Last-modified: 2023-06-18 (日) 10:41:31 (170d)
【L-90】 †
スイスのエリコン社が開発した高射機関砲。
正式には「KDA 35mm高射機関砲」と呼ばれる(「L-90」は90口径を表す通称である)。
単なる機関砲ではなく、専用のレーダーで目標を捕捉し、火器管制装置が自動迎撃を行う事ができる。
システム全体を車載するのは至難であり、艦艇以外では以下のユニットで1セットのシステムが構成される。
輸送車両は標準化されておらず、各軍のトラックや軍用車両に搭載する場合もあれば、牽引される場合もある。
スペックデータ(牽引型) †
口径 | 35mm(90口径) |
全長 | 7,800mm |
砲身長 | 3,150mm |
重量 | 6,700kg |
砲架 | アウトリガーに4輪を装備 |
俯角 | -5度〜+92度 |
旋回角 | 360度 |
使用砲弾 | 35x228mm |
発射速度 | 550発/分(単装) 1,100発/分(連装) |
初速 | 1,175m/s(HEI-T) |
有効射高 | 4km |
射程 | 約6,000m(焼夷榴弾)/約12,600m(曳光弾、曳光7秒) |
製作 | 35mm砲:スイス・エリコン社、日本製鋼所 射撃統制装置:スイス・エリコン社、三菱電機 |
スペックデータ(車載型) †
形式 | KDA | KDB | KDC | KDE | KDF | KDG |
口径長 | 90口径 | 80口径 | ||||
使用砲弾 | 35x228mm | |||||
全長 | 4,740mm | 5,206mm | 4,273mm | 4,740mm | 4,110mm | |
後座長 | 55mm | 60mm | 170mm | 55mm | 20mm | |
全高 | 653mm | 479mm | N/A | 464mm | 322mm | |
全幅 | 356mm | 280mm | 424mm | 256mm | 344mm | |
重量 | 695kg | 435kg | 510kg | 470kg/495kg | 450kg | |
作動方式 | ガス圧作動方式 | ガス圧作動 リボルバーカノン式 | ||||
発射速度 | 550rds/min | 200rds/min | 550rds/min | 1,000rds/min | ||
砲口初速 | 1,175〜1,385m/s | 1,180〜1,440m/s | ||||
反動 | 26.5kN | 15kN | 12kN | 25kN | 15kN | |
対空有効射程 | 5,000m | |||||
対地有効射程 | 8,000m |
主な搭載車両・搭載艦艇 †
車載型 †
- 日本
- 87式自走高射機関砲(KDA)
- 89式装甲戦闘車(KDE)
- ドイツ
- ゲパルト(KDA)
- トルコ
- KORKUT(KDC)
- イギリス
- チーフテン マークスマン(KDA)
- フィンランド
- ITPSV 90 Marksman(KDA)
- ポーランド
- PLA ロアラ(KDA)
- PLA ロアラ(KDA)
艦載型 †
- 日本(海上保安庁)
バリエーション †
- 車載型
- KDA:
初期型。
87式自走高射機関砲やゲパルトに搭載されている。
- KDB:
KDAをベースにした軽量改良型。
- KDC:
給弾方式をベルト給弾式からリンクレス方式に変更した型。
- KDE:
KDAをもとに発射速度を落とし軽量化した型。
89式装甲戦闘車の武装として搭載されている。
- KDG:
口径35mmのリヴォルヴァーカノンモデル。
35/1000とも呼ばれる。
- KDA:
- 牽引型
- GDF-001:
初期型。陸上自衛隊のL-90はこのタイプ。
- 35mm2連装高射機関砲 L-90:
陸上自衛隊での呼称。
- 35mm2連装高射機関砲 L-90:
- GDF-002:
フェランティ社製照準器を採用し、デジタルデータバスを備えた小改良型。
装弾数は238発(準備弾112発、予備弾126発)。
- GDF-003:
GDF-002に自己潤滑性材料の採用などの改良を施したマイナーチェンジモデル。
- GDF-003:
- GDF-005:
照準器を3次元コンピュータ制御のガンキングに変更し、自動装填装置を採用して省力化を図った全面改良型。
この改良により、レーザー測距儀や砲口初速、気象データなどを元に見越し角を自動算出できるようになった。
「スカイ・ガード」システムとして広く採用された。
- GDF-006:
GDF-001/002/003を調整破片型ABM弾であるAHEAD(Advanced Hit Efficiency And Destruction)弾の運用に対応させたモデル。
- GDF-007:
GDF-005をAHEAD弾の運用に対応させたモデル。
- GDF-009:
2015年に発表されたモデル。
最大7度までの傾斜角を補正できるオートレベリングシステムを搭載。
台車前部に内蔵バッテリーを搭載し、機関砲の電源ユニットとして機能する。
また、必要に応じて外部からの充電が可能。
- GDF-020:
KDGを単装砲塔に搭載したモデル。AHEAD弾の運用に対応している。
「スカイ・シールド」システムとして市場に提示されたほか、ドイツ陸軍では、MANTIS次期空間防護システム(旧称 NBS C-RAM)として採用されている。
- MKE GDF-003B:
GDFシリーズのトルコでのライセンス生産型。
Mechanical and Chemical Industry Corporation(Makina ve Kimya Endüstrisi,MKE)が生産を担当している。
- MKE/Aselsan GDF-003B Modernized:
MKE GDF-003Bをアセルサン(Askeri Elektronik Sanayi,ASELSAN)社で近代化改修した型。
GDF-003Bとアセルサン社製の火器管制装置を組み合わせている。
- 90式35mm連装機関砲(PG99):
GDF-002のチャイニーズコピーモデル。
- CS/SA1:
90式のアップグレードモデル。
- CS/SA1:
- MAA-001:
GDFシリーズのミャンマーでの現地生産モデル。
- GDF-001:
- 艦載型