Last-modified: 2020-09-27 (日) 23:35:11 (33d)

【Il-38】(あいえるさんじゅうはち)

1960年代、旧ソ連のイリューシン設計局が開発・生産した四発ターボプロップ対潜哨戒機
NATOコードは「May(メイ)」。

機体は同時期に生産されていたターボプロップ旅客機Il-18をベースにしている*1が、重心位置の変更に伴って主翼は前寄りに取り付けられた。
胴体後端にはMADブーム、機首下部にはマッシュルーム型のレドームが張り出しており、機体各所にESMのアンテナがつけられていた。
武装は対潜魚雷爆雷機雷などをウェポンベイソノブイと共に搭載している他、翼の下にKh-35空対艦ミサイルを搭載することも可能である。

本機の開発は1961年に始まり、1967年から実戦投入された。
西側に存在が知られたのは1970年のことで、当時は北大西洋やバルト海を哨戒していたが、時にはイエメンやリビア、シリアなどの中東にも派遣されていた。
近年では日本近海にも派遣されており、航空自衛隊機によるスクランブルを受けたこともある。

本機と類似のルーツを持つアメリカのP-3は、世界20か国以上に輸出・ライセンス生産*2されているが、本機を採用したのはソ連/ロシア海軍以外ではインド海軍のみであった。

スペックデータ

乗員7〜8名
全長40.185m
全高10.17m
翼幅37.4m
翼面積140
空虚重量35,500kg
最大離陸重量66,000kg
エンジンイフチェンコ/プログレス AI-20Mターボプロップ×4基
(出力4,225hp(3,151kW))
最高速度645km/h
フェリー航続距離7,500km
滞空時間13時間
上昇限度11,000m
上昇率5.33m/s
武装9,000kgまでの機雷爆雷対潜魚雷、Kh-35空対艦ミサイルを搭載可能


バリエーション

  • Il-38:
    標準型。

  • Il-38M:
    プローブアンドドローグ方式の一部として受油プローブを変更した型。採用されず。

  • Il-38MZ:
    空中給油機型。試作のみ。

  • Il-38N:
    近代化改修型。
    機首上部に「ノヴェッラP-38」海上探知システム複合体を装備する。
    センサ類は、高解像度の熱映像システム、MADレーザーとTVとIRを含む光学センサなどから構成され、最大で半径90km以内の空中目標および半径320km以内の水上・水中目標を探知し、同時に32個の水上・水中目標を追跡可能。

  • Il-38SD:
    インド海軍向け改良型。
    Il-38Nと多くの共通性を持ち、「シードラゴン」照準・航法システムを装備する。


*1 これはアメリカのロッキードP-3と似ているため、「ロシアン・オライオン」とも呼ばれていた。
*2 日本の川崎重工業による。

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