Last-modified: 2014-12-21 (日) 14:17:31 (829d)

【G91】(じーきゅうじゅういち)

Fiat G.91
1950年代、イタリアのフィアット?社(現アレニア?社)がNATO諸国の攻撃機開発要求に対し、アメリカ製のF-86Dを基にして設計・開発した機体。

当初の目論見であった「NATO標準機」自体は、各国がそれぞれ独自開発を行ったため達成できなかったが、それでも開発は続けられ、1956年に試作機が初飛行し、1958年から先行量産機が配備された。
固定武装は12.7mm機関銃4挺だが、20mm/30mm機関砲2門または51mm/70mmロケット弾パックに換装できるよう設計されていた。
主翼には2箇所のハードポイントがあり、通常爆弾ロケット弾ポッドなどを搭載できる。

1959年には機首に3台のカメラを搭載し偵察も行えるG91Rが開発され、以後主力量産機となる。
同型では、主翼のハードポイントが4箇所に増設された。
そして1960年には複座の練習機型G91Tが開発された。
また、先行量産機の内20機がフレッチェ・トリコローリ用G91PANに改修され、1962年から1982年まで使用された。
パイロットからは「ジーナ」の愛称で呼ばれていた。

1966年、イタリア軍が出した要求によりエンジンを双発にしたG91Yが初飛行した。
G91Tをベースに後部胴体が再設計され、推力を63%向上させることに成功した他、燃料タンクも増設され、従来に比べて約2倍の燃料が搭載可能になった。
このエンジンは巡航時に片方を停止させることができ、これによって航続距離を延長できた。
固定武装は30mm機関砲2門に変更されたほか、推力の増加に伴い兵装搭載量が増加した。
また、アビオニクスも大幅に改良され、コックピット装甲が施されている。

配備はイタリア空軍の他、西ドイツ空軍に輸出され、EUS*1によるライセンス生産も行われた。
後に西ドイツ空軍機の一部はポルトガル空軍に移管され、アフリカ植民地のゲリラや反乱軍に対する攻撃に使用された。
ポルトガル空軍機の一部はAIM-9を搭載できるように改修し、迎撃任務に就いた。

現在、本機はイタリアではAMXMB339?、ドイツではアルファジェット?F-4に置き換えられ、ポルトガルへ再輸出された機体も含めて全機退役している。


スペックデータ

型式G.91R/1G.91Y
種別攻撃機
主任務攻撃・偵察
主契約社フィアット?
初飛行1956.08.09(試作機)1966.12.27(試作機)
クルーパイロット1名
全長10.30m11.67m
全高4.00m4.43m
全幅8.56m9.01m
主翼面積16.4218.13
乾燥重量?3,100kg3,900kg
最大離陸重量?5,500kg8,700kg
最大搭載量?680kg1,914kg
内部燃料搭載量1,610リットル3,200リットル
エンジンブリストル・シドレーオーフューズ 803
ターボジェット×1基
GE J85-GE-13A?ターボジェット×2基
推力22.24キロニュートン18.15キロニュートン(ドライ出力
最大巡航速度650km/h800km/h
最高速度1,075km/h1,111km/h
実用上昇高度13,100m
最大航続距離
(外部増槽×2基)
1,850km3,500km
最大戦闘半径320km600km
固定武装ブローニングM2 12.7mm機関銃×4挺
(弾数:各300発)
もしくは
DEFA550 30mm機関砲×2門
DEFA550 30mm機関砲×2門
(弾数:各125発)
兵装翼下のハードポイントに680kgまで搭載可能ハードポイント×4基
主翼下パイロンに最大1,814kgまで搭載可能


派生型

  • 単座型
    • G91:
      試作および先行量産型。
      一部の電子機器を搭載していない。

    • G91A:
      STOL実験機型。1機のみ製造。

    • G91PAN:
      フレッチェ・トリコローリ向け。前量産型を改修して制作された。
      スモーク発生装置を搭載している。

    • G91R/1:
      イタリア空軍仕様の攻撃/偵察機型。
      機首に偵察用カメラ3基を搭載している。
      • G91R/1A:
        G91R/1の航法装置を改良した機体。
      • G91R/1B:
        G91R/1の機体構造を強化し、チューブレスタイヤなどを採用した機体。

    • G91R/2:
      フランス空軍仕様の単座偵察・攻撃機型。計画のみ。

    • G91R/3:
      西ドイツ空軍仕様の単座偵察・攻撃機型。
      固定武装がDEFA550 30mm機関砲×2門に変更されている。
      後に一部の機体がポルトガル空軍に売却された。

    • G91R/4:
      単座偵察・攻撃機型。
      機体は西ドイツ空軍仕様のG.91R/3と同じであるが、固定武装はイタリア空軍仕様のG.91R/1と同じブローニングM2 12.7mm重機関銃×4挺を装備している。
      元々はギリシャ及びトルコ向けに提案されていた機体だったが、両国とも導入をキャンセルしたため、既に製造されていた50機が西ドイツに納入された。
      後に40機がポルトガル空軍に売却された。

    • G91R/5:
      ノルウェー空軍仕様の単座型。計画のみ。

    • G91R/6:
      G91R/1Bの設計当初の名称。

  • 複座練習型
    • G91T/1:
      イタリア空軍仕様の複座練習機型。
      機関銃が2挺に、ハードポイントが2箇所に削減された。

    • G91T/2:
      フランス空軍仕様の複座練習機型。計画のみ。

    • G91T/3:
      西ドイツ空軍仕様の複座練習機型。
      固定武装にDEFA550 30mm機関砲×2門を搭載するなど、一部の搭載機器が変更されている。
      後にポルトガル空軍に売却された。

    • G91T/4:
      イタリア空軍仕様の改良型。
      F-104と同型の「NASARR」FCSレーダーを搭載する。計画のみ。

  • 機体設計・エンジン改良型
    • G91Y:
      大幅に設計を見直した機体。
      エンジンはGE製のJ85?ターボジェットを双発で搭載。
      機体も一回り大型化され、兵装搭載量や航続距離が強化されている。
      西ドイツ空軍仕様のG.91R/3と同様、固定武装にDEFA550 30mm機関砲×2門を装備している。
      しかし、本機と同じくJ85エンジンを搭載するF-5A/Bが広く普及していたこともあり、輸出は全く振るわず、イタリア空軍向けに60機が製造されたに留まった。
      • G91YT:
        G91Yの複座練習機型。計画のみ。
      • G91YS:
        スイス空軍仕様。提案のみで1機がデモ用に製造されたが採用されなかった。


*1 南部航空同盟、メッサーシュミット、ドルニエ、ハインケルの3社による共同体。

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