Last-modified: 2023-05-27 (土) 12:43:03 (1d)

【E-3】(いーすりー)

Boeing E-3"Sentry(セントリー)".

ボーイング社製の大型四発ジェット旅客機B707-320をベースに製作したAWACS
当初「EC-137D」として1975年に初飛行、1977年に「E-3」として就役。

設計上の主眼は、早期警戒機指揮統制の役割を一機に統合して早期警戒管制指揮機とする事。
アメリカ空軍は1960年代から早期警戒機を運用していたが、当時はまだ早期警戒機と指揮統制を別々の機体で運用していた。

後部胴体上に巨大なドーム状のアンテナを持つのが最大の特徴。
このドームはウェスチングハウス社製AN/APY-1捜索監視レーダーで、アンテナが毎分6回転の速度で機体の全周をスキャンし、半径920km圏内の目標を識別・追跡できる。
その探知結果とそれを基にした対処策をデータリンクで伝達し、作戦の遂行を助けるのが任務となっている。

設計当初はドーム型アンテナが飛行に悪影響を及ぼす事を懸念されていたが、実際には若干巡航速度が低下する程度に収まっている。

NATO・イギリス・フランス・サウジアラビアでも運用されている。

現在、旧式化しつつあるにも関わらず後継機の開発が遅れている*1事から、アビオニクスの改修が計画されている。

E3.jpg

Photo by Kachou

性能諸元

乗員E-3A:運航要員4名(機長副操縦士航空機関士航空士)+操作員13〜19名
E-3B:運航要員4名(同上)+操作員17名
全長46.61m
全高12.6m
翼幅44.42m
翼面積283
ロートドーム直径9.14m
ロートドーム厚1.83m
空虚重量83,915kg
総重量156,036kg
最大離陸重量157,397kg
燃料容量84,769L(22,936 U.S.Gal)
エンジンターボファン×4基
アメリカ空軍/NATOP&W社TF33-PW-100A?
イギリス空軍/フランス空軍/サウジアラビア空軍:CFMI? CFM56-2A-2/3?
推力96kN(21,500lbf)(TF33-PW-100A)
106.8kN(24,000lbf)(CFM56-2A)
最高速度854km/h
巡航速度580km/h(最適)
航続距離7,400km
上昇限度
(実用/最小)
9,300m/8,800m
装備AN/APS-133気象レーダー
ウェスティングハウス AN/APY-1 or AN/APY-2 パッシブフェイズドアレイレーダー
AN/APX-133 IFF
チャフ・ディスペンサー×4基、ECM機材(スタンダードE-3A、E-3C)

主な近代化改修

  • Block.30/35:
    1987年から開発がはじめられたE-3Cに対する改修計画。
    機首、前部胴体側面、尾部にAN/AYR-2 ESM用アンテナを追加、GPS統合航行装置やクラス2H JTIDS端末の搭載、コンピュータの処理能力向上とメモリ増加、ディスプレイの近代化を行う。

    • RSIPマイナス:
      NATOのE-3に対して行った改修。Block.30/35を簡素化したもの。

  • レーダーシステム改善計画(RSIP):
    1997年末からE-3Cに対して行われた改修。
    電子部品の取り換えやAdaを利用した既成のデジタルコンピュータへの換装、整備性や将来発展性の改善、表示装置の改良など。
    RCSが小さい巡航ミサイルなどの目標をより正確に探知できるようになった。
    また、ECCM能力が強化されている。

  • 全運用期間支援計画(WLSP):
    2005年8月に契約が締結されたE-3Dに対する改修。
    IFFモードSに対応、事故データ記録システム(ADRS)の交換など。

  • Block.40/45:
    2005年から開発されているC2/WAS/BM(指揮管制/広域監視/戦場管理)能力を強化する改良型。
    DAMA-SATCOMを導入してネットワーク中心の戦いへの適合を行うほか、GATMを導入し、航法精度を上げ航空交通管制(ATC)の要件を満たす。
    また、コンピュータを近代的なものに換装し、情報を自動的に統合する機能を追加。
    ディスプレイも直感的に状況を認識できる表示モードを持つタイプに換装した。
    サウジアラビアのE-3Aも同仕様に改修される。

  • IFF近代化:
    Block.40/46改修の一環として実施。IFFをAN/UPX-40に換装。

  • E-3 MLU:
    2010年2月3日に契約が締結されたE-3Fに対する改修。
    Block.40/45相当の改良に加えIFFモードSとモード5への対応改修が含まれる。

  • 製造ソース低減汎地球作戦航法アビオニクス換装(DRAGON):
    Diminishing Manufacturing Sources Replacement of Avionics for Global Operation and Navigation.
    NATOとアメリカ空軍が共同で実施する改修。
    通信航法機器を強化し、コックピットグラスコックピット化してフライトクルー4名から3名に減らした。
    ウインドシアを予測することができる気象レーダー、地上接近警報システムの強化、デジタル衛星通信システム、飛行管理システムの搭載などが実施される。

主なバリエーション

  • EC-137D:
    E-3原型機の呼称。
    3機製造され、2機を運用に投入し、1機はJE-3となる。

  • E-3A:
    「コアE-3A」とも呼ばれる、AN/APY-1レーダーを搭載する初期量産型。
    量産24号機(通算26号機)まで。

  • E-3B:
    E-3Aのブロック20改修計画に基づく改良型。
    洋上監視能力の追加や中央コンピュータの処理能力向上、状況表示コンソールの追加等が行われた。
    EC-137Dの2機とE-3Aの22機(4号機から26号機)を改修。

  • スタンダードE-3A:
    AN/APY-2レーダーの装備や中央コンピュータの処理能力向上等が行われた型。
    チャフディスペンサーを装備する。
    通算27号機から35号機まで。

  • E-3C:
    ブロック25改修計画に基づくスタンダードE-3Aの改良型。
    操作コンソールや電子妨害装置が強化された。

  • E-3D(セントリー AEW.1):
    イギリス空軍向け。 E-3Cと同仕様だが、プローブアンドドローグ式の給油プローブを機首に追加装備しているほか、翼端にローラル1017イエローゲートESMポッドを装備している。
    エンジンはCFM56を装備。7機製造。

  • E-3F:
    フランス空軍向け。CFM56エンジンを装備。
    E-3Cと同仕様だが、イギリス空軍機と同様にプローブアンドドローグ式の給油プローブを機首に追加装備している。
    4機製造。

  • E-3G:
    ブロック40/45改修計画に基づく改良型。
    C2/WAS/BM(指揮管制/広域監視/戦場管理)能力が強化されている。

  • JE-3C:
    E-3(EC-137D)3号機を後の実験・開発用に使用。
    後にC型に改修されており、この機体も含めるとE-3Cは10機。

  • KE-3:
    E-3(CFM56エンジン装備)と同じ母機を輸送/空中給油機型に改造した、サウジアラビア空軍向けの機体。


*1 後継機候補としては日本(航空自衛隊)で運用されているE-767E-10B(どちらもB767-200ER/400ERがベース)があるが、E-767は2023年現在、4機が日本で運用されているのみにとどまっており、一方のE-10Bは開発中止となっている。
  なお、2023年に空軍はB737双発小型旅客機をベースにした「E-7A『ウェッジテイル』(B737 AEW&C)」を発注している。


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