Last-modified: 2020-06-09 (火) 09:58:24 (26d)

【F-2(日本)】(えふに(にほん))

三菱F-2.
F-1の後継機である航空自衛隊支援戦闘機

1980年代に始まった次期支援戦闘機(FSX)計画によって誕生した機体で、当初、F404級エンジンを双発で搭載する国産機が予定されていたが、アメリカの政治的圧力によって既存の機体からの改造機を日米両国で共同開発・生産することになり、F-15F/A-18との比較の結果、改造のベースはF-16となった。

開発当時のわが国の防衛戦略*1上、4発の空対艦ミサイルを搭載して東北地方と宗谷海峡を往復できる能力を求められたため、ペイロード航続距離の強化が図られた*2
そのため、胴体の延長やCFRPを利用しての主翼大型化など、機体の大型化がなされ、またアクティブフェイズドアレイレーダーの導入やCCV技術の導入など、日本の最新電子技術も盛り込まれた。
このCCV技術は米国がソースコードの提供を断ったため、F-16CCVで研究されたものではなく、T-2CCVなどで独自に研究していたものが採用されている。
以上の理由により、F-16との共通部分はほとんどない。

試作機XF-2は1995年に初飛行し、その際判明したレーダーや主翼の強度不足等の不具合を改修した量産型が、百里第7航空団、築城の第8航空団に実戦機として配備されているほか、松島の第4航空団にも教育目的で配備されている。

本機の生産は三菱重工業のほか、ロッキード・マーティン川崎重工業富士重工業IHI等の各企業が分担して機体の各ブロックや部品を生産し、それを三菱の小牧工場にて組み立てるという形で行っている。

なお、初期に不具合が多発したことから、その性能について疑問視されていたが、2004年6月に三沢基地の米軍のF-16と行われた本機初のDACTにおいて、期待通りの結果が得られたとの情報が伝えられており、模擬戦で一定の勝利を収めたと見るべきである。
しかし、どのような状況下で行われたかは不明であり、訓練での勝敗は場合によって大きく変わってしまう。
同世代機に比較し搭載するFCSレーダー「J/APG-1」の視程が極めて短く*3撃ちっ放し能力を持った99式空対空誘導弾(AAM-4)やAIM-120の運用も不可能だった*4
さらには「ターゲットをロックオンした後に急激な機動をするとロックオンが外れてしまう」「探知したターゲットがいきなりレーダーから消える*5」と言われ、空対空戦闘機としてみた場合、F-16はもとより、同世代機に比べて大きく劣っているとされる*6

支援戦闘機(FS)として設計されたのだから、これらは劣って当然という見方もあるが、世界の趨勢はマルチロールファイターであり、旧態依然とした戦闘攻撃機であることに疑問の声も強く、自衛隊を囲む環境の急激な変化による戦闘機定数の削減圧力と、本機のコスト・パフォーマンスや装備としての優先順位が(FIであるF-15Jと比べて)相対的に低いという2点の理由から、生産は当初計画の130機より20〜30機程度が削減され、2011年に調達終了となった。
もっとも、本機はF-1(生産数77機)の後継機であり、F-1の後継分を超える機はT-2(高等練習機)の後継機として使用される計画であった事から、生産機数の削減が直ちに戦力の低下に結びつくかどうかは一概に判断できない*7

上記理由により調達中止になったという背景を鑑みたのか、ロッキード・マーチンは「F-2 SUPER KAI」というアップバージョンをジャパンエアロスペース2004にて大々的に発表した。
しかし、今のところ防衛省がこのプランを採用する予定は無く、またロッキード・マーチン社もこれ以後、特に具体的な続報は発表していない。
また、開発段階では基本性能向上型、FS性能向上型、F-4EJ改の後継としてFI型が構想されていた。

http://www.masdf.com/fw/pic/f2a.jpg

配備部隊

スペックデータ

乗員1名/2名(複座型)
ペイロード8,085kg
全長15.52m
全高4.96m
翼幅10.80m/11.13m(両主翼端ランチャー含む)
主翼面積34.84
アスペクト比3.3
空虚重量9,527kg(F-2A)
9,663kg(F-2B)
総重量13,459kg(クリーン時)
最大離陸重量22,100kg
最大着陸重量18,300kg
機体内燃料搭載量
(最大)
4,637L(F-2A)
3,948L(F-2B)
エンジンGE F110-IHI-129ターボファン×1基
推力76kN(ドライ)/131kN(A/B使用時)
最大速度マッハ1.7(高高度)/マッハ1.1(低高度)
フェリー航続距離4,000km
戦闘行動半径830km(ASM-2×4発、AAM-3×2発、600gl増槽×2基)
上昇限度18,000m
翼面荷重634.3kg/屐丙蚤隋
推力重量比0.606
固定武装JM61A120mmバルカン砲×1門(装弾数512発)
武装
空対空兵装AIM-9L
AIM-7F/M
90式空対空誘導弾(AAM-3)
99式空対空誘導弾(AAM-4)
空対艦兵装80式空対艦誘導弾(ASM-1)
93式空対艦誘導弾(ASM-2)
爆弾類Mk.82 500lb通常爆弾
91式爆弾用誘導装置(GCS-1)装備型Mk.82
CBU-87/Bクラスター爆弾*8
JDAM 500lb誘導爆弾
ロケット弾J/LAU-3ロケット弾ポッド(70mmロケット弾×19発搭載)
LR-4 ロケット弾ポッド(127mmロケット弾×4発搭載)
その他装備300gal(1,136L)増槽(胴体下兵装ステーション用)
600gal(2,271L)増槽(主翼下兵装ステーション用)
外装型赤外線前方監視装置J/AAQ-2
スナイパーXRターゲティングポッド
アビオニクスJ/APG-1またはJ/APG-2 火器管制レーダー
AN/APX-113(V) 先進敵味方識別装置
J/ASW-20 データリンク装置
自衛隊デジタル通信システム(JDCS(F))
J/ARC-26 無線機
J/ARC-701 VHF/UHF通信装置
J/ASQ-2 統合電子戦システム

バリエーション

  • XF-2A:
    単座型試作原型機。原型1〜2号機。

  • XF-2B:
    複座型試作原型機。原型3〜4号機。

  • F-2A:
    単座型の生産モデル。

  • F-2B:
    複座型の生産モデル。

  • 計画のみ
    • 要撃型:
      F-4の後継として提案された型。
      中期防衛力整備計画で調達が打ち切られたため実現せず。

    • F-2 Super kai:
      ロッキード・マーチン社が提案したF-2Bベースの能力向上型。
      プランとしては、
      ・ターゲティング能力の拡張を見込んだAESAレーダーへの換装*9
      F110-GE-132エンジンへの換装
      ・JTIDSまたはMIDS端末搭載によるリンク16/TADIL-Jへの対応
      ・CFTへの対応
      AIM-120AIM-9X・AIM-154・AGM-88の運用能力
      JDAMおよびLJDAMなどの誘導爆弾の運用能力
      などが想定されていた。
      なお、提案されたプランの幾つかは後の改修により能力を獲得している*10


*1 北海道へ着上陸侵攻を目論むと考えられていたソ連軍への対処が重視されていた。
*2 F-16とほぼ同サイズの機体にA-10の搭載量を持っていると言えばその異常さが分かるだろう。
*3 探知範囲が20nm程度しかなく設計の1/3程度。
*4 ただし、AAM-4は2010年中に運用能力を獲得した。
*5 この2つは現生産機では解決済みだが初期生産機は改修の必要が有り。
*6 ただしEF-2000ユーロファイター タイフーンなどでもレーダーの初期の不具合は存在していたため、これだけで本機が他の機体と比べ劣っていると判断する材料には成り得ない。
*7 しかし、およそ半数が高等練習機として生産済みである。
*8 現在は、「クラスター弾に関する条約(オスロ条約)」により廃棄処分済み。
*9 ベースとなったF-16 Block40の発展型のF-16E/Fが装備するAN/APG-80の搭載が予定されていた。
*10 AIM-120、AIM-9Xの運用能力の付与は国産のAAM-4AAM-5で代替、誘導爆弾についてもJDAMの運用能力が付加された。

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