Last-modified: 2014-01-15 (水) 21:59:54 (1254d)

【C96】(しーきゅうじゅうろく)

Mauser C96
マウザー社が開発した、世界初の軍用半自動式拳銃
日本では「モーゼル・ミリタリー」の通称で呼ばれることが多い。

DWM社のボルヒャルト・ピストーレに遅れをとったマウザー兄弟であったが、これを開発したヒューゴ・ボルヒャルトがDWM社を離反したため、彼を迎えて共同で開発したものが本銃である。
しかし実際に出来上がった銃は、ボルヒャルト・ピストーレのようにレシーバーが突き出てこそいないものの、機構的には銃床のないカービンそのものであった。
具体的には、弾倉がレシーバー前部に固定されており装填にクリップを用いること*1閉鎖機構遊底によることなど、ボルヒャルト・ピストーレよりも保守的な設計であった。
重心が前へ偏っているため銃口跳ねが少なく、外付けの銃床がない場合の命中精度は比較的良好になったものの、他の拳銃に比べれば銃床への依存度は高い。

しかし、当時はまだ自動小銃が実用化されていない環境で、後の著名なピストルでも用いられているロッキングブロック?が採用されているなど、ある意味では非常に先進的な設計であったともいえる。

現代の基準から見ればかなり「無駄に大きい」銃ではあったが、ボルヒャルト・ピストーレよりは携帯性に優れており、ドイツ軍の一部へ自衛火器として配備された。
数カ国へ輸出されたほか、中国やスペインなどではデッドコピーもおこなわれた。
中国の馬賊が、まさしく騎兵銃として使用していたことでも知られている。
デッドコピー先でフルオートに改造されることもあり、本家であるマウザーマシンピストル型のM712を製造した。

また専用の7.62mmボトルネック弾?小銃弾のように長射程で貫通力が高く、広い平原での戦闘に有利であった。
これは後年、ソ連軍のトカレフTT33にコピーされた。

スペックデータ

全長308mm/630mm(ストック装着時)
銃身長140mm
重量1,100g/1,750g(ストック装着時)
使用弾薬7.63mm×25モーゼル弾
装弾数10発、20発
作動方式シングルアクション・ショートリコイル
銃口初速430m/s


バリエーション

  • モーゼル・ミリタリー9mm(M1916):
    ドイツ軍の正式拳銃弾である9mmパラベラム弾用に改造されたモデル。
    グリップに赤字で「9」と刻印されたことから「レッド9」と呼ばれる。

  • ボロ・モーゼル:
    ロシア向け輸出モデル。グリップがやや太く、バレルは4インチに短縮されている。
    「ボロ」は「ボリシェヴィキ*2」の略で、ロシア革命前後にボリシェヴィキとその敵対勢力双方に好んで用いられた。

  • ボロ・モーゼル 6ショット:
    弾倉を6連発にしたモデル。

  • モーゼル・フラットサイドモデル:
    側面の凹凸をなくし、磨き上げたモデル。
    中国ではその鏡のような磨き上げた側面から「大鏡面」の別称がある。

  • モーゼル・ライエンフォイヤー(M713):
    フルオートモデル。社内名称はM1931。
    ライエンフォイヤー(Reihenfeuer)とはドイツ語で「連射」の意。
    マガジンが脱着式となり、10発と20発弾倉が用意された。
    しかし、フルオート時の振動でセレクターが勝手に切り替わるなど欠陥が多く、短期間で生産中止になった。

  • モーゼル・シュネルフォイヤー(M172):
    ライエンフォイヤーの欠陥を改めたマシンピストルモデル。
    シュネルフォイヤー(Schnellfeuer)はドイツ語で「速射」の意。
    M713と同様、10発ないし20発の着脱式マガジンが用意されたが、従来通りのクリップによる装填も可能である。
    使用弾薬は7.63mm×25モーゼル弾だが、9mmルガー弾を使用するタイプもある。
    ドイツ軍では、主に空軍の砲兵部隊のオートバイ伝令兵や降下猟兵武装親衛隊に供与された。

  • モーゼル・M174:
    アメリカなどへの輸出や護身用として販売されたモデル。

  • 山西17式:
    C96に.45ACP弾に対応させる改良を施したモデル。
    左側面に「壹柒式」の刻印、右側面に「民国拾捌年晋造」の刻印がある点でC96と区別できる他、トリガーガード下で広がる大型の10発装填マガジンが外見上の特徴となっている。

  • 漢陽製C96:
    漢陽兵工廠製のC96のコピー。

  • モ式大型自動拳銃:
    中国戦線で鹵獲したC96が日本で準正式化された際の名称。
    弾丸も「モ号大型拳銃実包」として国産化された。


*1 特許問題で銃把に弾倉を内蔵できなかったといわれる。
*2 большевики:ロシア社会民主労働党が分裂して形成された、ウラジーミル・レーニンが率いる左派の一派。名称は「多数派」の意。

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