Last-modified: 2022-10-27 (木) 19:30:53 (43d)

【F2A】(えふつーえー)

Brewster F2A.

ブリュースター社が開発し、第二次世界大戦期に運用されたアメリカ海軍艦上戦闘機
英空軍では「バッファロー」と呼ばれた。

1,000馬力級空冷エンジンを搭載、太い単葉の胴体に、引き込み脚やアレスティングフック、密閉式コックピットなど、当時の艦載機としては革新的な要素を多数盛り込まれて設計され、1939年にアメリカ海軍への実戦配備が始まった後はフィンランドや英国などにも供与された。

太平洋戦争初期に運用されたが既に旧式化しており、相対する日本軍主力戦闘機だった零式艦上戦闘機に対しては、速度上昇性能運動性航続距離の全てにおいて劣り、ミッドウェー海戦では海兵隊に所属していた*1F2A-3・19機が零式艦上戦闘機相手に13機損失と一方的な損害を出した。
太平洋戦線における戦闘機不足が緩和される1942年夏までに多くが第一線を退き、以後はフロリダ州のペンサコーラおよびマイアミの海軍基地に駐留する海軍訓練飛行隊で練習機として用いられた。

一方、フィンランド軍に供与された機体のB-239「ブルーステル」(F2Aのフィンランドでの愛称)は、航空母艦上での運用のための様々な装備が省かれていたほか、エンジン計器などが変更されたこと、フィンランド空軍の精強なパイロットによって十分な性能を発揮し、ソビエト連邦との継続戦争序盤から奮戦、喪失21機(事故含む)のみで大規模な航空戦力をもつソ連軍相手に456機撃墜と大きな活躍を見せた。
フィンランドにおいては数々のエースパイロットを生み出したことから「タイバーン・ヘルミ(taivaan helmi:空の真珠)」*2と賞賛され、1943年にBf109Gの導入で旧式化した後も、ラップランド戦争終結の1945年まで使用され続けた。
また、フィンランドは本機の国産化も試みた(失敗)。

関連:F4F エイノ・イルマリ・ユーティライネン ハンス・ヘンリック・ウィンド?

スペックデータ

F2A-3
乗員1名
全長8.03m
全高3.66m
翼幅10.67m
翼面積19.4
翼型root:NACA 23018
tip:NACA 23009
空虚重量2,146kg
最大離陸重量3,247kg
発動機R-1820-40「サイクロン」空冷星形9気筒×1基
出力1,200hp(890kW)
プロペラ3枚翅定速プロペラ
最高速度517km/h
巡航速度259km/h
航続距離1,553km
実用上昇限度10,100m
上昇率12.4m/s
翼面荷重139kg/
馬力荷重445W/kg
固定武装ブローニングAN/M2 12.7mm機関銃×4挺(機首×2+翼内×2)
爆装最大90.8kg(45kg爆弾×2等)(F2A-2/-3)


VLフム
乗員1名
全長8.03m
全高3.66m
翼幅10.67m
翼面積19.40
翼型root:NACA 23018
tip:NACA 23009
最大離陸重量2,895kg
エンジンシュベツォフ M-63(ASh-62?空冷星型9気筒×1基
(出力1,000hp(746kW))
プロペラ3枚可変ピッチプロペラ
最大速度430km/h
巡航高度8,000m
上昇率13.3m/s
武装LKk/42 12.7mm機関銃×2挺


派生型(カッコ内は生産機数)

  • XF2A-1(B-139):
    ライトR-1820-22エンジン(950馬力(710kW))を搭載する原型機。
    武装は機首ブローニング AN/M2 50口径12.7mm重機関銃ブローニング AN/M2 30口径7.62mm機関銃?を1基ずつ装備。

  • XF2A-2:
    ライトR-1820-40エンジン(1,100馬力(820kW))を搭載する改良原型機。
    XF2A-1から改造された。

  • F2A-1(11機):
    ライトR-1820-34エンジン(940馬力)を搭載する初期生産型。
    機首が再設計され、垂直尾翼が拡大されている。
    武装も、AN/M2 50口径12.7mm機関銃が左右主翼に1基ずつ追加され4挺に強化された。

  • F2A-2(43機):
    エンジンを出力強化型のR-1820-40(1,200馬力)に変更し、武装を機首・主翼共にブローニングAN/M2 12.7mm機関銃に統一した型。
    主翼下に100ポンド(約45.4kg)の爆弾を搭載できる能力が追加された。

  • F2A-3(108機):
    防弾装備を強化し、偵察機としての任務にも適するよう燃料搭載量を増大させた型。
    エンジンカウリングやキャノピーも再設計されている。
    航続距離は増加したが、重量増加のため運動性は低下した。

  • XF2A-4(1機):
    XF2A-2を改造して試作された性能向上型。
    新型フラップエルロンを備え、翼内機銃を片側3丁に増加させた主翼への変更、エンジンを2段過給器付のライトR-2600-12「ツイン・サイクロン」(1,700馬力)とし、胴体を18インチ延伸、機首機銃を廃止する等の改良を加え、コックピットに与圧装備を施した。

  • B-239(44機(フィンランド空軍)):
    エンジンをR-1820-G5(950馬力)、 照準器をドイツのレフィ、計器をオランダのフォッカー社製に変更した輸出型*5
    機銃は機首にコルトM40 7.62mm機関銃、機首と主翼にコルトM53 12.7mm機関銃の計4挺だったが、機首のコルトM40は後にコルトM53に変更された。

  • B-339(40機):
    輸出型。
    ベルギーが発注したが、受領する前にドイツに占領されたため、イギリス空軍に回された。

  • B-339C(24機):
    エンジンをR-1820-G105(1,000馬力)に変更した輸出型。
    オランダ領東インド陸軍航空隊が使用した。

  • B-339D(48機):
    エンジンをR-1820-40に変更した輸出型。
    オランダ領東インド陸軍航空隊が使用した。

  • B-339E(170機):
    エンジンをR-1820-G-105に変更した輸出型。
    イギリス空軍が使用した。

  • B-439(20機):
    エンジンをR-1820-G205A(1,200馬力)に変更した輸出型。
    オランダ領東インド陸軍航空隊が使用した。

  • VL フム:
    フィンランド国営航空機工場がF2Aの設計をベースに製作した戦闘機。
    名称のフム(Humu)は渦巻くものの意。
    主翼に装備されていた機関銃は胴体に移設されている。
    90機発注されたが、エンジンが非力であったことや重量が計画値より増加したことで、標準的な性能には及ばないと判断され量産中止になった。
    現在は、試作型がフィンランド中央航空博物館に展示されている。


*1 所属はVMF-221(第221海兵戦闘飛行隊)。
*2 他の愛称として「Lentävä kaljatynnyri(空飛ぶビールケグ*3)」や「Pylly-Valtteri(ヴァルッテリ*4の尻)」などがあった。
*3 Keg:ビールの貯蔵・輸送容器のこと。
*4 当機が導入された際のフィンランドの国防大臣の名。
*5 当時、フィンランドがソ連との冬戦争中だったため、交戦国に軍事物資の輸出を禁止する法律によってアメリカ海軍制式装備の輸出が認められなかったためである。

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