Last-modified: 2020-01-24 (金) 20:40:25 (132d)

【F2Y】(えふにわい)

Convair F2Y(F-7)"Sea Dirt".

1940年代、アメリカ海軍が試作したジェット水上戦闘機

第二次世界大戦後、アメリカ海軍では何種類かのジェット艦上戦闘機が開発され、一応の成功を収めていたが、いずれもレシプロ機に比べると着艦能力と航続距離が不足していた。
そしてジェット機の大型化も必至の状況では、更に離着艦能力が悪化し、従来の航空母艦では運用不能になることが危惧されていた。

事実、海軍では1950年代に入ってもレシプロ艦上戦闘機の運用を続けており、レシプロ艦上攻撃機に至っては1960年代まで実戦使用されていた。

本機はこの解決策の一環である「超音速ジェット水上機」として開発されたものである。

機体はデルタ翼に水上スキー状の引き込み式降着装置*1を設けた無尾翼機で、2基のターボジェットエンジンで推進するものであった。
機体下面はV字型の艇体になっており、エンジンの空気取り入れ口は海水を吸い込まないように胴体中ほどの上面に設けられていた。
また、エンジンに付いた塩分洗浄用に真水タンクを搭載している。

当初はエンジンにアフターバーナーが未装備であったため推力が不足しており、要求された性能を満たすことはできなかったが、これはアフターバーナー付のエンジンに換装して解決された。

試験飛行では緩降下時に音速突破に成功し*2、一応の成功は収めたものの、予定していた「水平飛行時マッハ1.5」の性能を発揮するには機体形状が水上機のままでは実現不可能なことや、水上滑走時の衝撃を緩和する方法が見つからなかったこと、また、離着水には穏やかな水面が必要で外洋での実戦運用に疑問が呈されたことなどもあって、試作機5機(XF2Y-1×1機・YF2Y-1×4機)のみの生産に終わった。

この間に航空母艦の技術改良も進み、スチームカタパルト斜め飛行甲板の実用化や「ミッドウェイ」「フォレスタル」級超大型空母の建造で従来のジェット艦載機でも問題なく運用が可能になっていた。

こうして水上機の必要性が薄れたこともあり、計画は1956年に中止となった。
機体は計画中止後もしばらくの間、スキッド式の降着装置の試験に用いられた後*3除籍され、3機がアメリカ各地で保存・展示されている。

試験が行われていた頃、本機3機を搭載する原子力潜水空母が計画されていたが、本機の開発中止に伴って構想のみで終わっている。

スペックデータ(YF2Y-1)

乗員パイロット1名
全長15.583m
全高4.9m(3点ビーチングギア時)
2.26m(水平艤装位置)
1.65m(胴体/船体ビーム)
翼幅10.77m
ドラフト1,000mm(スキー収納時)
2,450mm(スキー延長時)
翼面積52.8
翼型root:NACA 0003.30-65(mod.)3%厚さ
tip:NACA 0004-65(mod.)4%厚さ、平均厚さ3.83%
アスペクト比1.02
空虚重量7,586kg
総重量11,055kg
燃料容量3,800L
エンジンウェスティングハウスJ46-WE-12Bアフターバーナー付きターボジェット×2基
ウェスティングハウスJ34-WE-32ターボジェット×2基(XF2Y-1)
推力J46-WE-12B:20kN(4,500lbf)(ドライ推力)/27kN(6,100lbf)(A/B時)
J34-WE-32:15,000N(3,400lbf)(ドライのみ)
最高速度マッハ1.25
1,118km/h(高度2,400m)
1,328km/h(高度11,000m)
航続距離826km
上昇率87m/s
高度到達時間高度11,000mまで1分42秒
翼面荷重140kg/
推力重量比0.56(最大重量時)
0.96(空虚重量時)
滑走距離
離水/着水
1,700m/460m
固定武装なし*4
兵装なし*5

バリエーション

  • XF2Y-1(1機):
    試作機。
    エンジンは当初はウェスティングハウス J34であったが、後にウェスティングハウス J46に換装。

  • YF2Y-1(YF-7A)(4機*6):
    第2次試作機。J46エンジンを搭載。

  • F2Y:
    量産型。計画のみ。

  • F2Y-2:
    エンジンをP&W J75?ターボジェット1基に変更した能力向上型。計画のみ。


*1 水上機の性能上の欠点となるフロートは採用しなかった。
*2 これは2020年現在でも、水上機としては唯一の記録である。
*3 このため、1962年の機体命名法改定で「F-7」という型式名が与えられている。
*4 量産型ではコルトMk.12 20mm機関砲×4門を搭載予定であった。
*5 量産型では空対空ミサイル×2発、FEARロケット弾を搭載予定であった。
*6 飛行可能な状態で完成したものは2機のみ。

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