Last-modified: 2022-12-07 (水) 12:50:28 (55d)

【Fw190】(ふぉっけうるふあいんはんだーとのいんつぃひ)

Focke-Wulf Fw190 Würger.

第二次世界大戦ドイツ空軍戦闘機/戦闘爆撃機
フォッケウルフ社が開発。愛称は「ヴュルガー(Würger:百舌)」。

Bf109の補完、あるいは量産中に不測の事態が発生した場合の保険として開発された機体。
Bf109とは対照的に頑丈で酷使に耐える設計をもち、2〜4門の強力な20mm機関砲や充実した防弾装備、強力なエンジンによる低高度での優れた加速力など、いくつかの面でBf109をしのぐ高性能を発揮した。

1941年の登場と同時に当時の英空軍主力戦闘機スピットファイア Mk.垢鰺イ譴寝誕力、上昇性能、武装で圧倒し、英仏海峡の航空優勢を半ば確保するほどの活躍を見せた。
この活躍は中・低高度での出力に優れるBMW製空冷エンジン、「BMW801」搭載のA型によってなされた。
この型式はヤーボ戦闘爆撃機)としての運用にも向いていたことから、後に性能が旧式化してからも大きな爆装能力を付与したF型、その長距離任務向けのG型として主に東部戦線の対戦車攻撃に運用された。

一方、この機体特性から高高度ではBf109やスピットファイア、殆どの連合国機に対して不利だった。
そのため、強力な武装を活かせるはずの爆撃機迎撃戦でも、連合軍が高高度爆撃を基本としたために活躍の機会は限られた。

そこで、1942年初頭から高高度戦闘機型の計画が開始した。
この計画によって、エンジン出力強化機であるB型、液冷のターボチャージャー付きDB603液冷エンジン搭載のC型、Jumo213液冷エンジン搭載のD型が試作され、最終的にD型が採用された。
D型は優れた高高度性能と連合国の高性能戦闘機と同等の速度性能を発揮したが、生産開始が1944年8月頃、実戦投入が同年12月頃で、戦局にはさして寄与しなかった。
また、D型の更なる発展型として、Ta152も開発された。

実戦配備されたD型は、パイロット達に液冷エンジン搭載によって伸びた機首とドイツ版フォネティックコードをもじって「長鼻のドーラ」と呼ばれた。

最終的に20,000機以上が生産され、そのうちの約13,000機がA型、約4,700機がF/G型(新規生産機)だったが、一方でD型の生産数は1,000機以下であった。

参照:フォッケウルフ? メッサーシュミット ルフトバッフェ スピットファイア

スペックデータ

型式Fw190A-8Fw190D-9
乗員1名
全長8.80m10.19m
全高3.15m3.36m
全幅10.506m
翼面積18.30
空虚重量3,200kg3,200kg
全備重量4,417kg4,300kg
最大重量4,900kg4,840kg
発動機BMW801D-2
空冷星形複列14気筒×1基
ユンカースJumo213A-1
液冷倒立V型12気筒×1基
出力離昇出力:1,700PS(1,250kW)
緊急出力:
1,980PS(1,456kW)連続稼働10分間まで
MW50使用時:
2,100PS(1,544kW)30分間のみ
離昇出力:1,750PS(1,287kW)
MW50使用時:
2,100PS(1,544kW)30分間のみ
最高速度652km/h(高度5,920m)686km/h(高度6,600m)
上昇率15m/s17m/s
翼面荷重241kg/235kg/
馬力荷重283W/kg299W/kg
上昇限度10,350m12,000m
航続距離1,000km
2,000km(増槽使用時)
835km
武装MG131 13mm機銃×2挺
機首/各400発)
MG151/20 20mm機関砲×2門
(翼内内弦/各250発)
MG151/20 20mm機関砲×2門
(翼内外弦/各160発)
MG131 13mm機銃×2挺
(機首/各475発)
MG151/20 20mm機関砲×2門
(翼内/各250発)

バリエーション(カッコ内は生産機数)

  • Fw190V:
    試作機。

    • Fw190V1:
      試作1号機。BMW139エンジン(離昇1,550PS)を搭載する。
      機首は短いカウルに、プロペラ基部を丸ごと覆う巨大なスピナーを装備する特徴的な外見を持つ。
      しかし、冷却能力が不足していたため、1940年1月には通常の機首形状に変更された。

    • Fw190V2:
      試作2号機。
      両翼にMG17 7.92mm機関銃とMG131 13mm機関銃を1丁ずつ装備した。
      若干の改良の上でV1と同じ機首形状を採っていた。
      1号機と同じく、冷却能力の不足により1940年1月に通常の機首形状へと変更された。

    • Fw190V3:
      試作3号機。交換部品のストック用。

    • Fw190V4:
      試作4号機。破壊・強度試験用。

    • Fw190V5:
      試作5号機。
      エンジンは開発中止となったBMW139の代わりにBMW801C-0(離昇1,600PS)を搭載する。
      従来の全幅9.515m、翼面積が14.90屬V5k翼と全幅10.5m、翼面積が18.30屬V5g翼が生産され、試験結果からV5gが量産機に採用された。

  • Fw190A-0(28機):
    先行量産型。
    通常主翼型と翼幅延長型の2種類がある。

  • Fw190A-1(102機):
    最初の本格的量産型。
    エンジンはBMW801C-1(離昇1,560PS)を搭載。
    武装はMG17 7.92mm機銃×4挺(弾数各900発)、MGFF 20mm機関砲×2挺(弾数各55発)。

  • Fw190A-2(426機):
    降着装置を強化し、主翼付け根のMG17をMG151/20 20mm機関銃(弾数各250発、ベルト給弾・プロペラ同調式)へ変更。
    武装はMG17×2挺、MG151/20×2挺、MG FF/M×2挺。
    エンジンはBMW801C-2を搭載。

  • Fw190A-3(509機):
    エンジンをBMW801D-2(離昇1,700PS)に変更した型。

    • Fw190A-3/U1/U3:
      A-3に500kgまでの爆弾搭載能力を追加した近接支援型。

    • Fw190A-3/U4:
      偵察機型。
      20mm機関砲を2丁に減らし、カメラを搭載した。

    • Fw190TL(Turbolader Strahltriebwerk:ターボジェットエンジン):
      Fw190A-3をベースにしたジェットエンジン試験機?
      エンジンはT1ターボジェットエンジン(推力6kn/600kg)で二段式遠心圧縮機、アニュラー型燃焼室、単段式タービンのターボジェットを搭載予定だった。
      1943年に計画中止。

  • Fw190A-4(906機):
    BMW801D-2エンジンにMW50水メタノール噴射装置を追加した出力強化型(離昇2,100PS(水メタノール噴射時))。

    • Fw190A-4/trop:
      エンジンに防砂フィルターを装着した熱帯仕様。

    • Fw190A-4/R6:
      水メタノール噴射装置を撤去し、翼下にロケット弾を搭載可能にした型。

    • Fw190A-4/U8:
      20mm機関砲を2挺に減らし、増加燃料タンクを搭載可能にした型。

  • Fw190A-5(723機):
    エンジンの取付架を前方に152.5mm延長し重心位置を修正した型。

    • Fw190A-5/U2:
      消炎マフラーを装備する夜間戦闘機型。

    • Fw190A-5/U14:
      魚雷を搭載可能にした対艦攻撃型。

    • Fw190A-5/U12:
      翼下に20mm及び30mm機関砲ポッドを装備する武装強化型。

  • Fw190A-6(569機):
    主翼外翼のMG FFをMG151/20 20mm機関銃(弾数各125発)へ変更した型。
    武装はMG17×2挺、MG151/20×4挺。
    コックピット周辺に防弾装甲が付されている。

    • Fw190A-6/R1:
      武装を20mm機関砲×6挺を装備する型。

    • Fw190A-6/R2:
      20mm機関砲1挺を30mm機関砲に変更した型。

    • Fw190A-6/R3:
      翼下にMK103 30mm機関砲×2門を装備した型。

    • Fw190A-6/R6:
      ロケット弾ポッドが搭載可能な型。

  • Fw190A-7(80機):
    Fw190A-5/U9の制式化モデル。
    機首のMG17をMG131 13mm機関銃×2挺(弾数各475発)へ変更。
    武装はMG131×2挺、MG151/20×4門。

  • Fw190A-8(約8,300機):
    A-7型に若干の改良を加えた型。
    コックピット直後に115リットルの出力増強装置用のタンク(燃料・亜酸化窒素(GM-1)・水メタノール(MW50)のいずれか)を増設。
    対爆撃機戦闘向けのR2、R8仕様機の場合は主翼外翼のMG151/20をMK108 30mm機関砲(弾数各55発)へ換装した。
    一部の機体は新型のBMW801TUエンジン(離昇出力1,810PS)を搭載した。
    キャノピーを視界が向上した「ガーラント・ハウベ」へ変更した機体も生産された。

    • Fw190A-8/R7:
      装甲付き操縦席を装備する型。

    • Fw190A-8/R11:
      暖房装置付き操縦席を装備する全天候型。

    • Fw190A-8/U1:
      複座練習機型。

    • Fw190A-8/U3:
      ミステル無人特攻機)母機改修型。

  • Fw190A-9(少数機):
    エンジンをBMW801TS/TH(離昇2,000PS)に、キャノピーを「ガーラント・ハウベ」に変更。
    エンジンに14枚タイプの強制冷却ファンと幅の広いDVM9-12157H3木製プロペラを装備。

  • Fw190A-10:
    ターボ過給器を備えたBMW801F-1エンジンを搭載した高高度戦闘機型。計画のみ。

  • Fw190B:
    出力強化型のBMW801を搭載した高々度性能改良型計画機。各種テスト機が製作された。
    GM-1出力強化装置を装備し、与圧キャビンも装備した。

  • Fw190C(9機):
    ターボチャージャー付きDB 603エンジン搭載の高々度性能改良型計画機。
    機首の延長、主翼位置を前進、プロペラ枚数を三翅から四翅へ、エンジンは高高度性能の向上が望めるターボチャージャー装備のDB603A液冷12気筒エンジン(離昇1,750PS、高度10,000mで950PS)を搭載した。
    基本型のC-0型、与圧キャビンの無いC-1型、与圧キャビンを装備したC-2型が生産されテストされた。

    A-7にJumo 213 A-1液冷エンジン(離昇出力1,800PS、高度5,800mで1,600PS、高度9,800mで1,020PS)を装備した高高度戦闘機型原型機。
  • Fw190D-0:
    A-7にJumo213A-1液冷エンジン(離昇出力1,800PS、高度5,800mで1,600PS、高度9,800mで1,020PS)を装備した高々度戦闘機型原型機。

  • Fw190D-9「ドーラ」(約700機):
    D-0の生産型。1944年8月より生産開始。
    エンジンをユンカース社のJumo 213 A液冷エンジンへ換装することにより、高々度性能・最高速度・上昇力・旋回性能が向上した。
    エンジン換装により機首が長くなったため、後部胴体の50cm延長と垂直安定板を増積して重心位置を修正している。
    キャノピーは通常型と「ガーラント・ハウベ」がある。
    武装は機首にMG131 13mm機銃×2挺(弾数各475発)、主翼付け根にMG151/20 20mm機関銃×2挺。

  • Fw190D-10:
    Jumo213C エンジンを搭載、モーターカノンにMK108 30mm機関砲を装備した型。

  • Fw190D-11:
    2段3速過給器付きのJumo213F(離昇出力2,050PS)エンジンを搭載、VS10プロペラを装着する型。主翼に30mm機関砲と20mm機関砲を各2門装備する。

  • Fw190D-12:
    Jumo213Fを搭載、翼内武装を廃止し、20mm機関砲×2挺を機首部、30mm機関砲×1門をモーターカノンに集中装備した。

  • Fw190D-13:
    モーターカノンの30mm機関砲を20mm機関砲に変更した型。

  • Fw190E:
    戦闘偵察機型の提案型。製作されず。

  • Fw190F-1:
    A-4を基にした戦闘爆撃機型。
    対空砲火に備え胴体下面、燃料タンクなどの装甲強化、外翼のMG151/20 20mm機関銃の撤去、胴体下に爆弾架を装備。

  • Fw190F-2:
    A-5を基にした型。武装はF-1と同様。

  • Fw190F-3:
    F-2の改良型。両主翼下にも爆弾架を装備。

    • Fw190F-3/R1:
      翼下にETC50爆弾を搭載可能とした型。

    • Fw190F-3/R3:
      翼下に30mm機関砲×2門を装備した型。

  • Fw190F-8:
    A-8を基にした型。
    後期生産型はキャノピーを「ガーラント・ハウベ」に変更している。

    • Fw190F-8/U2/U3:
      BT700及びBT1400魚雷の搭載能力を付与した対艦攻撃型。

  • Fw190F-9(少数):
    A-9の対地攻撃機改修型。
    A-9と同様エンジンはBMW 801 TS、キャノピーは「ガーラント・ハウベ」へ変更されている。

  • Fw190G-1:
    A-4を基にした長距離戦闘爆撃機型。
    主翼付け根のMG151/20 20mm機関銃×2挺、胴体下に爆弾架、両主翼下に300リットル入り増槽が標準装備。

  • Fw190G-2:
    A-5を基にした型。

  • Fw190G-3:
    A-6・A-7を基にした型。PKS11自動操縦装置を追加。

  • Fw190G-8:
    A-8を基にした型。両主翼下にも爆弾架を装備。

  • Fw190S-5:
    A-5を基にした複座練習機型。
    後席は教官席で簡単な操縦装置が追加されている。
    非武装で、キャノピーは前・後席とも右上方へ開く。

  • Fw190S-8:
    A-8を基にした型。
    教官席のキャノピー側面が改修され視界が向上している。

  • Ta152:
    Fw190D-9の発展型。詳細はTa152を参照。


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