型)
空対空ミサイル
(V型、各2発)
R-60
ロケット弾ポッドUB-32A-24 32連装ポッド×4基
ロケット弾128発を内蔵:S-5M1/S-5MO/S-5KBP/S-5KO/S-5-O)
B-8V20A 20連装ポッド×4基(80NAR S-8DM/S-8BM/S-8VM/S-8KOM/S-8S
B-13L1 5連装ポッド×4基(20NAR S-13/S-13T/S-13-0F
GUB-1×2基
GUB-8700×4基(V型/P型)
無誘導ロケット
(V型、各4発)
S-24
機関砲ポッドUPK-23-250(V/P型)
各種爆弾類OFAB-100×8発
OFAB-250・RBK-250×各4発
RBK-500・KMGU-2・ODAB-500・3B-500×各2発
その他装備PFM-1対人地雷投下器(P型)


IMG_2966.jpg


バリエーション

Mi-24シリーズ

  • Mi-24 Hind:
    A-12.7 12.7mm機銃を搭載する初期型。
    イソトフ(後のクリーモフ)TV-2-117エンジンを搭載。

  • Mi-24A"Hind A":
    三座で大型の胴体をもつ初期改良型。
    クリーモフTV-3-117エンジンを搭載し、テイルローターの取り付け向きにより、前期型と後期型に分けられる。
    1972年から引渡しがされた後、、9M17「ファラーンガ」(AT-2『スワッター』)?対戦車ミサイルを搭載できるよう翼端の設計が変更されるなど、順次改良が加えられており、上記の改修の他に2,200馬力のクリーモフ製 TV3-117ターボシャフトエンジンを装備したものもある。
    しかし、まもなくD型の生産に切り替えられ、一部はヴェトナム、エチオピア、リビア、アフガニスタン、アルジェリアなどへの輸出に回された。
    現在でもヴェトナムで運用中である。

    • A-10:
      記録飛行用に開発された派生型。

    • Mi-24VMT:
      A型の機雷掃海型。

    • Mi-24B"Hind B":
      試験用に開発されたMi-24Aの派生型。
      USPU-24ターレットのA-12.7 12.7mm機銃を3銃身ガトリング式のYakB-12.7 12.7mm旋回機銃に換装している。

    • Mi-24U"Hind C":
      A型の練習機型。
      固定武装を撤去し、操縦系統が二重化され、前部座席にも操縦装置を追加している。
      少数のみの生産であったが、ヴェトナムでは現在も運用中である。

  • Mi-24D"Hind D":
    中期改良型。
    コックピットを視界のよいタンデム複座とし、細身の胴体になり、初期型の欠点を改善した。
    コックピットは防弾ガラスや防弾板で防御され、生存性も高い。
    機首にFLIRや低光度テレビカメラを搭載しているため、悪天候下や夜間での飛行が可能。
    主武装はUSPU-24ターレットに搭載された4銃身のYakB-12.7ガトリング式12.7mm旋回機銃とAT-2?
    しかしながら、動力等は根本的に改善はされなかったため、より全面的な改修型であるMi-24Vまでの繋ぎとして扱われた。
    V型の戦力化後は練習機として扱われ、一部機体はDU型に改修された。
    1970年代に350機程度が生産された。

    • Mi-24DU:
      D型の練習機型。
      二重操縦装置を搭載し、固定武装を撤去した。

  • Mi-24V"Hind E":
    後期改良型。
    D型を改良し、クリーモフ製 TV3-117ターボシャフトエンジンへの換装やシステム更新を行い9M114「シュトゥールム-V」(AT-6)?AA-8を搭載可能とした。
    赤外線妨害装置が搭載され、航法装置やチャフフレアなどにも改良が加えられた。
    1970年代後半から80年代前半にかけて1,000機程度が生産された。
    なお、ポーランドではポーランド語の言語上の理由からMi-24Wと表記される。

    • Mi-24K"Hind G2":
      Mi-24Vの砲撃観測機型。
      弾着確認用のカメラや、新型のセンサーユニットが搭載されている。
      ソ連軍のみで使用。現在は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシで運用されている。

    • Mi-24VK-2:
      Mi-24Vの発展型。輸出名称Mi-35VN。

  • Mi-24KhR"Hind G1":
    Mi-24DおよびMi-24Vの機体から製作された、NBC兵器の探知・偵察を行う化学・放射能偵察型(電波科学偵察型)。
    Mi-24RやMi-24RKh、Mi-24RRとも呼ばれる。
    土壌や大気のサンプルを採取し、分析する能力を持つ。
    コックピットキャビンの気密性が向上され巨大なエアフィルターを装備してはいるが、搭乗員は防護服を着用する。
    ソ連軍のみで使用。現在は、ロシア、ウクライナなどで運用されている。

    • Mi-24RKhR:
      Mi-24DおよびMi-24Vの機体から製作された化学放射能偵察型(電波化学偵察型)。
      Mi-24Rとも呼ばれる。
      ソ連空軍のみで運用され、チェルノブイリ原発事故でも現場へ投入された。
      冷戦後は、機体を継承したロシアやウクライナによって国連平和維持活動などにも提供されている。

  • Mi-24P"Hind E":
    アフガニスタンでの戦闘経験により、E型から威力が不足しているYaKB-12.7mm旋回機銃を取り外し、2砲身固定式GSh-30K 30mm機関砲を装備した型。
    80年代に600機程度が生産されたようである。

    • Mi-24PK-2:
      Mi-24Pの発展型。輸出名称Mi-35PN。

    • Mi-24PN:
      Mi-24Pの夜間攻撃能力等改良型。1999年に初飛行。

  • Mi-24VP"Hind F":
    YaKB-12.7機銃の代わりに、機首のNPPU-23ターレットにGSh-23-2 23mm連装機関砲を装備した型。
    一部にはフェネストロン?やX字型の新型テイルローターを装備した機体もある。
    新型機銃の不良と冷戦の終結もあって少数生産に終わり、ロシア空軍とウクライナ陸軍航空隊で運用されている。

  • Mi-24PS:
    1997年初飛行の警察仕様。
    機関砲のかわりに大型のサーチライトや拡声器、FLIRなどを装備する。
    ロシア内務省にて使用されている。

  • Mi-24E:
    環境調査型。
    海洋や大気の汚染、洪水などの監視を行う。
    収集したデータを処理する機器や地上局へのデータリンクが装備されている。
    機体はE型と同じだが、非武装化されている。

Mi-25シリーズ

  • Mi-25:
    Mi-24Dの輸出型。1972年に初飛行。
    新しいMi-24Vが開発されたことから相対的に旧型となったMi-24Dが輸出可能となったため、輸出専用機として開発された。

Mi-35シリーズ

  • Mi-35"Hind D":
    V型を、非ワルシャワ条約機構加盟国用にスペックダウンした輸出仕様。
    アフガニスタン、アンゴラ、インドに輸出された。

  • Mi-35U:
    Mi-35を複操縦化した機体。インド等で運用されている。

  • Mi-35P"Hind F":
    F型の輸出仕様。固定脚にして軽量化を図った。
    アフガニスタン、アンゴラ、イラク、キプロスに輸出された。
    Mi-35Mと同じく、X字型テイルローターフェネストロン?を採用した機体も僅かに存在する。

  • Mi-35M:
    Mi-24VPの輸出仕様。
    夜間戦闘能力が向上しており、チタニウムや複合材料を使用したローターを装備し、軽量化が図られている。
    エンジンやトランスミッションはMi-28と同じものが使用され、ランディングギアが固定式になっている。
    機関砲は、Mi-24VPに準じ、NPPU-24ターレットにGSh-23L 23mm連装機関砲を装備する。

  • Mi-24/35 Mk.I:
    南アフリカで開発された改修型。改修の規模はMk.IIIより限定されている。

  • Mi-24/35 Mk.III「スーパーハインド」:
    南アフリカで開発された改修型。
    アルジェリアで使用されている。

  • Mi-24-2000:
    イスラエルで開発された改修型。


*1 Крокодил:アリゲーターのロシア語読み。
*2 しかし地対空ミサイルに耐えられるほどではなく、アフガニスタン紛争?ではアフガンゲリラスティンガーに多数が撃墜された。

添付ファイル: fileMi-24P.jpg 1749件 [詳細]

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