Last-modified: 2019-09-16 (月) 14:50:13 (6h)

【E-4】(いーよん)

Boeing E-4"Night Watch(ナイトウォッチ)".

アメリカ合衆国連邦政府の「国家空中作戦センター(NAOC*1)」として、空軍が運用している空中指揮機。
当初は「国家緊急空中指揮所」(National Emergency Airborne Command Post(NEACP(ニーキャップ)))と呼ばれていた*2

本機の任務は、核戦争や大規模な自然災害など、国家の存亡に直結する事態が発生した際に備え、政府及び軍の指揮中枢のバックアップ環境を提供してその機能停止を回避することである。
そのような事態が発生した際には、国家指揮権限を有する人物(大統領および国防長官)と指揮幕僚を乗せて空中へ退避し、アメリカ全軍への指揮を行うこととされていた。
こうした任務の性質から、本機には「地球最後の日の飛行機(Doomsday Planes)」という異名もあった。

本機は、EC-135空中国家指揮所(ABNCP*3)の後継機として1973年に「発達型空中国家指揮所(AANCP)」の呼称で発注され、1974年に3機が就役(E-4A)。
後の1980年に各部を改良した1機(E-4B)が就役し、1985年までにA型として就役した機体全てがB型に改修された。

B747-200Bをベースに製作された本機は、その任務を果たすため、さまざまな特殊装備を擁する。
世界各国に展開する司令部や部隊と通信するため、胴体上部に衛星通信用EHF(ミリ波)アンテナや、機尾から曳航する6キロメートルのLF(長波) / VLF(超長波)アンテナを装備する。
長時間滞空するために空中受油装置を備え、無給油で12時間、エンジンオイルの切れる72時間まで連続飛行が可能となっている。
核爆発に際して発生するEMP(電磁パルス)に備えて、各種電子装備に対策が施されている。
また機器の莫大な消費電力をまかなうため、各エンジンには150kVAの出力を持つ発電機が2基ずつ計8基が備えられている。

広大なキャビンは国家指揮権限作業室*4、会議室、ブリーフィングルーム、戦闘幕僚作業室、通信管制センター、休憩室に分けられている。

現在の本機は、4機全機がネブラスカ州・オファット空軍基地所在の第25空軍第55航空団(航空戦闘集団隷下)に属し、大統領の近くに必ず1機以上が待機する態勢を整えている。
大統領がエアフォースワンに乗って外遊する際などには、必ずこれに随行して現地の空港(あるいは近くの在外米軍基地)へ飛び、海兵隊の運用する大統領専用ヘリ(マリーンワン)・VH-60Nと共に緊急事態に備える。

一時期、財政赤字削減策として本機の退役が検討されたこともあった*5が、2011年から順次近代化改装が施されており、まだ当面の間は使用されるものと見られている。

e_4b.jpg
Photo:USAF

機内構成

上部デッキ

コクピット
機長副操縦士航空機関士・ナビゲーター(航空士あるいは航空通信士に相当)が乗務する。
フライトクルーのラウンジ・仮眠区画などはフライトデッキ後方に設置されている。

中央デッキ

会議室/映写室
会議用の区画、その後部にプロジェクタ映写室がある。
映写室でブリーフィングルームで表示される映像をコントロールしている。
国家権限作業区画(NCA-Area)
大統領も含め、運用時に搭乗する最も位の高い者が利用する区画。
執務室・仮眠ベッド・更衣室を備え付けている。
ブリーフィング・ルーム
作戦計画等の情報伝達を行う区画。
会議机では21の椅子が利用できる(高級幹部用3席、一般用18席)。
ブリーフィング・ルーム後方に、2つのプロジェクタを有する。
通信管制区画
機体に搭載されている通信装置などのコントロールを行う区画。
データを扱う区画と音声通信を扱う区画で分けられている。
フライト・アビオニクス区画
全体の電源パネルや航空用電子機器の本体、液体酸素タンク等が設置されている。
また、応急修理用のスペアパーツなども収納されている。

下部デッキ

前方下部装備品区画(Forward Equipment Area)
VLF通信機本体や、SHF(センチメートル波)通信機本体を設置。
後部下部装備品区画
メンテナンスコンソールと、作戦専用の装備などが設置される。
下部アンテナ区画
6kmの曳航式アンテナが収納されている。

スペックデータ(E-4B)

乗員4名(機長副操縦士航空機関士及び航法員もしくは航空通信士
+国家指揮権限保有者・指揮幕僚・通信スタッフなど112名
全長70.5m
全高19.3m
翼幅59.7m
主翼面積510
空虚重量190,000kg
全備重量360,000kg
最大離陸重量374,850kg
燃料搭載量
(機体内)
193,073リットル
エンジンGE F103-GE-101ターボファン×4基(E-4A)
GE CF6-50E2ターボファン×4基(E-4B)
推力233.4kN(E-4A)
234kN(52,500lbf)(E-4B)
最高速度M0.86
巡航速度マッハ0.84
航続距離11,000km
航続時間12時間(無給油飛行)/72時間(エンジンオイル消費限界)
実用上昇限度14,000m
海面上昇率N/A
翼面荷重730kg/
推力重量比0.26


派生型(カッコ内は生産機数)

  • E-4A(3機):
    初期生産型。
    エンジンはP&W JT9D-7?(1号機・2号機)またはF103-GE-101(3号機)を搭載*6
    後にB型に改修された。

  • E-4B(1機):
    改良型。
    空中給油装置が付加され、胴体前部上方に瘤状の衛星通信用SHFアンテナフェアリングが設けられた。
    また、VLFアンテナの設置位置も変更され、EMP対策も強化されている。


*1 National Airborne Operations Center.
*2 1994年以後、FEMA(連邦緊急事態管理庁)長官の要請で大災害時の被災地支援も行うようになったことから現在の名称に改められた。
*3 Airborne National Command Post.
*4 大統領も含め、運用時に搭乗するもっとも位の高い者が利用する。
*5 当初は2009年から順次退役し、2012年までに全機退役の予定だった。
*6 後に1号機・2号機もF103に換装されている。

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