Last-modified: 2023-10-11 (水) 09:24:33 (56d)
【M82】 †
Barrett M82.
1982年にアメリカのバレット・ファイアーアームズ社が開発したセミオート式対物ライフル。
使用弾薬は12.7x99mm(.50BMG)NATO弾で、徹甲弾、焼夷弾、曳光弾を使用可能。
現代における対物ライフルの代表的存在である。
ベトナム戦争やフォークランド紛争におけるブローニングM2重機関銃の戦果を元に開発された。
構造上の効率から、同口径の重機関銃よりも一発辺りの破壊力が高い。
「対戦車(Anti Tank)」を名乗れるほどの威力ではないが、住宅の壁くらいであれば易々と貫通する。
初速相応に有効射程も長大で、APCなら2,000m先から、歩兵なら2,400m先でも撃破できる(命中を見込めるかは別として)。
反面、反動を抑えるため銃本体が非常に重く、また制退器の噴射煙が視界を覆うほど濃密なため、速射性に劣る。
基本的に専門狙撃手のための銃であり、SEALs・SWATなどの一部特殊部隊で採用されている。
しかし、アメリカでは小型化・軽量化されたモデルを民間人でも所有する事が可能。
これほどの威力の銃が民間に出回る事によるテロや犯罪の増加も一部で懸念された。
しかし現実的には、犯罪に用いるにはあまりにも重すぎ、巨大すぎ、轟音を発しすぎ、そして高価すぎる銃である。
買おうとする顧客も仕入れようとする業者もきわめて希少なため、犯罪になど使おうものならすぐに身元が割れてしまう。
スペックデータ †
種別 | 対物狙撃銃 |
口径 | 12.7mm |
全長 | 1,447.8mm |
銃身長 | 736.7mm(M82A1/A2) 736mm(M95) 838mm(M99) 558mm(XM109) |
重量 | 12,900g |
ライフリング | 6条右回り |
装弾数 | 10+1発 |
使用弾薬 | 12.7x99mm NATO弾 |
作動方式 | ショートリコイル |
発射速度 | 32発/分 |
銃口初速 | 853m/s |
有効射程 | 2,000m |
バリエーション †
- M82:
原型モデル。
セールス的に振るわなかったため、軍隊他で実際に使用されている例は少ない。
ハーモニカ型マズルブレーキや冷却孔が無いハンドガード、三角形バットストックが特徴。
- M82A1:
M82の小改良型。「バレットM82」として一般的に知られているものは、この型。
製造時期によっていくつかのマイナーチェンジが施されている。
- M82A1(初期/前期型):
筒型のマズルブレーキを装備するモデル。
- M82A1(中期型):
マズルブレーキの形状がV字型に変更されたモデル。
- M82A1M:
中期型の銃本体上面にロングマウントレールを装備したモデル。
- M82A1M:
- M82A1(初期/前期型):
- M82A2:
M82A1の対空仕様。
対空射撃時に仰角を大きく取れるようブルパップ式に変更している。
制式採用されたものの、試験の結果メーカー側が期待したほどの評価を得られず、少数の生産に終わった。
- M82A3:
アメリカ海兵隊でのM82A1の独自改良モデル。
陸軍での制式採用名称は「M107」。
- M95(旧称M90):
M82A1の小型・軽量化モデル。
M82A2同様にブルパップ式を採用することで全長を短縮した。
銃身が短いためボルトアクション式の作動機構となっている。
レシーバー部分などはM82A1から転用されている。
- M99:
M95をさらに軽量・簡略化したモデル。
M95と同様にボルトアクション式で、弾倉が廃止された単発の狙撃銃となっている。
- XM109ペイロード:
25x59mm対物グレネード弾を使用する大口径対物ライフル。
M82に似た形状だが銃身が短く、初速も425m/sと大きく低下しているが、装薬量の関係から有効射程はM82とほぼ同等の2,000mとなっている。
また、口径が拡大されたことで使用可能な弾頭が増えており、通常弾の他に徹甲弾、徹甲焼夷弾、多目的榴弾、徹甲榴弾、成形炸薬弾、開発中のBORS信管を用いた空中炸裂弾などが使用可能になった。
- XM500:
M82/M107の発展後継型として開発された、アメリカ陸軍向けプロトタイプ。
作動方式がM82のショートリコイル方式からガスオペレーション・ロータリーボルトロック方式に変更されている。
また、レシーバー上部にはピカティニー・レールを標準装備し、照準眼鏡などのオプションを装備しやすいよう改良された。