Last-modified: 2016-05-28 (土) 10:52:22 (336d)

【M92】(えむきゅうじゅうに)

イタリアのベレッタ社が、M1951?の後継として開発した半自動式拳銃
使用弾薬は9mmパラベラム

M1951?M84?と同様のダブルアクション複列弾倉などを組み合わせた結果、バランスの良い軍用拳銃となった。
ワルサーP38と同じプロップアップ式ショートリコイルを採用した珍しい例。

特出した性能はないものの、コストの低さ*1や使い勝手のバランスが良いため、アメリカ陸軍M1911に替わる次期制式拳銃のトライアルで多くの対抗馬*2を抑え、M9の名称で制式採用された。
同社の拳銃のアイデンティティとも云えるスライド?の上面を大きく切り取ったデザインを持ち、これによりスライド自体が軽量になりブローバック時の衝撃を和らげ、排莢口の拡大により弾詰まりを防ぐ効果もある。
また、使用弾薬が9mmパラベラム弾のため比較的反動が小さく、アンビデクストラス・セーフティや左右差し換え可能なマガジン・キャッチなどの利き手を問わない装備によって、開発当時としては格段に扱いやすい銃であった。

強度不足の不良品のスライドが混入した為に*3スライド破断事故が発生した後は、スライドが破損しても破片が飛び散らないよう安全対策が施されたM92FSに更新されている*4

アメリカ軍を始めとした多くの軍や法執行機関で使用されているほか、見た目の美しさから映画やアニメ、ゲームなどメディアへの露出も多いため知名度や人気も高く、多数のバリエーションが存在する。
また派生型として、マシンピストル型のM93Rや、10mmショートを使用するM96などが存在する。
近年では登場からすでに30年が経過し、流行であるデザインやコンパクト化、1990年代に開発されたポリマーフレームのピストルと比べると、M92のスチールスライド+アルミフレームという構造が時代遅れであるという事実は否定できず、他の拳銃に押され気味である。
そのためベレッタ社は、92の改良型である90-Two?や、ロータリーバレル機構を持つPx4 Storm?などの後継銃を投入し他社に対抗している。
しかし未だ根強い人気を誇り、アメリカ軍制式拳銃であるベレッタ・M92の王座はまだまだ揺るぎそうにない。

スペックデータ

全長全長 217mm
211mm(Vertec)
197mm(コンパクト,Centurion)
銃身長125mm
119mm(Vertec)
109mm(コンパクト,Centurion)
重量950g(92)
970g(92S/SB/F/G)
920g(92D)
900g(コンパクト,Vertec)
使用弾薬9mmパラベラム弾・40S&W弾・9mm×21 IMI弾
装弾数15発(92・98シリーズ)
10発(96シリーズ)
10,13発(コンパクトL)
8発(コンパクトM)
作動方式ダブルアクション・プロップアップ式ショートリコイル
銃口初速365m/s
有効射程50m


派生型

  • M92:
    初期モデル。

  • M92S:
    M92の安全装置をスライドに移したモデル。

  • M92SB:
    M92Sのマガジンキャッチを、グリップのトリガーガード付け根に移したモデル。

  • M92G:
    マニュアルセイフティを排し、ハンマーデコッキングに機能限定したモデル。

  • M92F:
    M92SBのトリガーガード前方に指掛けを追加し、マガジン底を分厚くしたモデル。
    米軍制式拳銃としてM9の名称で採用された。
    • M9A1:
      アメリカ海兵隊の要請で、アクセサリー用マウントレールを追加したモデル。
      グリップ前方の滑り止めの形状も異なる。

  • M92FS/FS Inox:
    スライドの破損事故を受けて、ハンマーピンの頭を大型化しスライドに食い込ませる対策を施したモデル。
    Inoxはステンレスモデルである。

  • M92FS Vertec/Vertec Inox:
    M92FSの特殊部隊・法執行官モデル。
    グリップ後部の膨らみを無くし、握りやすくしたほか、全長の短縮化やマウントレールの設置といった改良が施されている。
    日本国内では、警視庁や大阪府警察の特殊犯捜査係等が使用している。

  • M92 Compact L:
    M92のコンパクトモデル。装弾数10+1発。
    スライドから出ていたバレル先端が切り取られ、全長の短縮が行われている。

  • M92 Compact TypeM:
    Compact Lのシングルカラムモデル。装弾数8発。

  • M92 Centurion:
    Compact Lのノーマルフレームモデル。

  • M92 Elite:
    マガジン底にマグバンパーを追加したり、グリップ形状の変更やブリガディアスライドを装備するなどの改良を施した型。

  • M92 Elite II:
    M92FSをより使いやすいように改良を施したモデル。
    ブリガディアスライドをステンレス製にした以外はEliteと同様である。

  • M92 Elite IA:
    M9を更に使いやすくした改良モデル。上記のElliteIIとは兄弟分に当たる。
    グリップ後部がストレート化され、ブリガディアスライドやスケルトンハンマーを装備している。
    フレームはレーザーやライトを装備出来るアンダーマウントレール付きフレームになっている。
    シルバーモデルも存在する。

  • M92FS Brigadier/Brigadier Inox:
    強装弾対応モデル。ブリガディアスライドを装備。

  • M92D/DS:
    ダブルアクションオンリーモデル。DSはマニュアルセイフティがない。

  • M92CB:
    スポーターモデル。シングルアクションオンリー。

  • M92 Stock:
    スポーターモデル。ブリガディアスライドを採用。
    銃口部にアクセサリー装着用のネジが切ってある。

  • M92 Combat:
    ストックのシングルアクションオンリーモデル。ロングバレルモデルもある。

  • M92 Billennium:
    2000年限定モデル。構造はブリガディアとほぼ同一。

  • M92 Steel I:
    コレクターモデル。ステンレスモデル。シングルアクションオンリー。

  • M92 Competition Conversion Kit Models:
    7.3インチバレルのシューティングマッチモデル。
    バレルウェイトや延長型フロントサイト、フルアジャスタブル・リアサイト、木製エルゴノミクスグリップを装備。

  • M92 Target:
    5.9インチバレルのシューティングマッチモデル。
    アルミ製バレルウェイトやフルアジャスタブル・リアサイト、木製エルゴノミクスグリップを装備。

  • M93R
    M92をベースにした機関拳銃。詳しくは項を参照。

  • M96FS:
    .40S&W弾モデル。装弾数は10+1発。
    基本的なサイズはM92FSと変わっていないが、弾の口径が大きくなったぶん装弾数は減っている。

  • M98FS:
    9mm IMI弾モデル。

  • M98F:
    .30 Lugerモデル。

  • M99:
    7.65mm Lugerモデル。装弾数8発。

  • 90-Two:
    M92の後継発展型。詳細は90-Two?を参照。

ライセンス生産品

  • Helwan model 92 (エジプト):
    エジプトでのライセンス生産型。

  • AT-92(トルコ):
    トルコのATI社(American Tactical Imports)が生産しているクローン銃。
    コンパクトモデルやステンレスモデルもある。

  • PA-MAS(フランス):
    フランスのサンテーヌ造兵廠が生産しているフランス軍制式拳銃。

  • Taurus PT92(ブラジル):
    ブラジルのタウルス社が開発したM92ベースの自動拳銃。
    発展型として、ショートモデルのPT917、.45ACP口径のPT945、.38スーパー口径のPT38S等がラインアップされている。

  • Vector Z88(南アフリカ):
    南アフリカのベクター(デネル?社の小火器部門)が生産しているM92Fクローンモデル。

  • 75式拳銃(台湾):
    M92FSのライセンス生産型。
    台湾軍の主力制式拳銃。


*1 軍への納入価格が安いだけで、普通に買うとそれなりの値段である。
*2 SIG SAUER P226を筆頭にステアー? GB?ワルサー? P5?、ワルサー P88?S&W? M459?H&K P7?FN HP-DAなど。
*3 品不足のためにイタリアで生産、納入されたもの。
*4 スライド側面が強化されたモデルや、スライド上部の切り欠き自体を排したコピーモデルも存在する

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