Last-modified: 2019-04-04 (木) 01:32:16 (142d)

【M16(小銃)】(えむいちろく(しょうじゅう))

Colt M16.

アメリカのアーマライト社(フェアチャイルド社が小火器部門として立ち上げた子会社)による突撃銃
多数のバリエーションが存在し、資本主義諸国家でもっとも有名な銃の一つに挙げられる。

弾薬は本銃のために新規に規格化された5.56mmx45(.223)弾。後にこの口径はNATOの標準的な小銃弾となった。

また、それまでと木で作られていた小銃の常識を覆し、アルミ合金とプラスチックを多用して大幅な軽量化を図っている。
アメリカ空軍にSAC用火器として制式採用された初期型の本体重量(弾薬を含まない)は3kgに満たなかった。

関連:AR-18

開発経緯

本銃のルーツは、1950年代にアーマライトが開発した「AR10」にさかのぼる。
この銃はアルミ合金・プラスチックを多用する設計と、ガスピストン周りの部品を廃するリュングマン・システム?の採用により、徹底的な軽量化が図られていた。
しかし、登場したのが1955年と遅く、各国の制式採用銃の趨勢がすでに明らかであったため、大量採用には至らなかった。

同時期、アメリカ陸軍が行っていたSPIW(特殊目的個人火器)プロジェクトが停滞(のちに破綻)。
これを受け、SPIWが完成するまでの中継ぎとして小口径モデルの自動小銃が各社に募集され、AR10の小口径化モデル「AR15」もこれに提出された。

AR15は性能面で競合案を大きく引き離して揺るぎなかったが、アーマライト社は軍の制式採用に耐えうる生産能力を持たなかった。
このためAR10・AR15の製造権はコルト?(コルト・パテント・ファイヤーアームズ)社に委譲され、以後の製造販売はコルト?社が受け持つことになった。

制式採用

その後、本銃は1962年にアメリカ空軍がSAC用火器として採用され、ここで「M16」と命名された。
当時のベトナム戦争で試験運用が行われ、ここで挙がった問題点を元にさらなる改良が施された。
翌1963年、改良モデルXM16E1がグリーンベレーなどの特殊部隊、および南ベトナム軍への援助物資として配備された。

これら一連の実戦テストは現場からはおおむね好評を得たが、陸軍上層部の制度的混乱から制式採用は難航、追加の納入は1965年までずれ込んだ。
仮制式のまま60万挺以上がベトナムに送り込まれた末、1967年にXM16E1が「U.S.RIFLE 5.56mm M16A1」として制式に採用された。

なお、SPIWプロジェクトはこの制式採用に伴って完遂不能と判断され破棄された。

ベトナム戦争で生じた爆発的な需要に対応するため、コルト?社以外にジェネラルモータース社の子会社やハーリントン&リチャードソン社等でも量産が行われた。
ベトナム戦争終結後は、韓国、タイ、フィリピンなど、主に東南アジア方面に供与された他、ライセンス生産も行われた。

深刻な動作不良問題

その後、本銃が一般の兵士に行き渡るにつれて故障が続発。軍のみならずアメリカ連邦議会でも問題となった。

調査の結果、欠陥の根本原因は整備に関する人的ミスである事が明らかになった。
曰く、SF的な印象を持つ独特の外観から「『セルフクリーニング機能』を持っていて整備不要の未来のライフルだ」という誤解が蔓延していたという。
また、ベトナム戦争の長期化に伴って徴兵された新兵の教育水準が劇的に劣化しており、整備マニュアルを読めない兵士が多数存在していたという。

銃そのものもライセンス生産などで多少の品質劣化が生じていたが、適切に整備すれば問題ない水準だったという。

こうした事から、銃床内に整備キットを内蔵するよう改修するとともに、教育水準の低い兵士にも読めるコミック版マニュアルが配布された。
動作不良問題は解決に至り、「欠陥品の銃」という誤解に満ちた醜聞もやがて払拭されていった*1

M16A2

その後、1970年代後半にはM16A1の老朽化・陳腐化が問題となり、後継となるライフルの選定が急がれることとなった。
これを受け、コルト?社と海兵隊の主導により、M16の近代化改修プロジェクト、「M16PIP」が進められる事になった。

同時期、ヨーロッパ各国でもベトナム戦争の戦訓から小口径自動小銃の選定・採用が進められていた。
しかし、アメリカ式のM193弾はヨーロッパの地形・気候で用いるのに不適格とみなされた(飛翔距離400mを越えたあたりで急激な弾速低下が生じるという)。
NATOは小口径弾の規格を定めるトライアルを開始し、1980年10月、ベルギーのFNハースタル社によるSS109弾が採用に至った。

SS109弾はM193弾よりも弾頭が重く、ライフリングのピッチが短く(弾丸の回転数が大きく)、より弾道が安定して有効射程の長い弾丸である。
また、マンストッピングパワーを高めるためにジャケット先端内部に空洞を設けると共に、ボディアーマーを貫通するための鋼鉄の芯がもうけられている。

「M16PIP」もSS109弾(アメリカでもM855弾として制式採用)を採用して再設計され、1982年末、M16A2として制式化された。
M16A1からM16A2への主な変更点は以下の通り。

  1. ストックを1インチ延長すると共に、材質をナイロン系素材に変更して耐久性を向上
  2. ハンドガードキャップ前方のバレルの外径を0.625インチから0.750インチへと大型化し、強度と耐久性を向上
  3. フルオートを廃止、代わりに3発バーストモードを採用
  4. 工具を使わずにリアサイトを調整できるように変更
  5. ハンドガードを左右分割の三角形状から上下分割の円筒形状とし、強度を向上
  6. グリップにフィンガーチャンネルを追加
  7. エジェクションポートにブラスデフレクターを追加し、左利き射手に対応
  8. フラッシュハイダーのスリットを等間隔に6本から上方に5本に変更
  9. エジェクションポートカバーのプランジャーを強化
  10. ハンドガードリングをテーパー形状に変更
  11. ロアレシーバーのテイクダウンピン周りに補強を追加
  12. フロントサイトベースを強化、フロントサイトポストを円柱から角柱に変更

新規品だけでなく、既存のM16A1を改修するための換装部品キットも配布され、換装部品による更新も行われている。

1990年代半ば頃、M16A2の米軍納入の為の入札が行われ、コルト?社とFNマニュファクチャリング社(FNハースタルの北米法人)との競合の結果、FNマニュファクチャリング社が納入権を獲得した。
以降、20インチバレルを持つライフルサイズのモデルに関してはFNマニュファクチャリング社が現在に至るまで(現在は海兵隊向けのM16A4)納入を担当している。

次期制式ライフルの選定

M16の基本設計から長い年月が経過した現代、後継となる次期制式ライフルの選定が始まって久しい。
しかし、未だに後継機種の開発に成功しておらず、最有力候補であったH&KのXM8も生産中止に至っている。
また、あまりに膨大な配備数から更新予算もまた膨大な額に上るものとみられており、更新の目処は立っていない。

狙撃銃としての特性

本銃は適切に整備されていれば狙撃においても高い精度が確保可能で、各種の狙撃仕様も運用されている。
ただし、弾薬の保持エネルギーの関係で有効射程の限界が500m程度で、600mを越えるような長距離狙撃はほぼ不可能。
この点で大口径狙撃銃に後塵を拝している。

スペックデータ

種別アサルトライフル
口径5.56mm
全長999mm
銃身長508mm
重量3,500g
ライフリング6条右回り
使用弾薬5.56mm NATO弾
装弾数20発/30発(箱形弾倉)
作動方式ガス圧作動・リュングマン式、ロータリーボルト/マイクロ・ロッキング・ラグ閉鎖
発射速度900発/分
銃口初速975m/秒(M16A1)/ 884m/秒
有効射程500m

主なバリエーション

アメリカ本国採用型

M16(604)
初期型。ガス直圧機構が原因でボルトが汚れ、回転不良や不完全閉鎖が多発した。
XM16E1
アメリカ陸軍の要求により、ボルトフォワードアシストノブを加えた、A1への布石とも言うべきモデル。
M16A1(603)
上記モデルの改良型。
密林での行軍中に枝などに引っかかることを防止するために、消炎機をクローズドなバードケージタイプへ変更した。
M16A2(645)
M16A1の改良型。
M16A3(901)
セレクターの3点バーストをフルオートに置き換え、信頼性を向上させたもの。
M16A4(905)
M16A2をベースにキャリングハンドル部分を着脱式とし、ピカティニー・レールを追加したもの。
M4カービン
カービンモデル。詳しくは項を参照。
AR-15 9mmサブマシンガン
M16A2を9mmパラベラム弾使用のサブマシンガンにしたもの。
AR-15 ピストル
M16をピストルサイズにしたもの。使用弾は9mmパラベラム弾と5.56mm NATO弾が有る。
M16 LSW(741)
M16A2を基に開発されたLSW(Light Support Weapon:分隊支援火器)モデル。
ハンドガードがグリップ付の角が丸い四角形になっている。
SPR Mk12
M16A4、M4A1を狙撃銃として改良した特殊目的ライフル(SPW*2)。
精密射撃を実現するため、専用弾薬として弾頭重量を4g(62グレイン)のM855から5g(77グレイン)に増した新設計のMk262 Mod0/1を使用する。
SAM-R
M16A4を狙撃銃として改良した分隊上級射手ライフル(SAM-R*3)。
SPR Mk12とのコンセプトや仕様の共通点も多い。
SDM-R
M16A4を狙撃銃として改良した選抜射手ライフル(SDM-R*4)。
SAM-Rのアメリカ陸軍向けモデルである。
SR-25?
ナイツ・アーマメントがAR-10(AR-15、M16)をベースにして開発した7.62mm NATO弾(.308 ウィンチェスター弾)を使用する狙撃銃。
詳しくは項を参照。
AR-15
M16がアーマライトで開発された時の製品名。
M231 FPW
M2/M3「ブラッドレー」歩兵戦闘車のガンポートで使用するために開発された小銃。
フルオートオンリーでオープンボルト作動方式、照準器やストックは取り外されている。
ブラッドレーのガンポートが廃止されたため、現在は使用されていない。
CAR-703
M16をガス・ピストン作動方式にしたもの。

その他の派生型

C7(カナダ/コルト カナダ[旧ディマコ])
カナダ軍制式銃。M16A2のライセンス品。
C7A1(カナダ/コルト カナダ[旧ディマコ])
カナダ軍制式銃。M16A3のライセンス品(Elcan C79 optical sightが装備されている。)
M16A1-603K(韓国/大宇)
韓国軍制式銃。M16A1のライセンス品。
K2(韓国/大宇)
韓国軍制式銃。M16をベースに、AK47を参考にしてガス圧利用にした派生型。
65式歩槍(台湾/聯勤)
中華民国軍制式銃。M16をベースに、AR-18を参考にしてガス圧利用にした派生型。
M15
アメリカ・アーマライト社製。主に民間用。
XM15
アメリカ・ブッシュマスター社製。主に民間用。
XR15
イギリス・セイブルディフェンス社製。主に民間用。
OA15
ドイツ・オバーランドアームス社製。主に民間用。
CQ 311
中国・ノリンコ製のM16A1のデッドコピー
フルオート機能を備えた軍用向けと、セミオートのみの欧米民間市場向けが存在する。

*1 実際に軍用銃を取り扱う機会のないガンマニア(主に日本人など)には偏見を抱き続ける向きもあったが、そのような些末事は実際の運用やセールスに対してほとんど何の悪影響も及ぼしていない。
*2 Special Purpose Rifle.
*3 Squad Advanced Marksman Rifle.
*4 Squad Designated Marksman Rifle.

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