Last-modified: 2023-01-13 (金) 20:17:15 (77d)

【F8F】(えふえいとえふ)

Grumman F8F Bearcat.

アメリカのグラマン第二次世界大戦期に開発したレシプロ艦上戦闘機
愛称は「ベアキャット*1」。

開発

1942年にイギリスが鹵獲したドイツのFw190Aはアメリカに送られ、数度の試験飛行を実施した。
その際にFw190に試乗したグラマン社のテストパイロットは本機の高性能の要因である「小柄な機体と大馬力空冷エンジン」の組み合わせに大きな可能性を感じ、開発部にこのコンセプトを踏襲した戦闘機開発を提案、了承された。
開発には当時海軍の主力艦上戦闘機であったグラマンF6F」運用時に得られた知見も取り入れ、設計は1943年11月に完了、軍によって次世代艦上戦闘機候補に指定され「XF8F」の制式名称が与えられた。
試作機は1944年8月に初飛行、1945年2月には生産初号機が完成した。

特徴

機体規模が同時期の単発戦闘機の中でも非常に小さいために空気抵抗が小さく、そこに大馬力空冷エンジンを搭載したことから、制空戦闘機としての総合的な性能はレシプロ搭載機中でも最高級のものとなった。

太平洋戦争初期にドッグファイトで連合軍機を圧倒した零式艦上戦闘機との飛行試験による性能比較では、旋回半径を除くあらゆる点でF8Fが優れることが証明された。

また、小柄な機体は空母への大量搭載に適しており、生産性も高かった。
ただし、飛行安定性は小さな主翼面積や短い全長のために従来のF6Fより低く、搭載可能な爆弾ロケット弾の数ではF4Uに劣った。

運用

生産機はまずアメリカ海軍に配備されたが、実戦参加以前に太平洋戦争は終戦した。
戦後、戦闘機の主流がジェット機へと移ったため、圧倒的な速度差によって制空戦闘における本機は立場を失った。
また、対地攻撃能力や航続距離でも従来から運用されてきたF4Uに劣ることから能力を見限られ、米海軍は早期に本機を退役させた。
なお、海軍のアクロバットチームである「ブルーエンジェルス」ではF6F-5に続く二代目の使用機となった。

その後、タイやフランスに輸出され、フランスの機体はインドシナ戦争における対地攻撃任務に運用、南ベトナムの独立後は同国へ提供された。

本機は戦闘機としては1963年、南ベトナム空軍の運用終了によって完全退役した。

その機体特性からエアレース専用改造機も多く、21世紀に至っても運用は一部で継続されている。

F8F改造のレーサー機「レァ・ベァ(Rare Bear)」は、850km/hのレシプロ機速度記録を保有する。

スペック

型式F8F-1F8F-2
乗員1名
全長8.43m
全幅10.82m(折りたたみ時は7.25m)
全高4.17m
翼面積22.67
翼型root:NACA 23018
tip:NACA 23009
空虚重量3,322kg3,470kg
全備重量4,387kg4,689kg
最大離陸重量5,779kg6,106kg
燃料搭載量機体内燃料タンク:700L
落下増槽タンク:568L×1基+379L×2基
計:2,025L
エンジンP&W R-2800「ダブルワスプ」?
空冷複列18気筒×1基
R-2800-34WR-2800-30W
出力2,100 hp / 1,567 kW
最大 2,750 hp / 2,052 kW
2,250 hp / 1,679 kW
最大 2,500 hp / 1,866 kW
プロペラ定速4翅プロペラ(直径3.84m)
最高速度(海面高度)678km/h622km/h
最高速度(適正高度)689km/h(高度5,730m)719km/h(高度8,534m)
上昇率
(海面高度)
28.5m/s22.68m/s
上昇性能高度6,096mまで4分54秒
(20.73m/s)
高度6,096mまで5分30秒
(18.47m/s)
実用上昇限度10,607m11,643m
航続距離*2
増槽:568L×1)
2,278km1,954km
航続距離*3
(増槽:568L×1 + 379L×2)
3,352km2,954km
固定武装ブローニング AN/M2
12.7mm重機関銃
×4挺
(翼内、総弾数1,200発)
イスパノ・スイザ AN/M3
20mm機関砲×4門
(翼内、総弾数820発)
爆装最大1,633kg
1,000lb及び16,00lb爆弾 / HVARロケット×4 / Tiny Timロケット×2


バリエーション

  • XF8F-1(2機):
    原型機。社内呼称「G-58」。

  • F8F-1(658機):
    初期生産型。エンジンはR-2800-22Wまたは34W(2,100hp(1,600kW))を搭載。
    武装は12.7mm機関銃×4挺。

    • F8F-1B(100機):
      搭載機銃をAN/M3 20mm機関砲×4門に変更した武装強化型。

    • F8F-1C(126機):
      F8F-1Bに改称。

    • F8F-1D:
      無人機管制機型。同じ呼称で熱帯仕様改修機も存在する。

    • F8F-1(D)B:
      フランス、タイ向け輸出仕様の非公式名称。

    • F8F-1E:
      夜間戦闘機型試作機。AN/APS-4レーダーを搭載。

    • XF8F-1N:
      夜間戦闘機型試作機。

    • F8F-1N(12機):
      夜間戦闘機型。AN/APS-19?レーダーを搭載。

    • F8F-1P:
      写真偵察機型。

  • F3M-1:
    ゼネラルモーターズ社製F8Fの計画呼称。

  • F4W-1:
    カナディアン・カー・アンド・ファウンドリー(CC&F)社製F8Fの計画呼称。

  • XF8F-2:
    改良型試作機。

    • F8F-2(293機):
      垂直尾翼延長、エンジンカウリングの変更など各部再設計をおこなった改良型。
      エンジンはR-2800-30Wを搭載。

    • F8F-2D:
      無人機管制機型。

    • F8F-2N:
      夜間戦闘機型。APS-19レーダーを搭載。

    • F8F-2P(60機):
      写真偵察機型。

  • G-58A/B「ガルフホーク検廖2機):
    速度競技機として発注された民間登録機。


*1 ジャコウネコ科の動物「ビントロング」の別名だが、勇敢な闘士という意味もある。
*2 燃料消費量+5%の補正後に算出。
*3 燃料消費量+5%の補正後に算出。

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