Last-modified: 2023-08-05 (土) 18:31:36 (121d)

【M.C.202】(えんめちーどぅえちぇんとどぅーえ)

Macchi M.C.202 (C.202)*1 "Folgore".

第二次世界大戦期にマッキが開発、イタリア空軍で運用された単発単葉引き込み脚を備えるレシプロ戦闘機。「C.202」とも呼称される。

愛称の「Folgore(フォルゴーレ)」は「稲妻」の意。
名称の"M"はマッキ(Macchi)、"C"は設計士のマリオ・カストルディ(Mario Castoldi)を意味する。

開発

1930年代後期、イタリア空軍で最も先進的な機体として実用化していたM.C.200「サエッタ」?戦闘機のエンジンをより高出力なものに換装することで、性能向上を計って開発された。
試作機は1940年8月に初飛行し試験飛行で良好な飛行性能を発揮、制式採用された。生産が開始されたのは1941年5月ごろ。

特徴

エンジン
ドイツのダイムラー・ベンツ社製液冷倒立V型12気筒の「DB601Aa」、もしくは同エンジンのアルファロメオ社製ライセンス生産版「R.A.1000 R.C.41-I」を搭載する。
これらのエンジンは高度4,100mで出力1,000PSを発揮した。
ラジエーターオイル冷却用の吸気口は機首下部と胴体下部に配置されている。
主翼
主翼厚は原型機のM.C.200と同様に薄く、速度性能の向上に貢献した一方で、高速飛行中の旋回によって気流が剥離、失速しやすいという欠点があった。
また、プロペラによって発生するトルクモーメントを抑えるための設計として、左の主翼が右の主翼より21cm長くなっている。
武装
初期型で機首部12.7mm機銃×2挺、後期型で翼内7.7mm機銃×2挺が加えられたものの、同時期の単発戦闘機としては貧弱な武装であり、搭乗員達に不評だった。
また、前線では威力の期待できない7.7mm機銃を非搭載とし機体重量を軽減、飛行性能を向上させようとする事例があった。
無線機
信頼性が低く、基本的に取り外された状態で運用された。
このため、機体間の意思疎通は第一次世界大戦期と同様に手や旗を使って実施された。

戦史

試作機は1940年8月に初飛行、翌年の1941年5月ごろからイタリア空軍に配備が開始されたが、初期の運用で発覚した尾翼操舵の欠陥、異常振動、可変プロペラの非稼働、防塵フィルターの不備、酸素供給装置の不具合などの問題を解決するため、しばらくの間は前線に送られなかった。

1941年後期からは地中海や北アフリカで実戦投入され、ハリケーンP-40によって構成される連合軍航空部隊を優れた飛行性能で圧倒、同時期の戦果損害比は最大で22:1に達した。

北アフリカで活動していたRAF戦闘機隊の隊長で、P-40に搭乗していたデニス・H・クラーク(Dennis Harry Clark)はM.C.202の性能について「P-40に対し、全面的に優位であった。」と評している。

その後もスピットファイア Mk.P-38に対して互角以上の戦果を挙げ続けたが、戦局は次第に枢軸国側の不利となり、戦線後退に伴う撤退中に多数の稼働機が放棄された。

1943年2月には本機の発展型であるM.C.205「ヴェルトロ」の実戦配備が本格化したものの、エンジン供給の遅延を主因に生産は遅延していた。

1943年夏からは連合国軍によるイタリア本土への大規模空襲が本格化し損耗が激化、1943年9月のイタリア降伏時点で残存していたM.C.202は、総生産数1,150機中186機*2となっていた。

休戦後は枢軸国のイタリア国家空軍、ルフトバッフェ(ドイツ)及びクロアチア空軍、連合国のイタリア共同交戦空軍(イタリア王国)でM.C.205と併せて引き続き運用された。

戦後はイタリア空軍で練習機として1947年まで運用された。

性能諸元

型式M.C.202CB
乗員1名
全長8.850m
全高三点:3.036m
水平:3.489m
全幅10.580m
翼面積16.80
翼型root:NACA 23018(modified)
tip:NACA 23009(modified)
空虚重量2,491kg
全備重量2,929kg
最大離陸重量2,930kg
エンジンダイムラーベンツ DB601Aa液冷倒立V型12気筒×1基
アルファロメオ R.A.1000 R.C.41- "Monsone"液冷倒立V型12気筒×1基
出力1,175PS / 863kW(海面高度、連続1分)
1,050PS / 735kW(高度4,100 m、連続30分)
プロペラ3枚定速プロペラ
最高速度600km/h(高度5,600m)
航続距離765km(通常)
実用上昇限度11,500m
上昇率18.1m/s
翼面荷重174.2kg/
馬力荷重294W/kg
固定武装
機首ブレダ-SAFAT 12.7mm機銃×2挺(各400発)
翼内ブレダ-SAFAT 7.7mm機銃×2挺(各500発)
追加装備
翼下50 / 100 / 160kg爆弾×2発
100 / 150L増槽×2基


機種試作機serie serie Ⅺserie ~Ⅺ
全備重量2,815 kg3,085 kg2,937 kg2,930 kg
最高速度・上昇時間
海面高度491km/h-496km/h498km/h
1,000m514km/h
34秒(29m/s)
-515km/h
52秒(19m/s)
521km/h
2,000m538km/h
1分19秒(25m/s)
1分30秒(22m/s)534km/h
1分48秒(18m/s)
544km/h
1分28秒(22m/s)
3,000m562km/h
2分26秒(20m/s)
-552km/h
2分47秒(17m/s)
566km/h
2分28秒(20m/s)
4,000m584km/h
3分27秒(19m/s)
570km/h
3分46秒(17m/s)
570km/h
3分49秒(17m/s)
586km/h
3分32秒(18m/s)
5,000m598km/h
4分40秒(17m/s)
585km/h
4分57秒(16m/s)
584km/h
4分57秒(16m/s)
596km/h
4分40秒(17m/s)
5,200m599km/h---
5,600m---599km/h
6,000m583km/h
6分13秒(16m/s)
590km/h
6分23秒(15m/s)
591km/h
6分26秒(15m/s)
587km/h
5分55秒(16m/s)
7,000m---585km/h
8,000m-10分49秒(12m/s)--
実用上昇限度
-10,400m10,550m11,500m
(絶対上昇限度:11,700m)

型式

  • M.C.202(1機)
    試作機。機体番号M.M.445。
    武装は機首部にブレダ-SAFAT 12.7mm機銃×2挺。格納式尾輪。

    • serie 機100機)
      1941年7月から1942年4月までブレダ社で生産。
      基本的には試作機と同等だが、固定式尾輪。

    • serie 供10機)
      1941年5月から1942年4月までマッキ社で生産。
      serie 気汎嬰。

    • serie / M.C.202AS(140機)
      1941年5月から1942年4月までマッキ社で生産。
      ASは北アフリカを意味する「Africa Settentrionale」の略。
      エンジン吸気口に砂塵対策の防塵フィルター装備。

    • serie 検50機)
      1941年11月から1942年8月までSAIアンブロジーニ社で生産。
      serie 靴汎嬰。

    • serie 后50機)
      1942年5月から1942年7月までSAIアンブロジーニ社で生産。
      サン・ジョルジアC型光学式照準器装備。

    • serie 此50機)
      1942年春にブレダ社で生産。

    • serie / M.C.202CB(100機)
      1942年4月から1942年7月までマッキ社で生産。
      CBは戦闘爆撃機を意味する「Caccia Bombardiere」の略。
      翼内にブレダ-SAFAT7.7mm機銃×2挺が搭載され、翼下に160kgまでの爆弾×2発、もしくは150Lまでの増槽×2基が装備可能となった。

    • serie 次50機)
      1942年4月から1942年7月までブレダ社で生産。

    • serie 宗100機)
      1941年9月から1942年2月までブレダ社で生産。

    • serie 勝100機)
      1942年7月から1942年9月までブレダ社で生産。

    • serie Ⅺ(150機)
      1942年11月から1943年4月までブレダ社で生産。水平尾翼の設計が変更された。

    • serie Ⅻ(150機)
      1943年5月から1943年9月までブレダ社で生産。serie XIと同等。

  • M.C.202EC(5機)
    武装強化型。
    ECは機関砲試験型を意味する「Esperimento Cannoni」の略。
    翼内7.7mm機銃及び翼下の追加装備を廃し、ドイツ製のMG151/20 20mm機関砲×2門を翼下に懸架方式で搭載した。携行弾数は1門あたり200発。
    試作のみ。

  • M.C.202RF(不明)
    偵察機型。RFは偵察機を意味する。
    ごく少数機が生産された。

  • M.C.202D(1機)
    試験型。
    ラジエーター吸気口を機首下部に開口した*3

  • M.C.202 AR.4(1機)
    SM.79?爆撃機無人特攻機を運搬する発射母機型*4。試作のみ。

  • M.C.205「ヴェルトロ / オリオーネ」?(262機)
    発展型。
    1,475PSを発揮するドイツのダイムラー・ベンツ社製液冷エンジンDB605」、もしくは同エンジンのライセンス生産版「RA.1050 R.C.58『ティフォーネ*5』」を搭載する。
    主要生産型のヴェルトロは高度7,200mで最高速度642km/hを発揮した。


*1 MC202 (C202)
*2 うち稼働機は約100機。
*3 P-40と類似する。
*4 ドイツのミステルに類似する。
*5 Tifone:台風の意。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS