Last-modified: 2023-07-22 (土) 09:09:00 (68d)

【Me163】(めっさーしゅみっといちろくさん)

Messerschmitt Me163 Komet.

第二次世界大戦中、ドイツのメッサーシュミット社が開発、ドイツ空軍で運用された世界初のロケット推進迎撃戦闘機で、愛称は「コメット(Komet:彗星)」。

本機に搭載された「HWK-R1」ロケットエンジンは、高濃度の過酸化水素を主成分とする酸化剤「T液(T-Stoff)」とヒドラジンとメチルアルコールを主成分とする燃料「C液(C-Stoff)」を使用し、この2液を混合した際に発生する高温の燃焼ガスを推力として利用する「ヴァルター機関」と呼ばれるものであった。
着陸装置として、機体下部には着脱式の主輪が装着され、離陸後は重量と空気抵抗を軽減させるために投下され、着陸時には収納されていた橇(そり)で滑走しつつ着陸する方式となっていた。

加速力・上昇力は同時期のレシプロ機よりも格段に優れていたが、エンジンの信頼性が低く燃焼時間が短いこと、航続距離が極端に短いこと*1などの欠点も抱えていた*2
また、高温の燃焼ガスを噴出するため滑走路には対策を施さなければならず、燃料酸化剤も特別な施設で保管・管理する必要があった。
特に燃料と酸化剤は爆発性や腐食性が極めて強く、搭乗員整備員に生命の危険が及ぶ場合もあった。

終戦までの総生産数は370機程度であった。

関連:秋水

IMG_7898.jpg

スペックデータ(Me163B-1a)

乗員1名
全長5.7m
全高2.5m
翼幅9.3m
翼面積19.6
空虚重量1,905kg
最大離陸重量4,309kg
燃料容量C液(メチルアルコールとヒドラジン):468kg
T液(過酸化水素):1,550kg
エンジンHWK 109-509A-2 ヴァルター式ロケットエンジン液体燃料ロケット)×1基
出力最大:14.71kN(3,307lbf)
最小:0.98kN(220lbf)
超過禁止速度900km/h
フラップ制限速度300km/h
機首引き起こし速度
離陸
280km/h
適正上昇速度700〜720km/h
航続時間7.5分(推進時)
上昇限度15,500m
上昇率81m/s
上昇能力2,000m/1.48min
4,000m/2.02min
6,000m/2.27min
8,000m/2.54min
10,000m/3.19min
12,000m/3.45min
翼面荷重209kg/屐丙蚤離陸重量時)
推力重量比0.42
武装ラインメタルMK108 30mm機関砲×2門(装弾数60発)または
MG151/20 20mm機関砲×2基(装弾数100発)(Ba-1/B-0(先行量産機))


バリエーション

  • DFS194:
    原型機で、安定性と操縦性研究のための補助ロケット付きグライダー

  • Me163A:
    ロケット動力の研究機であるDFS194の改良型。
    実用型のMe163Bとは異なる外観を持つ。
    エンジンはHWK-R2-203(推力750kg)を搭載。

  • Me163B-0:
    HWK-109-509A2(推力1,700kg)を搭載した先行量産型。70機生産。
    固定武装は主にMG151/20 20mm機関砲×2門(弾薬各100発)を装備するが、V46号機以降はMK108 30mm機関砲×2門(弾薬各60発)を装備した。

  • Me163B-0/R1:
    V46号機以降の機体に類似した型。
    クレム社ベブリンゲン工場で20機のみ作られた。

  • Me163B-0/R2:
    B-0に類似しているが、B-1の量産用の翼を使用している。
    クレム社ベブリンゲン工場で30機のみ作られた。

  • Me163B-1a:
    HWK-109-509A(推力1,700kg)を搭載。279機生産。
    MK108 30mm機関砲2門(弾薬各60発)を装備。

  • Me163B-2:
    標準量産型。クレム社で生産が予定されていた。
    武装・無線機ともB-1と同じだが、エンジンは巡航燃焼室の無いHWK-109-509Bの予定だった。

  • Me163C:
    補助燃焼室を持つHWK-109/509C-1(推力2,000kg)を搭載。
    燃料搭載量を増やして航続時間の延長を目指した。
    涙滴式風防、与圧キャノピー、30mm機関砲を4門に増やすなどの改良を加え、試作機が3機ほど完成していたと見られるが、Me163Dの方が有望であると判断されて生産は中止された。

  • Me163S:
    B-1aの武装、ロケットエンジンを撤去して複座化した練習機。少数生産。

  • Me163D / Me263(Ju248):
    ユンカース社によって大幅な再設計がなされた機体。
    橇式だった降着装置前車輪式の油圧引込脚が装備され、胴体も真円断面構造に変更されている。
    エンジンはHWK-109/509C-1を搭載し、航続時間も15分と延長された。
    固定武装にMK108 30mm機関砲2門(弾薬各40発)を装備。
    試作機が動力飛行テストなどを行ったが、量産には至らなかった。


*1 そのため連合軍は本機が配備されている飛行場を避けて通るようになり、会敵する事すらできなくなった。
*2 燃料を使い切った後の本機は鈍重なグライダーでしかなく、着陸時や着陸後は連合国軍戦闘機の格好の餌食となった。

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