Last-modified: 2020-08-05 (水) 22:24:47 (116d)

【F-5(戦闘機)】(えふご(せんとうき))

Northrop F-5 "FreedomFighter?" / F-5E・F "Tiger2" / RF-5E "Tigereye"

アメリカのノースロップ社が1960年代に開発したジェット戦闘機
同社製のジェット練習機T-38を原型に、途上国向けの機体として開発された。
機首にレーダーやM39 20mmリボルバーカノンを2門装備し、翼端や翼下・胴体下にハードポイントも追加された。
運動性が高いうえ爆弾などで武装することもでき、簡易的な戦闘攻撃機として位置づけられた。

アメリカ国防総省の提唱した軍事援助プログラムによって、韓国や台湾など、共産国と対峙する多くの国へ輸出された。*1
また、カナダのカナディア?社ではライセンス生産も行われた。

ベトナム戦争が激化し正規の戦闘機を消耗させたアメリカ空軍は、その数を補うため安価なF-5に着目した。
F-5Aのアビオニクスを強化し、空中給油受油プローブを追加するなどの小改良を施したF-5C、通称「スコシタイガー」が少数生産され、試験的に実戦投入された。

また、ベトナム戦争中に南ベトナム軍へ供与されたA/B型の空中戦をノースロップが分析した結果、機動性を向上させたF-5E「タイガー2」を開発した。
具体的には、強力なエンジンへの変更とそれにともなう胴体構造の強化、主翼面積の増大やストレーキの追加、そして小型機ながら火器管制装置を装備するなどの強化がなされている。
F-5Eはその大きさや運動性がMiG-21に似ているといわれ、そのことからレッドフラッグトップガンなどのアグレッサーとして用いられたことでも知られる。
一部の機体は「シャークノーズ」と呼ばれる空力特性に優れた平型の機首を採用しており、これはF-20に活かされた。

IMG_0140.jpg

(スイス空軍 パトルイユスイス)

スペックデータ

形式F-5AF-5E
乗員1名
全長14.38m14.69m
全高4.01m4.02m
全幅7.87m(翼端増槽含む)
7.70m(増槽除く)
8.13m(主翼端AAM含まず)
8.53m(AAM含む)
主翼面積15.817.3
空虚重量3,667kg4,392kg
最大離陸重量9,379kg11,193kg
最大兵装搭載量2,810kg3,175kg
エンジンターボジェット×2基
GE J85-GE-13?
推力12.10kN/18.15kN(A/B使用時))
GE J85-GE-21A
(推力15.6kN/22.2kN(A/B使用時))
速度
(最大/巡航)
802kt/556ktマッハ1.6/450kt
海面上昇率8,748m/min10,500m/min
実用上昇限度15,390m15,590m
フェリー航続距離1,400nm1,270nm
戦闘行動半径485nm(Hi-Lo-Hi)570nm(Hi-Hi-Hi、制空ミッション)
120nm(Lo-Lo-Lo、攻撃ミッション)
固定武装ポンティアック M39?
20mmリボルバーカノン×2門
M39A2 20mmリボルバーカノン×2門
(弾薬各280発)
兵装
ミサイルAIM-9「サイドワインダー」またはAIM-120「AMRAAM」×4発
AGM-65「マーベリック」×2発
R-60(AA-8)R-27(AA-10)R-73(AA-11)他、
ソ連・中国製の空対空ミサイル(イラン)
爆弾ハードポイント5か所に計3,175kg搭載可能。
Mk.82/84無誘導爆弾(3kgと14kg練習用爆弾含む)
CBU-24/49/52/58クラスター爆弾
ナパーム弾
ペイブウェイシリーズ
ロケット弾LAU-61/-68ロケット弾ポッド×2基(ハイドラ70 70mmロケット弾×19発/7発)
または
LAU-5003ロケット弾ポッド×2基(CRV7 70mmロケット弾×19発)
または
LAU-10ロケット弾ポッド×2基(ズーニー127mmロケット弾×4発)
または
マトラロケット弾ポッド×2基(SENB 68mmロケット弾×18発)
その他150/275 USGal増槽×3基、GPU-5/A 30mm機関砲ポッド×2基(タイ向け)等
アビオニクス-AN/APQ-153? FCSレーダー(前期型)
AN/APQ-159 FCSレーダー(後期型)


バリエーション

  • F-5A/B系列
    • F-5A「フリーダムファイター」:
      単座戦闘機型の初期型。
      エンジンはJ85-GE-13(推力1,234kg(ドライ推力)/1,850kg(A/B使用時))を搭載。

      • RF-5A:
        A型の偵察機型。機首にカメラを搭載。
        武装が残されているため、機首の換装で元のA型に戻すことも可能である。
        イランやトルコ、タイ等に輸出された。

    • F-5B:
      A型の複座練習機型。
      T-38の機首を流用しているため、機関砲を装備していない。
      A型の導入国の他、A型を導入していなかったブラジルとサウジアラビアがE型への転換訓練用に導入している。

    • F-5C「スコシタイガー」:
      A型に空中給油プローブや装甲の追加などが施された特別仕様機の通称。
      ベトナム戦争での実戦テストに供された。

    • F-5A(G)/B(G):
      ノルウェー空軍向けF-5A/B。
      寒冷地での運用のため、JATOアレスティングフックキャノピーおよび空気取り入れ口の除氷装置を追加している。

      • RF-5A(G):
        ノルウェー空軍向けRF-5A。

    • SF-5A/B:
      スペイン空軍向けF-5A/B(CASA?社でのノックダウン生産)。

    • SRF-5A:
      スペイン空軍向けRF-5A。

    • CF-5A/D:
      カナディア?社でのライセンス生産型。
      基本的にはノルウェー空軍向けのA/B型と同じだが、エンジンはJ85-CAN-15*2(推力1,361kg(ドライ推力)/1,950kg(A/B使用時))に換装され、前脚の33cm延長やボルト止めで取り外し可能な空中受油プローブの追加などの小改良が施されている。
      カナダ空軍では「CF-116」、ベネズエラ空軍では「VF-5」と呼称される。

      • CF-5A(R):
        RF-5Aに準じた偵察機型。

    • NF-5A/B:
      カナディア社がオランダ空軍向けに製造したF-5A/B。
      オランダのフォッカー?社で製造したコンポーネントを、カナディア社に持ち込んで組み立てる方式で生産された。
      基本的にはCF-5と同一仕様であるが、ドップラー航法装置の追加や主翼構造の強化などの改良が施された。
      また、照準器はCF-5と違い、旧式の光学照準器となっている。
      オランダ空軍を退役した機体の一部は、ギリシャ空軍とトルコ空軍に引き渡されており、トルコ空軍の曲技飛行隊「ターキッシュ・スターズ」でも運用されている。

  • F-5E/F系列
    • F-5E「タイガー供廖
      A型の改良型。
      エンジンなどを強化し、AN/APQ-153?空対空レーダー(後期型は改良型のAN/APQ-159?)を装備。
      カナディア製のCF-5/NF-5やノルウェー空軍向けのF-5A(G)/B(G)で取り入れられた改良点も導入されている。

      • RF-5E:
        A型と同様、機首レーダーおよびコーンを撤去し、代わりにカメラを搭載した専用コーンを装着した簡易偵察型。
        ただし、小さすぎて新型の偵察装置を搭載できないという問題点があり、サウジアラビアがRF-5E「タイガーアイ」配備までの暫定型として運用したのみである。

      • RF-5E「タイガーアイ/タイガーゲイザー*3」:
        F-5Eの偵察機型。
        レーダーと右側の機関砲を撤去して設置した大型カメラ室に偵察用カメラを搭載。
        ミッションに応じてカメラを交換できるようにした。
        価格がF-5Eの1.5倍と高価であったため、サウジアラビア、マレーシア、シンガポール、台湾でのみ採用された。
        なお、シンガポールと台湾の機体はシンガポールのSTエアロスペースで改造されたものである。

      • F-5F:
        F-5Eの複座練習戦闘機型。機関砲1門を固定装備(装弾数は140発に半減している)。
        前部座席やレーダー、機関砲を搭載するスペースを確保するため、機首部分を107cm前方に延長しているほか、主翼上面に境界層板(フェンス)を装着している。
        レーダーは複座での運用に対応したAN/APQ-157?を搭載。

      • F-5N:
        スイスで余剰となったF-5Eがアメリカに逆輸入され、海軍アグレッサーとして再就役した際の呼称。
        機関砲を取り外して、レーダーをAN/APG-69?に換装している。

      • 中正号戦闘機:
        「ピース・タイガー」計画の下、中華民国(台湾)のAIDC(航空工業発展センター、現在の漢翔航空工業)でライセンス生産されたF-5E/F。
        中正とは、蒋介石の名に由来する。

  • 近代化改修型
    • F-5S/T:
      シンガポール空軍でのE型/F型の近代化改修型。
      右側の機関砲を撤去し、レーダーを「グリフォF」多モードレーダーに換装、AMRAAMおよびパイソン?空対空ミサイルの運用能力を付加した。
      また、HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念、慣性航法装置などが導入された他、機動性強化のため主翼ストレーキも拡大されている。

    • RF-5S:
      RF-5Eのシンガポール空軍での近代化改修型。

    • F-5EM/FM:
      ブラジル空軍でのE型/F型の近代化改修型。
      アビオニクス類や航法装置が改修され、コックピットグラスコックピット化されている。
      レーダーはF-5S/Tと同じく「グリフォF」を搭載する。
      レーザー誘導爆弾ダービー?空対空ミサイルの運用能力を持つ。

    • タイガー掘
      イスラエルの協力によって改修された、チリ空軍でのE/F型の近代化改修型。
      レーダーはラビ?用に開発されたものを改良したエルタ EL/M-2032に換装し、イスラエル製の偵察ポッドパイソン?ダービー?空対空ミサイルの運用が可能。
      HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念などが導入された点はF-5S/Tと同様。

    • タイガー検
      ノースロップ社が独自に開発したF-5Eの近代化改修デモンストレーター。
      HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念などが導入された点はF-5S/Tと同様だが、右側の機関砲を撤去してレーダーをF-16 MLUと同じAN/APG-66(V)に換装し、機体構造を強化している。
      台湾でも「タイガー2000」の名称で同仕様に準じた改修を計画していたが中止されている。

    • F-5T「ティグリス」:
      イスラエルの協力で改修された、タイ空軍でのE型の近代化改修型。
      レーダーはタイガー靴汎韻EL/M-2032に換装されたが、視程外戦闘能力は付加されていない。
  • その他派生型
    • F-5G:
      後のF-20。
      詳しくはF-20の項を参照。

    • X-29
      グラマン社がF-5他の部品より製造した前進翼実験機。詳しくは項を参照。

    • F-5E(SSBD*4):
      NASAがE型にソニックブーム低減のための特殊改造を施したもの。

    • アザラフシュ*5
      イランのイラン航空機製造工業会社(HESA)がF-5をベースに開発した戦闘機。
      基本的な構造はF-5Eのままだが、全体的に10%〜15%大型化されている。
      レーダーはN-019「トパーズ」の発展型を搭載しているという。

    • サーエゲ*6
      アザラフシュの発展型でイランの自称"国産戦闘機"。
      F-5Eをベースに、双垂直尾翼化したような外観を持つ。
      垂直尾翼はステルス性確保のために外側に傾斜させている。
      飛行性能、エンジン、武装、電子機器等の詳細は一切非公開で謎に包まれている。

    • コウサル:
      イランが2018年8月21日に「初めて自国で製造」したとして公開した、自称第4世代戦闘機。


*1 日本の航空自衛隊にも、T-38とともに一時期導入が検討されたが、結局は国産のT-2/F-1が導入された。
*2 オレンダ・エンジンズでのライセンス生産型。
*3 台湾での呼称。
*4 Shaped Sonic Boom Demonstration(低ソニック・ブーム設計手法飛行実証)の略。
*5 آذرخش‎(azarakhsh):ペルシア語で稲妻の意。
*6 صاعقه:ペルシア語で雷・稲光の意。

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