Last-modified: 2023-05-29 (月) 03:40:21 (119d)
【M60】 †
Springfield/Saco M60.
第二次世界大戦後のアメリカで開発された汎用機関銃。
当初は国営のスプリングフィールド社が生産を行っていたが、大量生産の必要から民間企業であるサコー社に、さらに現在はUSオードナンス社に生産が移っている。
ベトナム戦争から実戦投入され、歩兵・防御陣地・車両・ヘリなどあらゆる場面で使用された。
しかし運用面では非常に不評*1で信頼性に欠け、その重さもあって前線では『豚(Pig)』呼ばわりされていたという。
E1・E3・E4と改良は続けられたが、最終的にFN社のM240が後継とされた。
また、分隊支援火器としても使用されたが、小銃と弾薬互換性がない事と重さ・巨大さが問題となり、ミニミに置き換えられていった。
現在のアメリカではヘリ用ドアガンに留まっているが、オーストラリア軍では第一線で運用されている。
製造担当のUSオードナンス社では、民間向けのセミオートM60も生産している。
また、フルオート射撃を不可能にした民生用モデルもアメリカ国内で販売されていた。
もっとも、これは無意味に高価で重くかさばる収集品であって、あえて採用する実用上の理由はほとんどなかった。
スペックデータ †
種別 | 汎用機関銃 |
口径 | 7.62mm |
全長 | 1,077mm |
銃身長 | 560mm |
重量 | 10,500g |
使用弾薬 | 7.62×51mm NATO弾 M61徹甲弾 M62曳光弾 M80通常弾 M82空包*2 M63模擬弾 |
装弾方式 | ベルト給弾式 |
作動方式 | ガス圧利用(ショートストロークピストン式) ターンロックボルト?、オープンボルト |
発射速度 | 550発/分以下 |
銃口初速 | 853m/秒 |
有効射程 | 1,500m |
派生型 †
- T161:
M60の開発名称。
- M60:
1950年に採用された基本型。
- M60E1:
最初の改良型。
ガスシリンダー、銃身、バイポッドの接続方式を変更した。
- M60E2:
同軸機銃など、装甲車両へ取り付けての運用を目的としたモデル。
M48A5やM60戦車などのパットンシリーズ、韓国のK1戦車?で使われた。
外装は大幅に省略され、銃床等、車両搭載に必要の無い外装は取り外されている。
発射指令は電気的に行うが、手動で引き金を引くバックアップも残されている。
- M60E3:
初期モデルの問題点を解決し、1986年ごろより実戦配備を開始したモデル。
ガス・システムの簡略化や銃身の軽量化などが図られたが、その代償として部品の磨耗・破損がより激しくなってしまった。
そのため、アメリカ陸軍と海兵隊では大部分の部隊がM240への切り替えを行った。
- M60E4:
M60E3を短銃身化し、多くの改良点を取り入れ信頼性をアップしたもの。
前方にフォアグリップが追加されているのが大きな特徴。
- Mk.43 Mod 0:
アメリカ海軍での制式名称。
- Mk.43 Mod 1:
Mk.43 Mod.0の改良型。
ピカティニー・レールが各所に追加され、Mod.0よりも短銃身化された。
- Mk.43 Mod 0:
- M60E6:
M60E4の改良型。
M/62(HK MG3?)に代わるデンマーク陸軍の汎用機関銃として採用された。
- M60B:
ヘリコプターからの射撃用に開発された型。
しかし、マウント部が無いため射撃中は脱落防止用の安全帯のみを接続して射手が保持していた。
ヘリコプター搭載用に改修されたモデルが制式化されるまでの短い間のみ用いられ、1960年代にM60Dに置き換えられるまでの間、少数が配備された。
- M60C:
航空機搭載用モデル。
油圧による回転機構が組み込まれ、電気的制御により遠隔操作で射撃を行う。
M2、M6、M16火器システムに組み込まれた他、OV-10やOH-13、OH-23?、UH-1Bに搭載された。
- M60D:
ヘリコプターのドアガンモデル。
スペースドグリップになっているほか、照準は円形照準に変更され、給弾方式が改善されている。
UH-1やUH-60、CH-47/ACH-47など主要なヘリコプターのドアガンとして用いられた。
- 57式機関銃:
中華民国国軍向けライセンス生産型。
*1 米軍の殆どの銃火器と違う安全装置の操作、頻発する故障、銃身交換の煩雑さ等で酷評された。
それでも何とか使いやすくと、兵士達は個人で部品をテープを巻いたり空き缶を取り付けたりと様々な工夫を凝らしていた。
*2 発射速度に応じてM13またはM13A1空包アダプター(Blank Firing Adapter,BFA)の取り付けが必要。