Last-modified: 2016-10-26 (水) 14:01:46 (362d)

【DC-10】(でぃーしーてん)

McDonell? Douglas DC-10.

アメリカのマクダネル・ダグラス社が1960〜1980年代に開発・生産したワイドボディの3発ジェット旅客機
設計開発はマクダネル社・ダグラス社の合併前に行われたため、型番は「DC(=Douglas Commercial(ダグラス・コマーシャル))」の略号で登録されている。

中距離路線を想定した300席クラスの機体で、ジェットエンジンは左右の主翼下と垂直尾翼の根元に取り付けられている。
当初はDC-8を上回る大型旅客機として構想されていたが、構想段階で「超音速旅客機の補完」などの性格も求められ、方向性を変更。
アメリカ国内線向けの中型機として開発・生産されることになった。

1970年8月に初号機の初飛行を行い、1971年に就役。
同時期にロッキード社も類似機種「L-1011『トライスター』」を就役させたため、激しい販売競争が繰り広げられた。
最終的にロッキードが贈収賄事件を引き起こすなどして信用を失墜し、旅客機部門から撤退。
しかしマクダネル・ダグラスもこの間に過当競争で経営体力を消耗し、後にボーイングへ吸収合併される遠因となった。

また、初期モデルには貨物室ドアの構造上の欠陥があり、これを原因とする重大事故が続発した。
このため、1979年5月に起きたアメリカン航空191便墜落事故*1を契機としてアメリカ連邦航空局耐空証明を一時取り消し。
他国もこれに追随したため、一時期、全世界で運行停止となる事態も起こしている。

日本の運輸省(当時)もアメリカに倣って耐空証明を取り消したが、その際、ちょうど日本航空の機体がニューヨーク〜東京を航行中だった。
このためアンカレッジに寄港した時点で耐空証明が失効となり、飛行停止となった。
日本航空は耐空証明されていない「物体」を日本国内に回航するために「超法規的措置」を申請する事となった。

その後、超音速旅客機自体が燃費や衝撃波の問題などから立ち消えになり、設計当初のコンセプトが破綻。
さらに第四次中東戦争による石油危機を契機に燃料価格も高騰し、航空業界は低燃費の機体を要求。
A300A310B767などの双発機が市場を席巻するに伴い、近代化されたMD-11への移行を図るため1989年に446機で生産終了となった。

日本では日本航空・日本アジア航空・JALウェイズ・日本エアシステム・ハーレクィンエア*2及びミネベア航空が導入・運用していたが、現在はすべて退役している。
全日本空輸ではトライスターを選択したためDC-10を導入しなかった。

スペックデータ

DC-10
乗員3名(機長副操縦士航空機関士
旅客数250〜380名
全長55.5m
全高17.70m
全幅50.4m
翼面積367.7
重量12,198kg
最大離陸重量263,085kg
エンジンGE CF6-50Aターボファン×3基(推力:218kN×3)
巡航速度982/h
巡航高度12,000m
航続距離12,055


KC-10
乗員4名
同乗者11名(最大)
全長55.4m
全高17.1m
全幅50.4m
翼面積367.7
自重109.328t
最大積荷重量269t
最大離陸重量266.5t
エンジンGE CF6-50-C2ターボファン×3基(推力:23.8t)
最大速度982km/h
航続距離18,507km(無給油最大値)
7,032km(貨物搭載時)
上昇力34.9m/min
実用上昇限度12,727m
最大燃料搭載量160.2t(206,480リットル)
最大貨物搭載量77tもしくは武装兵員77名
空中給油供給能力
フライングブーム方式4,810リットル/分(標準)
5,700 リットル/分(最大)
プローブアンドドローグ方式1,786リットル/分(FR600ドローグシステム)
1,160リットル/分(Mk.32Bドローグポッド×2基)


主なバリエーション

  • DC-10-10:
    初期生産型。

  • DC-10-30:
    長距離型で最も多く生産されたタイプ。
    エンジンはCF6-50C2を搭載。

    • DC-10-30ER:
      スイスエア(現スイス インターナショナル エアラインズ)の要望で-30型の航続距離をさらに伸ばした型。
      フィンランド航空の仕様では、バルクカーゴエリアにより大型の燃料タンクを搭載し、エンジンを推力向上型のCF6-50C2Bへ換装している。
      日本では日本エアシステムが2機導入していた。

    • DC-10-30F:
      貨物機型。

  • DC-10-40:
    ノースウェスト航空(現・デルタ航空)と日本航空の要望により開発された型。
    B747と併用するため、エンジンP&W JT9D?に換装している。

    • DC-10-40D:
      日本航空のみが保有していた、-40型の短距離仕様。

  • DC-10-15:
    アエロメヒコ航空とメキシカーナ航空向けに生産された型。
    高温地帯や高地の空港で運用するために設計され、エンジンはCF6-6よりも推力の大きなCF6-50が搭載された。

  • MD-10:
    フェデックスが保有する、-10型と-30型を改修した型。
    操縦システムをMD-11と同様のものに改造。一部のシステムはB777などの最新型ボーイング機のものが流用されている。

軍用型

  • KC-10「エクステンダー」:
    KC-135の後継として開発された空中給油機輸送機型。
    DC-10-30をベースにしている。

    • KDC-10:
      オランダ空軍の空中給油機兼輸送機型。
      マーティンエアーが使用していたDC-10-30CFをベースにしている。
      KC-10と異なり、給油操作は後のKC-767のようにテレビカメラの映像をモニター画面で見ながら行う。



*1 なお、この事故の原因は貨物室ドアの欠陥とは関係ない整備上のミスであった事が後に発覚している。
*2 日本エアシステムの子会社。福岡空港を拠点とし、海外チャーター便を運航していた。

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