Last-modified: 2021-07-28 (水) 18:36:10 (53d)

【E-3】(いーすりー)

Boeing E-3"Sentry(セントリー)".

ボーイング社製の四発ジェット旅客機B707-320をベースに製作したAWACS

アメリカ空軍は、1960年代の早い時期から早期警戒機を装備、運用していたが、従来の早期警戒機は、レーダーによる警戒監視と航空部隊への指揮統制を別々の機体で運用していて非効率だったことから、二つの能力を統合した機体として本機が開発された。
当初「EC-137D」として1975年に初飛行、1977年に就役した。

本機は、後部胴体上に(同機の特徴である)ドーム状のアンテナを持つウェスチングハウス社製AN/APY-1捜索監視レーダーを搭載、アンテナは毎分6回転の速度で機体の全周をスキャンし、半径920kmの圏内にいる目標を識別・追跡することができる。
そして、その探知結果やそれを基にした対処策を、データリンクシステムを通じて自軍の航空部隊に伝達し、作戦の遂行を助けるのが任務となっている。

設計当初は、ドーム型アンテナが飛行に悪影響を及ぼすのではないかと心配されていたが、抗力どころか揚力を発生させ、巡航速度の低下も僅かで済んだ。

前述の通り、元々本機はアメリカ空軍の要求により開発されたものだが、アメリカの同盟・友好国家群でこれに匹敵する機種が無いために、NATO・イギリス・フランス・サウジアラビアでも運用されている*1

英国は国産のBAeニムロッド哨戒機をベースとした「ニムロッドAEW」を試作したが、結局採用されなかった。
また、日本の航空自衛隊も1980年代に本機の導入を検討したが、1991年に母体となるB707の生産ラインが閉鎖されて調達不能になってしまったため、中型の双発旅客機・B767-200ERをベースとしたE-767を導入することになった。

現在、旧式化しつつある機器や後継機の開発の遅れ*2によってコンピュータシステムの更新が計画されている。

E3.jpg

Photo by Kachou

性能諸元

乗員E-3A:運航要員4名(機長副操縦士航空機関士航空士)+操作員13名
E-3B:運航要員4名(同上)+操作員17名
全長46.61m
全高12.73m
全幅44.42m
翼面積268.7
ロートドーム直径9.14m
ロートドーム厚1.83m
機体重量
(自重/全備)
83,658kg/151,953kg
エンジンターボファン×4基
アメリカ空軍/NATOP&W社製 TF33-PW-100A(推力9,525kg)
イギリス空軍/フランス空軍/サウジアラビア空軍:CFMインターナショナル CFM56-2A
(推力106.8kN)
速度
(最大/巡航)
852km/h / 763km/h
上昇限度
(実用/限界)
8,939m以上
航続距離9,250km
装備AN/APS-133気象レーダー
AN/APY-1 or AN/APY-2 パッシブフェイズドアレイレーダー
AN/APX-133 IFF
チャフ・ディスペンサー×4基、ECM機材(スタンダードE-3A、E-3C)

主な近代化改修

  • Block.30/35:
    1987年から開発がはじめられたE-3Cに対する改修計画。
    機首、前部胴体側面、尾部にAN/AYR-2 ESM用アンテナを追加、GPS統合航行装置やクラス2H JTIDS端末の搭載、コンピュータの処理能力向上とメモリ増加、ディスプレイの近代化を行う。

    • RSIPマイナス:
      NATOのE-3に対して行った改修。Block.30/35を簡素化したもの。

  • レーダーシステム改善計画(RSIP):
    1997年末からE-3Cに対して行われた改修。
    電子部品の取り換えやAdaを利用した既成のデジタルコンピュータへの換装、整備性や将来発展性の改善、表示装置の改良など。
    RCSが小さい巡航ミサイルなどの目標をより正確に探知できるようになった。
    また、ECCM能力が強化されている。

  • 全運用期間支援計画(WLSP):
    2005年8月に契約が締結されたE-3Dに対する改修。
    IFFモードSに対応、事故データ記録システム(ADRS)の交換など。

  • Block.40/45:
    2005年から開発されているC2/WAS/BM(指揮管制/広域監視/戦場管理)能力を強化する改良型。
    DAMA-SATCOMを導入してネットワーク中心の戦いへの適合を行うほか、GATMを導入し、航法精度を上げ航空交通管制(ATC)の要件を満たす。
    また、コンピュータを近代的なものに換装し、情報を自動的に統合する機能を追加。
    ディスプレイも直感的に状況を認識できる表示モードを持つタイプに換装した。
    サウジアラビアのE-3Aも同仕様に改修される。

  • IFF近代化:
    Block.40/46改修の一環として実施。IFFをAN/UPX-40に換装。

  • E-3 MLU:
    2010年2月3日に契約が締結されたE-3Fに対する改修。
    Block.40/45相当の改良に加えIFFモードSとモード5への対応改修が含まれる。

  • 製造ソース低減汎地球作戦航法アビオニクス換装(DRAGON*3):
    NATOとアメリカ空軍が共同で実施する改修。
    通信航法機器を強化し、コックピットグラスコックピット化してフライトクルーを4名から3名に減らした。
    ウインドシアを予測することができる気象レーダー、地上接近警報システムの強化、デジタル衛星通信システム、飛行管理システムの搭載などが実施される。

主なバリエーション

  • EC-137D:
    E-3原型機の呼称。
    3機製造され、2機を運用に投入し、1機はJE-3となる。

  • E-3A:
    「コアE-3A」とも呼ばれる、AN/APY-1レーダーを搭載する初期量産型。
    量産24号機(通算26号機)まで。

  • E-3B:
    E-3Aのブロック20改修計画に基づく改良型。
    洋上監視能力の追加や中央コンピュータの処理能力向上、状況表示コンソールの追加等が行われた。
    EC-137Dの2機とE-3Aの22機(4号機から26号機)を改修。

  • スタンダードE-3A:
    AN/APY-2レーダーの装備や中央コンピュータの処理能力向上等が行われた型。
    チャフディスペンサーを装備する。
    通算27号機から35号機まで。

  • E-3C:
    ブロック25改修計画に基づくスタンダードE-3Aの改良型。
    操作コンソールや電子妨害装置が強化された。

  • E-3D(セントリー AEW.1):
    イギリス空軍向け。 E-3Cと同仕様だが、プローブアンドドローグ式の給油プローブを機首に追加装備しているほか、翼端にローラル1017イエローゲートESMポッドを装備している。
    エンジンはCFM56を装備。7機製造。

  • E-3F:
    フランス空軍向け。CFM56エンジンを装備。
    E-3Cと同仕様だが、イギリス空軍機と同様にプローブアンドドローグ式の給油プローブを機首に追加装備している。
    4機製造。

  • E-3G:
    ブロック40/45改修計画に基づく改良型。
    C2/WAS/BM(指揮管制/広域監視/戦場管理)能力が強化されている。

  • JE-3C:
    E-3(EC-137D)3号機を後の実験・開発用に使用。
    後にC型に改修されており、この機体も含めるとE-3Cは10機。

  • KE-3:
    E-3(CFM56エンジン装備)と同じ母機を輸送/空中給油機型に改造した、サウジアラビア空軍向けの機体。


*1 イギリス・フランス・サウジアラビアで運用されている機体はエンジンがGEとスネクマ共同開発によるCFMインターナショナル CFM56ターボファンに換装されている。
*2 後継としては、B767をベースにしたE-767(200ER型ベース)やE-10(400ER型ベース)などが候補に挙がっているが、E-767は4機が日本で運用されているのみにとどまっており、E-10は開発中止となっている。
*3 Diminishing Manufacturing Sources Replacement of Avionics for Global Operation and Navigation.

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