Last-modified: 2019-03-15 (金) 04:18:18 (41d)

【F-105】(えふひゃくご)

Republic F-105 "Thunderchief(サンダーチーフ)"
ベトナム戦争で多用された、アメリカの戦闘爆撃機

リパブリック社が開発した前作・F-84「サンダージェット」をさらに発展させた、核兵器運用能力と空対空戦闘能力をもつ多目的戦闘機(一種のマルチロールファイター)として、1951年に自社開発を開始、55年に試作機が初飛行した。
最大速度がマッハ2を越え、核兵器運用能力を持つ本機は、当時のアメリカが標榜していた大量報復戦略の一部として歓迎され、1957年に採用承認されている。
また、1964年4月から一ヶ月間だけサンダーバーズで使用されていた。

本機の形式記号には戦闘機を示すFナンバーが付けられているが、その特性は爆撃機に近く、戦闘機としては異例なウェポンベイを備え、高度な航法・攻撃システムを搭載している。
また高速を出すために胴体はエリアルールに則った形状をしており、「鉄の蝶」や「空飛ぶコーラ瓶」とも呼ばれた。

実際に核兵器を運用する機会はなかったが、ベトナム戦争において高い搭載能力と速度を活かし、北爆の主役を務めた。
しかし翼面荷重が高く、かつ、大量の爆弾を搭載して運動性が悪くなることが多かった本機は、MiG-17をはじめとする北ベトナム軍の戦闘機をかわすことが出来ず、また機体の耐久性は非常に高かったものの、単発で油圧系統の抗堪性が低かったためにかなりの被害を受けた。
このため前線では「間違ってFの記号をつけた爆撃機」とすら呼ばれるようになった。
そのため、それを皮肉るような愛称として"Thud(サッド)"(日本語訳で「どさっ」、など重い物が落ちる音を表す。転じて撃墜されて地面に落ちる音を暗示)などと呼ばれたりもした。
逆に、本機によるミグの撃墜記録は28機で、その戦果の殆どがM61A1により記録されたものである(AIM-9による撃墜は3機にとどまっている)。

通常の爆撃任務の他に、複座のF型に電子戦機器を搭載した敵防空網制圧用のG型が実戦に投入され、任務を果たしている。
しかしこちらも猛烈なAAASAMの危険にさらされたため、かなりの被害を被ることとなった。

ベトナム戦争において爆撃の約75%を占めるなど、まさに主役といえる活躍をした本機ではあったが、度重なる出撃によりベテランパイロットが急激に減少。
その被害も甚大で、被撃墜数はD型332機、F・G型50機と、総生産数の半分以上がベトナムの戦場で失われた。
この総被撃墜382機という数字は、実にアメリカ軍がベトナム戦争で失った固定翼機の約1/3にあたる。

そのため正規の部隊を編成するのにも機数不足をきたし、ベトナム戦争終了後早々に第一線を退くこととなった。
これにより、アメリカでは第二次世界大戦後ほぼ唯一戦争で「使い切られた」戦闘機となった。

スペックデータ(F-105G)

種別戦闘爆撃機
主任務多用途
主契約リパブリック
初飛行1955年10月22日(YF-105A)
クルーパイロット1名/2名(F型/G型)
全長19.63m
全高5.99m
翼幅10.65m
主翼面積35.76
零揚抗力係数0.0173
抗力面積0.62
アスペクト比3.18
空虚重量12,181kg
全備重量16,165kg
最大離陸重量23,967kg
ペイロード6,350kg
エンジンP&W J75-P-19Wターボジェット×1基
推力63.6kN(ドライ)/109kN(A/B使用時)
最高速度マッハ2.08(高度11,000m)
戦闘行動半径1,252km
フェリー航続距離3,550km
実用上昇限度14,800m
上昇率195m/s
翼面荷重452kg/
推力重量比0.74
揚抗力比10.4
固定武装M61A1 20mmバルカン砲×1門(装弾数1,028発)
搭載兵器5箇所のハードポイント(爆弾倉×1、パイロン×4)に6,400kgの兵装を搭載可能。
AIM-9「サイドワインダー」
AGM-12「ブルパップ」?
AGM-45「シェライク」
AGM-78「SARM」
LAU-32/LAU-59ロケット弾ポッド(Mk.4 FFAR「マイティマウス」×7発)
M117/M118/Mk.80通常爆弾
CBU-24クラスター爆弾
B28/B43/B57/B61戦術核爆弾
アビオニクスNASARR R-14Aレーダー
AN/ASG-19「サンダースティック」FCSレーダー
AN/ARN-85 LORAN?

派生型

  • YF-105A:
    試作機。(2機)

  • YF-105B:
    試作機。エリアルールの採用などが行われた。(4機)

  • F-105B:
    単座の初期生産型。(75機(生産前機含む))

  • F-105C:
    複座練習機型の提案モデル。1957年に実物大モックアップ段階で計画中止。

  • F-105D:
    全天候能力強化型で単座型最終モデル。(610機)

  • F-105E:
    D型の複座練習機型。1959年計画中止、製造中の機体はD型として完成。

  • F-105F:
    D型のワイルドウィーゼル用複座攻撃機型。(143機)

  • F-105G:
    F型を改修したワイルドウィーゼル機への最終モデル。(61機改装)

  • RF-105B:
    偵察型の提案モデル。17機発注も計画中止により、JF-105Bに改装。

  • JF-105B:
    RF-105Bから改造されたシステム査定試験用機。地対空ミサイルの試験に使用。(3機改装)

  • EF-105F:
    F型のワイルドウィーゼル機改修型。(86機改装)


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