Last-modified: 2020-01-06 (月) 00:02:56 (19d)

【MU-300】(えむゆーさんびゃく)

Mitsubishi MU-300"Diamond(ダイヤモンド)".

日本の三菱重工が1970年代後半に開発・生産した双発小型ビジネスジェット機
なお、実際の生産は(後述する理由により)アメリカの三菱現地法人で行われていた。

1960年代、三菱はターボプロップビジネス機「MU-2」を開発・販売していたが、日本では固定翼ビジネス機の需要がほとんどなかった*1*2ため、販売は海外(主としてアメリカ)向けがメインとなっていた。
そうした背景の下、本機はMU-2の上位グレードとなる機体として計画・開発が進められ、1977年に初号機が初飛行、1979年にはFAA耐空審査にも合格した。
しかしこの当時、アメリカ国内で航空事故が頻発していたことを受けて、FAAは耐空審査基準を大幅に見直すことを決めていた*3
本機はこの基準改正後の試験対象第1号となってしまい、これによって大幅な設計変更を余儀なくされ、型式証明を取得できたのは1981年になってしまった。
加えて、この間の景気後退と同業他社との販売合戦による収益の悪化で、膨大な赤字が発生。これにより、三菱が機体の販売を続けることは困難になってしまった*4

そこで三菱は、軽飛行機業界の老舗であったビーチ・エアクラフト社と提携を組み、同機(及びMU-2)の販売・ユーザーサポートを委託、名称も「ビーチジェット400」と改めて販売を続けた*5
その後、三菱の関与は段階的に縮小され、1988年には設計・開発・生産・ユーザーサポートの一切をビーチに売却*6、小型機業界から完全撤退した。

1994年、ビーチ社の親会社だったレイセオン社が英国ブリティッシュ・エアロスペース(BAe)社から「ホーカー・ビジネスジェット」の生産ラインを購入し、これをビーチ社と合併したため、同機の名称は「ホーカー400」と再改称された。

スペックデータ(ビーチジェット400A)

乗員2名
乗客数7〜9名
全長14.76m
全高4.24m
翼幅13.26m
主翼面積22.43
空虚重量4,558kg
有用重量2,653kg
最大離陸重量7,303kg
エンジンP&W JT15D-5ターボファン×2基(出力12.9kN(2,900lbf))
最高速度866km/h(マッハ0.78、468kts)
巡航速度820km/h(443kts、高度7,000m)
失速速度171km/h(92kts、フルフラップ
航続距離3,135km(高度13,700m)
実用上昇限度13,700m
上昇率19.2m/s


バリエーション

  • MU-300:
    初期モデル。
    海外では「DIAMOND機廚箸靴独稜筺

  • DIAMONDA:
    高温・高標高地域向けモデル。海外販売のみ。
    エンジンはJT15D-4を搭載。

  • DIAMOND供
    最大速度・航続距離向上型。海外販売のみ。
    エンジンはJT15D-5を搭載。

  • ビーチジェット400:
    DIAMOND兇ビーチ社へ販売権が移行された後の呼称。

    • ビーチジェット400A:
      胴体を延長し、搭載能力を向上させた型。

    • ビーチジェット400T:
      400Aの軍用機モデル。

  • ホーカー400:
    レイセオン社へ合併後の呼称。

    • ホーカー400XP:
      現在の最新モデル。


*1 その理由についてはビジネス機の項を参照のこと。
*2 MU-2も、国内販売のほとんどが防衛庁自衛隊)向けであった。
*3 1979年5月のアメリカン航空DC-10墜落事故の検証で「油圧・電気系統のバックアップ機構の不備」「審査規定の再考」を指摘されたのが契機になったという。
*4 当時、前作のMU-2と違って防衛庁自衛隊)からの発注もなかった。なお、本機が「T-400」として航空自衛隊に採用されたのはレイセオンに販売権が移ってからのことである。
*5 この名称での型式証明は1985年に下りている。
*6 ユーザーサポート業務については後年、三菱が買い戻している。

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