Last-modified: 2017-05-13 (土) 08:27:37 (12d)

【L-188】(えるいちはちはち)

Lockheed L-188 "Electra".

アメリカのロッキード社が、1950〜60年代に開発・生産していたターボプロップ旅客機
同社製の大型レシプロ旅客機コンステレーション」の後継機として開発された機体で、アメリカ初のターボプロップ旅客機でもあった。

1950年代当時、レシプロ機の性能向上には限界が見えてきており、その一方で実用ジェット旅客機「コメット」が就航していたものの「ジェット機はまだ時期尚早」という声もあった。
その点、ターボプロップ機には「運行経費が安い」「レシプロ機からの乗員の転換が容易」という利点があった。

それらのことから、ロッキードは「今後10年くらいはターボプロップ機の時代が続くだろう」と予測。
その予測と、既に軍用ターボプロップ輸送機C-130が成功を収めていた*1実績もあり、開発に踏み切られたのが本機である。

しかし、本機の就役後まもなく、ボーイングが大型で優速なジェット旅客機「367-80(後のB707)」を就航させたため、ユーザーの興味と関心が喪失。
加えて、機体構造上の欠陥に由来する重大事故が続発し*2、その対策として巡航速度に大きな制限が加えられるなどの結果、信用と販路も喪失。
結果、1961年には早くも生産中止が決定。わずか167機の生産に終わった。

採用したユーザーも、1970年代までには多くがB737DC-9などの小型ジェット機に切り替えている。

現在は数機が運用されているだけで、多くは地上保管、あるいはスクラップとして処分されている。

日本では日本航空が採用を検討したものの、ジェット機のコンベア880を導入することとなった*3ため本機そのものは導入されなかった。
しかし、対潜哨戒機P-3ライセンス生産の形で海上自衛隊に導入されている。

旅客機としては成功しなかった本機であったが、本機の構造をベースにした対潜哨戒機P-3「オライオン」は、旧西側世界を代表する傑作対潜哨戒機として21世紀の現代でも多くの国で用いられている。

スペックデータ(L-188A)

乗員5名
乗客数98名
ペイロード15,331kg
全長31.85m
全高10m
翼幅30.18m
翼面積120.8
空虚重量26,036kg
最大離陸重量51,256kg
エンジンアリソン?501-D13?ターボプロップ×4基
出力3,750shp(2,800kW)
速度
(最大/巡航)
721km/h(高度3,660m)/ 600km/h
航続距離3,540km(最大ペイロード)/4,455km(7,938kg時)
上昇限度9,753m
上昇率10m/s


バリエーション

  • L-188A:
    初期生産型。

  • L-188AF(All Freight version):
    A型の貨物機型。

  • L-188PF(Passenger-Freight version):
    A型の貨客混載型。

  • L-188C:
    燃料搭載量と最大離陸重量を増加させた長距離型。

  • L-188CF:
    C型の貨物コンバージョン型の非公式名称。

  • YP3V-1(YP-3A)「オライオン」(1機):
    対潜哨戒機型の原型機。詳しくは項を参照。


*1 同機は民間向けにも「L-100」として売り出されていた。
*2 NASAとロッキードによる原因究明の結果、プロペラの後流からくるフラッターで主翼が金属疲労を起こし、空中分解に至ったことが判明した。
*3 当時の日本航空のフリートにはDC-4DC-6といったレシプロ機が多く残っており、国内線ではいち早くターボプロップを導入した全日本空輸に差をつけられていた。

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