Last-modified: 2022-12-20 (火) 14:00:52 (279d)

【F-86】(えふはちじゅうろく)

North American F-86"Sabre(セイバー)"

ノースアメリカン社が1940年代に開発した第一世代ジェット戦闘機

第二次世界大戦中に開発が始まり、当初は直線翼による設計が行われていた。
終戦後、ドイツから鹵獲した資料より後退翼についての知見を発見し、急遽後退翼へと設計変更された経緯がある。

固定武装としては基本的に12.7mm機関銃6門を搭載。
後期型からは翼下に赤外線探知式空対空ミサイルを2〜4発装備可能となった。

f86a.jpg

(F-86A)

主な戦訓

1950年に勃発した朝鮮戦争が初の実戦となった。
初期に運用されていたA型はパイロットの技量的な優位から十分な戦果を挙げたが、同時期のソ連製戦闘機MiG-15相手に苦戦。
原因は機体の上昇性能・高高度性能においてMiG-15に劣っていた事による。

その後、MiG-15に匹敵する性能をもつF型が配備されると形勢は大きく覆され、MiG-15に対してキルレシオ約4:1を記録している。

1958年9月、台湾海峡で発生した金門馬祖上空戦においても実戦投入。
中華民国のF-86は人民解放軍殲撃5MiG-15の中国生産型)に対し、歴史上初めて空対空ミサイルによる戦果を挙げた。

スペックデータ(F-86F-40-NA)

乗員1名/2名(複座型)
全長11.4m
全高4.5m
翼幅11.3m
主翼面積29.11
空虚重量5,046kg
全備重量6,894kg
最大離陸重量8,234kg
内部燃料積載量1,650L(437 USgal)
エンジンGE J47-GE-27?ターボジェット×1基
推力26.3kN(5,910lbf)
最高速度1,106km/h(海面、戦闘重量6,447kg時)
1,091km/h(高度6,960m時)
失速速度200km/h
航続距離2,454km
戦闘行動半径667km
(1,000lb(450kg)爆弾×2発、200US gal(760L)ドロップタンク×2基搭載時)
実用上昇限度15,100m(戦闘重量)
海面上昇率45.72m/s
翼面荷重236.7kg/
揚抗力比15.1
推力重量比0.42
固定武装AN/M3 12.7mm機銃×6挺(装弾数1,800発)
兵装4箇所のハードポイントに以下の兵装を2,400kgまで搭載可能。
1,000kg爆弾×2発
戦術核兵器
ナパーム弾
マトラロケット弾ポッド×2基(SENB 68mmロケット弾×18発)
200 USgal(760l)ドロップタンク×2基

主な量産型(カッコ内は生産・改修機数)

ノース・アメリカン社製

  • XP-86(3機):
    試作機。ノースアメリカン・モデルNA-140。
    試験飛行中に急降下で音速を突破したことが何度かあり、一説には世界初の音速突破を達成した実験機ベルX-1?よりも先に音速を突破したのではないか、という説も存在している。

  • F-86A(554機):
    最初の量産型。旧称P-86A。
    機体命名法の変更に伴い、名称も変更された。

  • RF-86A(11機):
    A型の機関銃を外し、カメラを搭載した写真偵察機型。

  • F-86D(2,504機):
    機首に大型レーダーを搭載した全天候戦闘機型。
    突き出たレドームが鼻のように見える事から「セイバードッグ」の通称がある。
    大幅な設計変更が行われ、他のF-86より鋭角になった後退翼アフターバーナー付きエンジンが装備された。
    また、武装が12.7mm機関銃から「マイティ・マウス」24連装70mmロケット弾用引き込み型ランチャーに変更されている。
    なお、フィアット社が開発したFIAT G91は本機の図面を参考に開発された。

  • F-86E(456機):
    A型の改良型。
    全遊動式水平尾翼を装備し、機動性が向上した。
    また、艦上機型・FJ-2のベースになった機体でもある。
    E-1、E-5、E-10、E-15のサブタイプがある。

  • F-86E(M):
    NATO諸国向けの輸出型。

  • QF-86E:
    セイバーMk.5を無人標的機に改造した型。

  • F-86F(1,800機以上):
    E型の改良型。
    エンジンをJ47-GE-27(推力2.7t)に強化。
    主翼の前縁が6インチ、翼端を3インチ延長され、前縁スラットを廃止した境界翼に置き換えられている(通称「6-3翼」)。
    F-1、F-5、F-10、F-20、F-25、F-26、F-30などのサブタイプがある。
    三菱重工でもライセンス生産され、航空自衛隊では「旭光(きょっこう)」「ハチロク」という愛称で呼ばれた。

    関連:ブルーインパルス

  • RF-86F(18機(航空自衛隊)):
    F型を写真偵察機に改修したもの。

  • QF-86F(50機):
    航空自衛隊用途廃棄となってアメリカに引き取られたF型を無人標的機に改造したもの。

  • TF-86F(2機(F-30型及びF-35型)):
    複座練習機型。計画中止で不採用になった。

  • F-86G(406機):
    D型にJ47-GE-33エンジンを搭載した型。後にD-60型に改名された。

  • YF-86H(2機):
    戦闘爆撃機型試作機。

  • F-86H(473機):
    低高度爆撃システム(LABS)や核爆弾投下システムを装備する戦闘爆撃機型。
    エンジンを従来のJ47からJ73-GE-3(推力4.0t)に換装し、燃料タンクを増加した。
    これにより胴体が太くなったため「ホッグセイバー」と呼ばれた。

    • QF-86H(29機):
      H型の無人標的機型。

  • F-86J:
    カナダ空軍向けに、F-86A-5-NAにオレンダ社製のエンジンを搭載した型。
    計画中止により不採用。

  • YF-86K(2機):
    輸出型試作機。

  • F-86K(120機(ノースアメリカン)・221機(フィアット)):
    D型の輸出型。
    武装が20mm機関砲に変更されたほか、電子機器がダウングレードされている。

  • F-86L(981機):
    D型に迎撃用データリンクSAGE)をはじめとする電子機器の改良や主翼の改良を行った能力向上型。

  • FJ-2(F-1)「フューリ」:
    F-86Eがベースのアメリカ海兵隊向け艦上機型。
    主翼折り畳み機構やアレスティングフックを追加し、20mm機関砲を4門に変更している。

  • FJ-3(F-1C)「フューリ」:
    エンジンをライトJ65-W-2ターボジェットに換装したアメリカ海軍向け艦上機型。
    この型式が空母で運用された。

  • FJ-3M(MF-1C):
    全天候戦闘機型。
    レドームが新設され対レーダーミサイルの運用能力が付与された。

  • FJ-3D(DF-1C):
    RGM-6(SSM-N-8)「レギュラス」巡航ミサイルの誘導母機。

  • FJ-3D2(DF-1D):
    F9F-6K「クーガー」無人標的機の誘導母機。

  • FJ-4(F-1E)「フューリ」?
    大幅改良型。詳しくは項を参照。

カナディア社製

  • CL-13 セイバーMk.1:
    試作型。F-86A-5型相当。

  • CL-13 セイバーMk.2(438機):
    F-86E-1相当の機体。
    アメリカ空軍でも朝鮮戦争での損耗補充でF-86E-6として60機購入した。

  • CL-13 セイバーMk.3:
    オレンダターボジェットエンジンのテストベッド機。

  • CL-13 セイバーMk.4(438機):
    Mk.2を英空軍向けに量産した機体。F-86E-10型相当。
    英空軍では「セイバーF.4」と呼ばれた。
    後に余剰機がF-86E(M)の名称で売却された。

  • CL-13A セイバーMk.5(370機):
    オレンダ10エンジン(推力28.91kN)と「6-3翼」を搭載したF型相当の機体。
    余剰機はアメリカ空軍に売却され、QF-86E無人標的機として使用された。

  • CL-13A セイバーMk.6(655機):
    Mk.5のエンジンをオレンダ14(推力32.35kN)に換装し、主翼に前翼スラットを再装備した機体。

コモンウェルス・エアクラフト(CA)社製

  • CA-26 セイバー:
    試作1号機。

  • CA-27 セイバーMk.30:
    オーストラリア軍向けに、ロールス・ロイス「エイヴォン20ターボジェットを搭載した機体。
    武装がアデン30mm機関砲×2門に変更されている。

  • CA-27セイバーMk.31:
    Mk.30の主翼を「6-3翼」に変更したF型相当の機体。

  • CA-27セイバーMk.32:
    エンジンをエイヴォン26(推力33.4kN)に換装し、主翼にハードポイントを追加した機体。


添付ファイル: filef86a.jpg 2308件 [詳細]

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