Last-modified: 2020-09-16 (水) 18:59:22 (2d)

【DC-7】(でぃーしーせぶん)

Douglas DC-7.

アメリカのダグラス・エアクラフト社が開発・生産した四発レシプロ旅客機
DC-6の後継として1953年から量産された、ダグラス最後のレシプロ旅客機。

元々の設計コンセプトは「アメリカ大陸を無着陸で横断できる機体」。
トランス・ワールド航空が運航するロッキードL-1049「スーパーコンステレーション」に対抗すべく、アメリカン航空からの要求で開発が始まった。

機体はDC-6がベースで、エンジンR-3350ターボコンパウンドを採用。
プロペラブレードも3翅から4翅になり、エンジンカウルも大型化した。
また、高温の排気ガスからエンジンナセルを保護するために一部にチタンを採用。
胴体もDC-6より1.02m延長された他、主脚エアブレーキを兼ねるように改められた。

しかし、機体構造はDC-4の時代から基本的に変わっていなかった。
操縦席の構造はさらに前世代のDC-3由来のもので、航空機関士の席すら用意されていなかった*1
強力なターボコンパウンドエンジンと旧来の設計の相性も悪く、トラブルの温床となった。

加えて、ターボコンパウンドエンジン由来の大きな騒音・振動のためキャビンの居住性が悪化。
運用者からの評判を大きく損ない、航空会社や政府・軍部などは早々に本機を見限った*2
開発当初こそ軍用機としての採用も見込まれていたが、発注される事はついになかった*3

また、同時期にコメットB707DC-8などといったジェット機の開発・生産も始まっていたため、後期モデルの販路を喪失。
セールスが伸び悩んだ末、1959年に生産が打ち切られた。最終生産機数は338機。

日本でのDC-7

日本ではフラッグキャリア日本航空がC型を4機*4導入していた。

これより以前にA/B型の導入の働きかけはあったが、その時点では断っている。
しかしC型の際は、すでにジェット推進のDC-8を発注していたものの、航路で競合するパンアメリカン航空やノースウェスト航空への対抗上から導入を決めた。

本機は前型のDC-6Bに替わり国際線の主力機になったが、1960年にDC-8が国際線に導入されると国内線や貨物機に転用された。
しかしその頃、国内線ではいち早くターボプロップ機*5を導入した全日本空輸に差をつけられており、急遽中距離国際線用として導入したコンベア880を導入せざるを得なくなっていたほか、旅客増の対策に迫られていた。
そこで日航は、本機3機を国際線仕様からモノクラス99席仕様に改装した他、低調な国際貨物線を減便し、貨物便増強中だったスカンジナビア航空との間で機体を交換*6、「国際線仕様機を導入」したことを強調して1965年まで使用した。
これは前作のDC-6よりも早い退役であった。

主なユーザー

スペックデータ

※航空会社の仕様により若干の違いはある。

DC-7B
乗員3名(機長副操縦士航空機関士
全長33.20m
全幅35.81m
全高8.71m
座席数36(国際線用)〜102席(国内線用)
航続距離7,450km
最大離陸重量64,922kg
エンジンライトR-3350-988TC-18EA「サイクロン」空冷二重星型9気筒×4基
出力3,200hp/2,900rpm
最高速度650km/h
高速巡航速度557km/h
長距離巡航速度441km/h


DC-7C
乗員フライトクルー5名、フライトアテンダント4名
積載容量乗客105名+8,360kgまでの貨物/荷物
全長34.21m
全高9.65m
翼幅38.86m
翼面積152.1
翼型root:NACA23016、tip:NACA23012
空虚重量33,005kg
運用空虚重量35,780kg
最大離陸重量64,864kg
最大着陸重量49,000kg
燃料容量29,620L(7,824 US gal)(翼内燃料タンク8基)
オイル容量:930L(246 US gal)
エンジンライトR-3350-988TC18EA1-2 ターボコンバウンド空冷星型18気筒×4基
エンジン出力離陸出力(海面上):3,400hp(2,500kW)
低ブロワー(海面上):2,800hp(2,100kW)
低ブロワー(高度1,300m):2,850hp(2,130kW)
最大巡航(低ブロワー、高度4,500m):1,900hp(1,400kW)
最大巡航(高ブロワー、高度7,400m):1,800hp(1,300kW)
プロペラハミルトンスタンダード34E60-345 ハイドロマチック定速プロペラ(直径:4.27m)
最高速度653km/h(定格出力、高ブロワー、高度6,900m)
巡航速度557km/h(高度6,000m、50,000kg A.U.W.)
失速速度156km/h(着陸重量)
航続距離9,069km(最大燃料、ペイロード6,940kg、441km/h、高度4,600m)
7,459km(最大ペイロード時)
上昇限度6,600m(最大A.U.W.)
4,500m(エンジン3基、最大A.U.W.時)
上昇率1.2m/s(高度6,100m、最大A.U.W.時)
離陸滑走距離1,940m(最大A.U.W.時)
着陸滑走距離
(15m)
1,600m


バリエーション

  • DC-7:
    北米大陸無着陸横断用の原型機。

  • DC-7A:
    改良型。

  • DC-7B:
    北大西洋横断向けの航続距離延長型。

  • DC-7C:
    下記のように居住性と操縦の安定性を改良した型。通称「セブンシーズ」。
    • 胴体前後で1.01mのストレッチを施して客室容量を増加。
    • 主翼を胴体根元からそれぞれ約1.53m延長して振動などを低減。
    • 各尾翼の面積を拡張。
  • DC-7D:
    ターボプロップエンジンへの換装案。実現せず。


*1 航空機関士は予備用だったはずのジャンプシートに常駐していた。
*2 中には中古市場での買い手がつかず、数年でスクラップになった機体もあった。
*3 このため、本機はダグラスのDCシリーズでは(DC-1を除いて)唯一、軍用機型の生産がない機体となった。
*4 後述するように、うち1機はスカンジナビア航空の機体と交換したため延べにすると5機。
*5 オランダのフォッカーF27や英国のヴィッカース「バイカウント」など。
*6 貨物機に改装されていた「City of Hong Kong」(機体記号:JA6305)をスカンジナビア航空に譲渡し、代わりに同社の「Erik Viking」号(機体記号:SE-CCH)をJA6306「City of Hong Kong(2代目)」として譲り受けた。
*7 アメリカの客船会社「グレース・シッピング」との合弁会社。1968年まで経営された。

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