Last-modified: 2022-11-19 (土) 19:46:41 (19d)

【Me262】(めっさーしゅみっとにろくに)

Messerschmitt Me 262 Schwalbe(シュヴァルベ) / Sturmvogel(シュツルムフォーゲル).

第二次世界大戦末期にドイツのメッサーシュミット社が開発、ドイツ空軍で運用された世界初の実用ジェット戦闘機
後退翼ターボジェットエンジンを懸架装備した特徴的な外見を持つ。

1943年に原型が初飛行したが、Jumo 004 エンジンの開発遅延や不調、ヒトラー総統による報復のための戦闘爆撃機型への仕様変更命令などを経て、実戦部隊に配備されたのは1944年10月だった。
従来のレシプロ戦闘機に比べて大きな機体重量から運動性ではそれらに劣ったものの、最高速度ではあらゆる戦闘高度において、当時の連合軍機のそれを100km/h以上も上回る800km/h以上を発揮した。
本機を初めて運用した第262実験隊は前例の無いジェット機の運用研究を行ったが、最初の1ヶ月の戦闘で事故含めて26機のMe262と司令官ヴァルター・ノヴォトニー少佐(撃墜数258機)を失った。
その後、確立された運用法や戦法は配備部隊に実践され、数的に圧倒的な優位をもつ連合国軍戦爆連合に対し、200機の損失で550機を撃墜した。
従来のレシプロ戦闘機にとって最高速度で圧倒的な本機の撃墜は困難を極め、Me 262の損失の多くは頻発するエンジン不調や離着陸の際に受けた攻撃が主因であった。

最終的な総生産数1,430機で、主に生産されたのは戦闘機型のA-1aと、これに爆弾ラックを装備した戦闘爆撃機(Jagdbomber)仕様のA-1a/Jabo型。

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スペックデータ(Me 262 A-1a)

乗員1名
全長10.58m
翼長12.5m
全高3.83m
翼面積21.7
空虚重量3,795kg
全備重量
(燃料1,800l搭載時)
6,400kg
最大離陸重量7,130kg
エンジンユンカース Jumo 004 B-1 軸流ターボジェット(8.8kN)×2基
最高速度
(6,475kg時)
822.5km/h(海面高度)
850km/h(高度3,000m)
865km/h(高度6,000m)
815km/h(高度10,000m)
航続距離1,040km(燃料1,800l搭載、高度9,000m巡航時)
上昇限度11,450m
上昇率20m/s(海面高度)
11m/s(高度6,000m)
5.5m/s(高度9,000m)
固定武装MK 108 30mm機関砲×4門(100発×2門、80発×2門)
追加武装R4M 55mmロケット弾×24発


バリエーション

原型機

  • Me 262 V1:
    試作1号機。
    機体の完成時にBMW 003が未完成であったため、ユンカースJumo 210 G液冷倒立V型12気筒レシプロエンジンおよびプロペラ機首に装備。
    後にBMW 003は搭載されたものの、信頼性が低かったためにユンカースJumo 004Aに換装された。

  • Me 262 V2:
    試作2号機。Jumo 004Aを当初から搭載。

  • Me 262 V3:
    試作3号機。

  • Me 262 V4:
    試作4号機。

  • Me 262 V5:
    試作5号機。着陸装置を尾輪式から固定型の前輪式(三車輪式)に変更した。

  • Me 262 V6:
    試作6号機。
    機体が再設計され、着陸装置を油圧引込式の前輪式に変更、エンジン内側の主翼の後退角が増して、主翼の前縁には全幅に前縁スラットが追加された。

生産機

  • A-0:
    戦闘機型Aシリーズの先行生産型。

  • A-1a:
    Jumo004Bエンジンを搭載する生産型。
    MK108 30mm機関砲4門を装備。

    • A-1a/R-1:
      R4Mロケット弾の運用能力を持つ型。

    • A-1a/U3:
      短距離偵察機型。
      機首にRb50/30またはRb20/20とRb75/30カメラを搭載。
      武装としてMK108 30mm機関砲1門を装備するがほとんどは非武装だった。

    • A-1a/U5:
      重武装型。
      機首の武装をMK108 30mm機関砲4門から6門にし、携行弾数を100発が2門、85発が2門、65発が2門とした。

  • A-1b:
    エンジンをBMW 003に換装した迎撃機型。
    武装は30mm機関砲2門、R4M空対空ロケット24発を搭載。
    それ以外の性能はA-1aと同型、少数のみ生産。

  • A-2a「シュトルムフォーゲル」:
    MK108 30mm機関砲を2門のみ装備した爆撃機型。
    250kg爆弾2発を搭載可能。

    • A-2a/U2:
      高速爆撃機型。
      機首に爆撃手席を新設し、1号機はロトフェルンロール7(ロトフェ7)H3爆撃照準器を装備、2号機はロトフェ・カンツェル蕎判犂錣鯀備。

  • A-3a:
    近接支援任務を目的とした攻撃機型。

  • A-4a:
    偵察機型。

  • A-5a:
    偵察機型の最終型。
    カメラを3台装備。戦争末期に少数のみ生産。

  • B-1a:
    複座の転換練習機型。

    • B-1a/U1:
      機首にFuG218「ネプトゥーン」レーダーを装備する夜戦型。
      装備したレーダーアンテナの空気抵抗により速度が810km/hに低下している。

試作機

  • A-1a/U1(1機):
    機首に20mm機関砲2門を装備、30mm機関砲のうち2門を高初速のMK 103に換装し、6門にした試作機。

  • A-1a/U2(1機):
    全天候に対応するための航空電子機器を搭載した試作機。
    FuG220「リヒテンシュタイン」レーダー、SN-290 290MHzレーダー放送受信機、「ヒルシュゲヴァイ(鹿の角)」アンテナを装備。

  • A-1a/U4(2機):
    爆撃機迎撃型の試作機。
    機首武装をMK 214A 50mm機関砲またはBK 5 対戦車砲×1門とした。

  • A-2a/U1(1機):
    改良型の爆撃照準器を設置した試作機。

  • C-1a(1機):
    迎撃戦闘用の試作機。
    尾部に離陸補助用のHWK 109-509液体燃料ロケット(ヴァルター・ロケット)を取り付けた。

  • C-2b(1機):
    迎撃戦闘用の試作機。
    エンジンのナセル(エンジンの収納筒)にBMW 003Rターボジェット(推力9.8kN)2基を取り付けた。

  • C-3:
    迎撃戦闘機の提案型。
    Jumo 004ターボジェットをHWK R-211液体燃料ロケット(ヴァルター・ロケット)に換装した。

  • C-3a(1機):
    迎撃戦闘用の試作機。
    胴体にHWK 109-509S-2ロケットモーター(ヴァルター・ロケット)を組み込んだ。
    試作機と初期生産機は完成前に鹵獲された。

計画機

  • B-2:
    胴体を伸ばして燃料搭載量を増加させた夜間戦闘機型。
    HeS 011エンジンを搭載。

  • D-1:
    SG500 Jagdfaust 5cm無反動砲を装備する特殊型。
    無反動砲は上向きに取り付けられており、センサーで爆撃機を感知し自動で発射される。

  • E-1:
    A-1a/U4を基にMK114 55mm機関砲を装備した特殊型。

  • E-2:
    R4M ロケット弾を48発搭載する特殊型。

  • W-1:
    アルグス As 014パルスジェットエンジン(出力2.7kN)2基を搭載した提案型。

  • W-3:
    アルグス As 044パルスジェットエンジン(出力4.90kN)2基を搭載した提案型。
    四角型エアインテークを持つ。

  • Lorin:
    Jumo004の上にLorinラムジェットブースター(直径1.15m、全長5.9m)2基を積んだ高速型。

  • Schnellbomber(シュネルボマー) 1:
    高速爆撃機案。4,050リットルの燃料を搭載し1,000kgの爆弾を搭載できる。

    • Schnellbomber(シュネルボマー) 1a:
      コックピットを機首に移動させ胴体に5個の燃料タンクを設けた高速爆撃機。

  • Schnellbomber(シュネルボマー) 2:
    爆撃機型。
    胴体を新たに設計し4,450リットルの燃料を搭載。1,000kgの爆弾を胴体内に搭載可能。

  • Aufklärer 1:
    写真偵察機型。
    A-1a/U3の機首の武装を撤去し、500リットルの燃料タンクとRb75/30及びRb20/30カメラを搭載。
    • Aufklärer 1a:
      Schnellbomber 1aの胴体を流用し、Rb75/30カメラ2基を胴体中央に装備。

  • Aufklärer 2:
    Schnellbomber 2の胴体を流用し、5,450リットルの燃料を搭載、機種にRb75/30カメラ2基、Rb20/30カメラを1基搭載。

  • HG I:
    高速機型計画第1段階の機体。
    風防をレーシングキャノピーと呼ばれる小型流線形のものとし、水平尾翼に後退角を付け、水平尾翼を大きくした。

  • HG II:
    高速機型計画2段階の機体。
    HG Iと同程度の改造と平行して、主翼を25%弦長35度の後退角付きに変更した。

  • HG III:
    高速機型計画2段階の機体。
    主翼は新設計の45度後退角付きのもので、HeS 011エンジン×2基を主翼付け根に搭載、主脚を主翼付け根に取り付け、尾翼・キャノピーはHG Iと同等のものに変更した。

大戦後

  • アビア S-92:
    A-1aと同型。チェコスロバキアが生産。

  • アビア CS-92:
    B-1aと同型。チェコスロバキアが生産。

  • A-1c/B-1c:
    2003年より、アメリカ・テキサス州のTexas Airplane Factoryが作成中のMe262のレプリカ。
    現時点で2機が完成、飛行可能の状態。
    発動機はゼネラル・エレクトリック社製CJ610エンジン(民間用モデル)で、安全装置の追加、脚の強化などが行われている。
    名称はメッサーシュミット社(現在のエアバス・グループ)の承認のもと A-1c(単座型)とB-1c(複座型)が当てられている。


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