Last-modified: 2017-06-20 (火) 23:25:01 (121d)

【F-5(戦闘機)】(えふご(せんとうき))

Northrop F-5 "FreedomFighter?" / F-5E・F "Tiger2" / RF-5E "Tigereye"

アメリカのノースロップ社が1960年代に開発したジェット戦闘機
同社製のジェット練習機T-38を原型に、途上国向けの機体として開発された。
機首にレーダーやM39 20mmリボルバーカノンを2門装備し、翼端や翼下・胴体下にハードポイントも追加された。
運動性が高いうえ爆弾などで武装することもでき、簡易的な戦闘攻撃機として位置づけられた。

アメリカ国防総省の提唱した軍事援助プログラムによって、韓国や台湾など、共産国と対峙する多くの国へ輸出された。*1
また、カナダのカナデア?社ではライセンス生産も行われた。

ベトナム戦争が激化し正規の戦闘機を消耗させたアメリカ空軍は、その数を補うため安価なF-5に着目した。
F-5Aのアビオニクスを強化し、空中給油受油プローブを追加するなどの小改良を施したF-5C、通称「スコシタイガー」が少数生産され、試験的に実戦投入された。

また、ベトナム戦争中に南ベトナム軍へ供与されたA/B型の空中戦をノースロップが分析した結果、機動性を向上させたF-5E「タイガー2」を開発した。
具体的には、強力なエンジンへの変更とそれにともなう胴体構造の強化、主翼面積の増大やストレーキの追加、そして小型機ながら火器管制装置を装備するなどの強化がなされている。
F-5Eはその大きさや運動性がMiG-21に似ているといわれ、そのことからレッドフラッグトップガンなどのアグレッサーとして用いられたことでも知られる。
一部の機体は「シャークノーズ」と呼ばれる空力特性に優れた平型の機首を採用しており、これはF-20に活かされた。

IMG_0140.jpg

(スイス空軍 パトルイユスイス)

スペックデータ

形式F-5AF-5E
乗員1名
全長14.38m14.69m
全高4.01m4.02m
全幅7.87m(翼端増槽含む)
7.70m(増槽除く)
8.13m(主翼端AAM含まず)
8.53m(AAM含む)
主翼面積15.817.3
空虚重量3,667kg4,392kg
最大離陸重量9,379kg11,193kg
最大兵装搭載量2,810kg3,175kg
エンジンターボジェット×2基
GE J85-GE-13?
推力12.10kN/18.15kN(A/B使用時))
GE J85-GE-21A
(推力15.6kN/22.2kN(A/B使用時))
速度
(最大/巡航)
802kt/556ktマッハ1.6/450kt
海面上昇率8,748m/min10,500m/min
実用上昇限度15,390m15,590m
フェリー航続距離1,400nm1,270nm
戦闘行動半径485nm(Hi-Lo-Hi)570nm(Hi-Hi-Hi、制空ミッション)
120nm(Lo-Lo-Lo、攻撃ミッション)
固定武装ポンティアック M39? 20mmリボルバーカノン×2門M39A2 20mmリボルバーカノン×2門
(弾薬各280発)
兵装
ミサイルAIM-9「サイドワインダー」AGM-65「マーベリック」など
爆弾ハードポイント5か所に計3,175kg搭載可能。
Mk.82/84無誘導爆弾、CBU-24/49/52/58クラスター爆弾など
その他ロケット弾ポッド増槽
アビオニクス-AN/APQ-153? FCSレーダー(前期型)
AN/APQ-159 FCSレーダー(後期型)


バリエーション

  • F-5A「フリーダムファイター」:
    単座戦闘機型の初期型。

    • RF-5A:
      A型の偵察機型。
      機首にカメラを搭載。
      武装が残されているため、機首の換装で元のA型に戻すことも可能である。
      イランやトルコ、タイ等に輸出された。

  • F-5B:
    A型の複座練習機型。
    T-38の機首を流用しているため、機関砲を装備していない。

  • F-5C「スコシタイガー」:
    A型に空中給油プローブや装甲の追加などが施された特別仕様機の通称。
    ベトナム戦争での実戦テストに供された。

  • CF-5A/D:
    カナデア?社でのライセンス生産型。
    A型を少し改良し、J95-15エンジンを搭載する。
    カナダ空軍では「CF-116」、ベネズエラ空軍では「VF-5」と呼称される。

    • CF-5A(R):
      RF-5Aに準じた偵察機型。

  • NF-5A/B:
    カナダで開発されたオランダ軍向けF-5A/B。

  • SF-5A/B:
    スペイン軍向けF-5A/B(ノックダウン生産)。

    • SRF-5A:
      スペイン軍向けRF-5A。CAS社が生産した。

  • F-5A(G)/B(G):
    ノルウェー軍向けF-5A/B。
    寒冷地での運用のため、JATOアレスティングフックキャノピーおよび空気取り入れ口の除氷装置を追加している。

    • RF-5A(G):
      ノルウェー軍向けRF-5A。

  • F-5E「タイガーII」:
    A型の改良型。
    エンジンなどを強化し、AN/APQ-153?空対空レーダー(後期型は改良型のAN/APQ-159?)を装備。

    • RF-5E:
      A型と同様、機首レーダーおよびコーンを撤去し、代わりにカメラを搭載した専用コーンを装着した簡易偵察型。
      ただし、小さすぎて新型の偵察装置を搭載できないという問題点があり、サウジアラビアがRF-5E「タイガーアイ」配備までの暫定型として運用したのみである。

    • RF-5E「タイガーアイ/タイガーゲイザー*2」:
      F-5Eの偵察機型。
      レーダー機関砲を取り外し式にし、偵察用カメラへ交換できるようにした。

    • RF-5S:
      RF-5Eのシンガポール空軍での近代化改修型。

  • F-5EM/FM:
    ブラジル空軍でのE型/F型の近代化改修型。
    アビオニクス類や航法装置が改修され、コクピットがグラスコックピット化されている。
    レーダーはF-5S/Tと同じく「グリフォF」を搭載する。
    レーザー誘導爆弾ダービー?空対空ミサイルの運用能力を持つ。

  • F-5S/T:
    シンガポール空軍でのE型/F型の近代化改修型。
    右側の機関砲を撤去し、レーダーを「グリフォF」多モードレーダーに換装、AMRAAMおよびパイソン?空対空ミサイルの運用能力を付加した。
    また、HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念、慣性航法装置などが導入された他、機動性強化のため主翼ストレーキも拡大されている。

  • F-5T「ティグリス」:
    イスラエルの協力で改修された、タイ空軍でのE型の近代化改修型。
    レーダーはタイガーIIIと同じEL/M-2032に換装されたが、視程外戦闘能力は付加されていない。

  • F-5F:
    F-5Eの複座練習戦闘機型。機関砲1門を固定装備。
    レーダーは複座での運用に対応したAN/APQ-157?を搭載。

  • F-5N:
    スイスで余剰となったF-5Eがアメリカに逆輸入され、海軍アグレッサーとして再就役した際の呼称。
    レーダーをAN/APG-69?に換装している。

  • F-5G:
    後のF-20。
    詳しくはF-20の項を参照。

  • X-29
    グラマン社がF-5他の部品より製造した前進翼実験機。詳しくは項を参照。

  • タイガーIII:
    イスラエルの協力によって改修された、チリ空軍でのE/F型の近代化改修型。
    レーダーはラビ?用に開発されたものを改良したEL/M-2032に換装し、イスラエル製の偵察ポッドパイソン?ダービー?空対空ミサイルの運用が可能。
    HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念などが導入された点はF-5S/Tと同様。

  • タイガーIV:
    ノースロップ社が独自に開発したF-5Eの近代化改修デモンストレーター。
    HUD、多機能ディスプレイ、HOTAS概念などが導入された点はF-5S/Tと同様だが、右側の機関砲を撤去してレーダーをF-16 MLUと同じAN/APG-66(V)に換装し、機体構造を強化している。

  • アザラフシュ:
    イランのHESAがF-5をベースに開発した戦闘機。
    基本的な構造はF-5Eのままだが、全体的に10%〜15%大型化されている。
    レーダーはN-019「トパーズ」の発展型を搭載しているという。

  • サエゲ:
    アザラフシュの発展型でイランの自称"国産戦闘機"。
    F-5Eをベースに、双垂直尾翼化したような外観を持つ。
    飛行性能、エンジン、武装、電子機器等の詳細は一切非公開で謎に包まれている。


*1 日本の航空自衛隊にも、T-38とともに一時期導入が検討されたが、結局は国産のT-2/F-1が導入された。
*2 台湾での呼称。

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