Last-modified: 2022-12-11 (日) 08:23:06 (180d)
【MIM-3】 †
MIM-3
1945年にアメリカが開発・配備した2段式大型地対空ミサイル。
ナイキミサイルの最初の型として実用化され、アメリカ陸軍で、本土及び最前線の戦略拠点の防空に利用されていた長射程高射砲の代替として登場した。
当初の制式名はSAM-A-7(後にM1)と呼ばれていた。
アメリカの他、日本*1など9カ国に配備された。
発射サイトは下記の3エリアで構成されている。
- Cエリア:
レーダー区画。
目標の表示や迎撃の指示を行うコンピュータ・システムに加え、侵入する目標を探知・追跡し、ミサイルを指揮・追跡するためのIFC*2レーダーシステムを備える。
- Lエリア:
ミサイル発射機。
1つ〜3つの地下ミサイル弾倉を持ち、各々4基の発射機に給弾するようになっていた。
- Aエリア:
IFCと同じ位置に配置される管理地域。
中隊本部や兵舎のほか、食堂、レクリエーション・ホール及び駐車場を備える。
誘導方式は地上からの無線指令誘導で、追尾レーダー(MTR)による管制を受けつつ目標追尾レーダー(TTR)で捕捉されている敵性航空機へ誘導され、二段目の頭部・中部・下部の3ヶ所に搭載された破砕弾頭で撃墜する。
主に原子力施設や大陸間弾道ミサイルサイトなどの戦略拠点の周囲や長距離爆撃機基地、人口密集地の防空に使用され、州兵軍又は連邦政府直轄軍が運用した。
1960年代から後継であるMIM-14と順次交代し、1964年に退役した。
関連:SA-2
カタログスペック(MIM-3A) †
全長 | 10.61m |
本体長 | 6.40m |
ブースター長 | 4.21m |
翼幅 | 1.37m |
直径 | 30.5cm |
ブースター直径 | 80cm |
発射重量 | 450kg |
ブースター重量 | 660kg |
推進方式 | 固体燃料ロケットモーター |
エンジン | アレゲーニー弾道学研究所 M5固体燃料ロケットモーター×1基(ブースター部) ベル・エアクラフト液体燃料ロケットモーター×1基(本体) |
推力 | 240kN(55,000lbf)(ブースター部) 12kN(2,600lbf)(本体) |
燃料 | JP-4/非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)と赤塩硝酸(RFNA)(本体) |
最大速度 | M2.3 |
最大到達高度 | 21,300m |
射程距離 | 48km |
誘導方式 | 地上レーダーによる指令誘導 |
弾頭 | 高性能炸薬破片効果弾頭×3基 |
弾頭重量 | 5.44kg(先端部) 81.2kg(中央部) 55.3kg(尾翼部) |
*1 当初は「高射砲の延長」として陸上自衛隊で運用されていたが、後継のMIM-14が航空自衛隊で運用されることになったため、本ミサイルも空自の管轄に移された。
*2 Integrated Fire Control:統合火器管制。