Last-modified: 2023-01-13 (金) 20:14:06 (77d)

【F4F】(えふふぉーえふ)

Grumman F4F "Wildcat".

アメリカ合衆国のグラマン社が1930年代に開発した艦上戦闘機
愛称は「ワイルドキャット*1」。

開発

1935年、グラマン社は現行のF3Fを置き換える次期主力艦上戦闘機の開発を開始した。社内呼称「G-16」、後に海軍から「XF4F-1」と呼ばれるこの機体は、従来のグラマン社製艦上戦闘機同様に複葉機として計画されていた。

しかし、1936年にアメリカ海軍が発行した次期主力艦上戦闘機の要求仕様は、折りたたみ可能で単葉、引き込み脚や密閉式コックピットなど当時としては先進的な要素が含まれたものだった。

これを受け、グラマン社は1936年7月頃から設計方針を大きく変更、単葉機化された「XF4F-2」を開発した。

XF4F-2は1937年2月に初飛行、同年12月に初飛行、競合機となったブリュースター社のXF2Aとの比較が実施された。
結果、性能的な優位はXF2Aにあると結論づけたアメリカ海軍はXF4F-2を不採用とした。

2年後の1939年2月12日に初飛行した改良型「XF4F-3」は試験飛行時、高度6492mにて539km/hの最高速度を記録、優れた運動性と操縦性を発揮したため制式採用された。

1939年8月には初期生産型「F4F-3」の製造が開始された。

運用・戦史

ヨーロッパで発生した第二次世界大戦における航空戦の戦訓から防弾板の追加等が施され、太平洋戦争までには標準装備化した。

太平洋戦争では、開戦から1943年後半までアメリカ海軍の主力艦上戦闘機として運用された。
相対する日本海軍零式艦上戦闘機に対しては、低速域における旋回性能や低高度における上昇性能で劣ったものの、高高度性能や急降下制限速度、無線機の信頼性で勝っていた。
そのため、二機一組での連携戦闘を徹底することによって優位な状況を作り出し、戦闘を優位に進めることを可能とした。

また、イギリス海軍航空隊では1940年頃から運用が開始され、ノルウェーや地中海における戦闘で活躍した。

後継機のF6FF4Uが前線に配備され始める1943年中盤からは主力の座から外れ、護衛空母搭載機や哨戒機としての運用を主としていった。

しかし、改良型のFM-2は空母への大量搭載に適していたことから引き続き前線で活躍、戦争後期にも数人のエースパイロットを生み出した。

最終的な生産数は7,885機で、太平洋戦争が終結を迎える1945年8月とともに海軍航空隊での運用が終了、退役した。

IMG_8799.jpg

Wildcat Mk. (FM-2)

関連:グラマン鉄工所

スペックデータ

型式F4F-3F4F-4
種別艦上戦闘機
主任務制空
主契約グラマン社
乗員パイロット1名
全長8.76m8.8m
全高3.60m2.8m
翼幅11.58m11.6m
主翼面積24.15
空虚重量2,226kg2,674kg
全備重量3,367kg3,617kg
最大離陸重量-3,974kg
エンジンP&W R-1830-76「ツインワスプ」
空冷星形複列14気筒×1基
(出力1,200hp(900kW))
P&W R-1830-86「ツインワスプ」
空冷星型複列14気筒×1基
(出力1,200hp(900kW))
最高速度531km/h(高度6,431m)515km/h(高度5,730m)
航続距離1,360km1,337km
最大上昇高度12,000m10,363m
上昇率11.7m/s11.17m/s
固定武装ブローニングAN/M2
12.7mm機関銃
×4挺
(装弾数各450発)
ブローニングAN/M2
12.7mm機関銃
×6門
(装弾数各240発)
兵装100ポンド(45kg)爆弾×2発又は58gal(220L)ドロップタンク×2基


バリエーション

アメリカ

  • XF4F-1(社内呼称G-16):
    複葉機型原型の提案。

  • XF4F-2(社内呼称G-18)(1機):
    単葉機型原型。

  • XF4F-3(社内呼称G-36):
    XF4F-2の改造型で、XR-1830-76(1,050馬力)搭載の原型機。

  • F4F-3(285機(3A型の95機を含む)):
    R-1830-76搭載の最初の量産型。12.7mm機銃4門を搭載。

    • F4F-3A:
      R-1830-90搭載のF4F-3発展型。F4F-6から改称。

    • F4F-3P:
      偵察機型。ごく少数機が改装。

    • F4F-3S「ワイルドキャットフィッシュ(WildcatFish?)」(2機):
      日本の二式水上戦闘機に対抗して試作された水上機型試作機の非公式呼称。

  • F4F-4(1,169機):
    珊瑚海海戦での戦訓を元に手動式の主翼折りたたみ機構を搭載した型。
    エンジンは中高度向けのR-1830-86(1,200馬力)を搭載。
    最も多く生産された。
    固定武装として12.7mm機銃を2挺追加し6挺となったが、1挺あたりの弾数が450発から240発に低下し、反動による機体の振動が増したため、乗員からの評判は良くなかった。

    • F4F-4A:
      エンジンはR-1830-90を搭載。

    • F4F-4B:
      R-1820系エンジンを搭載。

    • F4F-4P:
      偵察機型。ごく少数機が改装。

  • XF4F-5(社内呼称G-36):
    AR-1820-40エンジン搭載の原型機。
    試作のみ。

  • F4F-6:
    F4F-3Aの初期呼称。

  • F4F-7(社内呼称G-52)(21機程度):
    カメラを搭載し、軽量化で燃料搭載量を増やした偵察機型。

  • XF4F-8:
    FM-2の試作原型機。
    新設計のフラップカウルを搭載した。

  • FM-1(1,060機(マートレット含む)):
    ジェネラルモーターズ社製作の機体。F4F-3と同等の機体。

  • FM-2(4,127機(イギリス供与機含む)):
    同社製作の機体。XF4F-8をベースに軽量化されている。
    エンジンはライトR-1820-56「サイクロン9」(1,350hp)を搭載し、戦争後半においても活躍した。

    • XF2M-1:
      同社提案のXR-1820-70エンジン搭載型。採用されず。

イギリス

  • Martlet*2 Mk.機兵卞盡鴇G-36A):
    フランス海軍の発注により生産されたが、現地到着以前にドイツに降伏したためイギリスへ供給されたG-36Aの英軍制式名称。
    主翼折りたたみ機能が無く、エンジンは機密保持のため2段過給器の廃止されたR-1820-G205Aを搭載。
    武装は12.7mm機銃×4門。

  • Martlet Mk.供
    イギリスに供給されたG-36Bの英軍制式名称。のちにWildcat Mk.兇伐称。
    主翼折り畳み機能付きで、エンジンはP&W R-1830-S3C4-Gを搭載する。
    武装は12.7mm機銃×6門。

  • Martlet Mk.掘
    ギリシャが発注により生産されたが、現地到着以前にドイツによって降伏したためイギリスへ供給されたF4F-4Aの英軍制式名称。のちにWildcat Mk.靴伐称。
    基本はF4F-3Aに準ずる。主翼折り畳み機能無し。

  • Martlet Mk.検
    イギリスに供給されたF4F-4の英軍制式名称。
    エンジンはR-1820-40BおよびGR-1820-G250A-3を搭載した。

  • Martlet Mk.后
    イギリスへ供与されたFM-1の英軍制式名称。のちにWildcat Mk.犬伐称。

  • Wildcat Mk.此
    イギリスへ供与されたFM-2の英軍制式名称。


*1 山猫または野良猫の意。スラングでは意地悪女という意味も持つ。
*2 マートレット:イワツバメの意。

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