Last-modified: 2016-08-26 (金) 23:29:45 (243d)

【F-15E】(えふじゅうごいー)

McDonnell? Douglas F-15E Strike Eagle(ストライクイーグル)

マクダネル・ダグラス社の大型制空戦闘機F-15をベースに開発された戦闘爆撃機マルチロールファイター)。

原型となったF-15は、当初「コストを度外視し、『あらゆる状況下で』『どんな敵機にも』勝利できる」能力を持たせることをコンセプトとして開発され、優れた空中戦機動能力と目視外射程戦闘能力を備えるべく、テニスコートとも俗称される大きな機体と、世界初の推力重量比が1を超える強力なP&WF100-PW-220 ターボファンエンジンを装備してデビューした。
この大きな機体に見合う発展性が非常に高いことに着目され、原型機の高度な空中戦能力を大きく削ぐことなく対地攻撃能力を付加したマルチロールファイターとしてデビューしたのが本機である。

本機は、外見上はF-15の複座型であるF-15Dにコンフォーマル燃料タンクをつけただけのように見えるが、チタニウムを多用した機体の軽量化と構造強化、グラスコックピット化などの改修が行われており、従来のF-15との共通部分は、エンジンアビオニクスを除いてほとんどない。
通常、マルチロールファイター戦闘攻撃機に分類されるが、本機は戦闘爆撃機に分類され、F-111「アードバーグ」の後継機として採用された。
しかし、本機は前任機に比べ翼面荷重が小さい事から、低空侵攻時の安定性はやや劣る。

本機は、全世界の戦闘機の中で最も多くの兵装を搭載でき、最も航続距離が長く、アメリカ空軍の使用する兵装の全てを搭載することができると言っても過言ではない。
その攻撃力は湾岸戦争を始め、ユーゴスラビア戦争、アフガン戦争、イラク戦争で実証されており、特に湾岸戦争では、F-111と並び精密爆撃を実施できる数少ない戦闘機の1つであった。
夜間に行われた近接航空支援任務において、8発のレーザー誘導爆弾を搭載した2機のエレメントが、搭載した16発の爆弾で16両の車輌に直撃弾を与え、また別の機体はホバリング中のヒューズ500ヘリコプターに直撃弾を与えたという。

なお、「ストライクイーグル」はマクダネル・ダグラス社が付けたもので、正式な愛称ではなく、「マッド・ヘン(Mudhen)」(アメリカオオバンの別名)や「ビーグル」(ボマー・イーグルの略)などのあだ名で呼ばれることもある。

スペックデータ

乗員2名(パイロットWSO
全長19.43m
全高5.63m
全幅13.05m
主翼面積56.5
空虚重量14,515kg
最大離陸重量36,741kg
最大兵装搭載量11,113kg
エンジンターボファン×2基
P&W F100-PW-220(初期)
P&W F100-PW-229(135号機以降)
GE F110-GE-129C(F-15SG/F-15S)
推力129.4kN(A/B使用時)(F100-PW-229)
最大速度マッハ2.5
海面上昇率15,240m/min+
実用上昇限度18,290m
最大航続距離2,400nm
戦闘行動半径685nm
武装M61A1 20mmバルカン砲×1門(装弾数450〜512発)
兵装下記兵装を11,113kgまで搭載可能。
AAMAIM-9「サイドワインダー」
AIM-120「AMRAAM」
AGM/ASMAGM-65「マーベリック」
AGM-84「ハープーン」(F-15K以降)
AGM-84K「SLAM-ER」(F-15K以降)
AGM-154「JSOW」
ARMAGM-88「HARM」
爆弾類Mk.80シリーズ(Mk.82/83/84)
ペイブウェイII(GBU-10/-12/-15/-24)レーザー誘導爆弾
GBU-28「バンカーバスター」レーザー誘導地中貫通爆弾
Mk.20「ロックアイ」クラスター爆弾
CBU-87/-89/-97クラスター爆弾
JDAM
B61・B63核爆弾
B83熱核爆弾
ロケット弾LAU-3Aロケット弾ポッド
その他兵装増槽LANTIRNポッド
AN/AAQ-33「スナイパーXR」照準用ポッド
AN/AXQ-14・AN/ZSW-1データリンクポッド
アビオニクスAN/APG-70?火器管制レーダー


バリエーション

基本型

  • F-15E(236機):
    初期量産機。

  • F-15I「ラーム*1」(25機):
    イスラエル向け。
    エンジンはF100-PW-229を、レーダーはAN/APG-70を搭載している。
    後にエルビットシステムズが開発したDASHヘルメット内蔵式照準装置の運用能力が追加され、近年ではUAVの管制能力も付加されている。

  • F-15K "Slam Eagle(スラムイーグル)":
    韓国空軍向け。
    アメリカ空軍向けの最終アップグレード型「E-227」をベースに、更にアップグレードを加えたもので、初めて戦術電子戦システムが輸出されている。
    エンジンはF110-GE-129のライセンス生産型であるF110-STW-129およびF100-PW-229EEP*2を搭載している。
    新たに、AGM-84「ハープーン」空対艦ミサイルAGM-84H「SLAM-ER」空対地ミサイルの搭載能力が付加されている。

  • F-15S:
    サウジアラビア向けダウングレード型。
    レーダーはAN/APG-70のダウングレード版であるAN/APG-70Sを搭載し、やや空対地能力に劣る。
    照準システムもLANTIRNのダウングレード型であるAN/AAQ-19「シャープシューター」照準用ポッド・AN/AAQ-20「パスファインダー」航法用ポッドを搭載している。

    • F-15SA:
      サウジアラビア向け。
      AN/APG-63(V)3 AESAレーダーやデジタル式電子戦システム(DEWS)などを搭載する。
      また、一度は廃止された主翼外側ハードポイント空対空ミサイル用として再び開放したことで、従来の最大8発に加えてさらに4発の空対空ミサイルを追加装備できるようになっている。
      84機が導入され、既存のS型70機もSA仕様に能力向上させる予定である。

  • F-15SG:
    シンガポール空軍向け。旧呼称F-15T。
    基本的にF-15Kと同じだが、エンジンは運用寿命延長(SLEP)ハードウェア型のF110-GE-129Cを採用し、レーダーはAPG-63(V)3*3AESAレーダーを、照準ポッドとしてスナイパーATPの輸出型「パンテーラ」を搭載している。

発展型

  • F-15SE "Silent Eagle(サイレントイーグル)":
    輸出市場向け改修型。
    設計を一部見直し、コンフォーマル燃料タンクのウェポンベイ化やレーダー波吸収素材を使用するなどステルス性を高めている。
    元のF-15Eより軽量に設計されている。
    1機あたり1億USドル(約100億円)で販売する予定で、イスラエル・サウジアラビア・日本・韓国・シンガポールに提案している。

構想・計画のみ

  • F-15F:
    単座の制空戦闘機型。
    イスラエルやサウジアラビア、西ヨーロッパ諸国への売り込みが図られていたが、構想のみに終わった。

  • F-15FOWW:
    F-4G「ワイルド・ウィーゼル」の後継機計画「FOWW*4」で提案された機体。
    ワイルド・ウィーゼル用の機材を搭載し、その一部は胴体下面にコンフォーマル・パックに収めて装着される。
    武装はAGM-88「HARM」AGM-65「マーベリック」が予定された。
    FOWW候補機としては本機のほか、F-16とトーネードECRが検討対象とされたが、F-16が採用されたため実現せず。

  • F-15H:
    ギリシャ空軍向け。Hはヘラス(Hellas)を意味する。
    F-16ミラージュ2000が採用された為実現せず。

  • F-15L:
    F-15Iの空対空特化仕様。実現せず。

  • F-15FX:
    第四次FX(F-4EJ改の後継機)において提案された、日本向け改修型。
    F-15SAと同様に主翼外側ハードポイントを空対空ミサイル用として再び開放し、レーダーはAPG-63(V)3もしくはAPG-63(V)4を搭載予定だった。
    F-35の導入が決まったため実現せず。

  • F-15U:
    E型の主翼面積を若干拡大したアラブ首長国連邦(UAE)向けの発展型。
    同国はF-16を採用したため実現せず、韓国向けとして提案されたが、こちらも実現しなかった。

    • F-15U+:
      水平尾翼を廃してデルタ翼化した大規模発展型。
      アラブ首長国連邦(UAE)に提案したがF-16E/Fの選定により構想のみに終わった。


*1 Raam:稲妻の意。
*2 Enhanced Engine Packageの略。
*3 ただし、走査能力など一部の機能がダウングレードされている。
*4 Follow on Wild Weasel.

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