Last-modified: 2022-11-14 (月) 22:06:48 (14d)

【Bf110】(めっさーしゅみっとあいんはんだーとつぇーん)

Messerschmitt Bf 110.

ドイツのバイエルン航空機製造(後のメッサーシュミット)が開発、第二次世界大戦期のドイツ空軍で運用された双発重戦闘機

開発

1934年秋、爆撃機護衛や対地攻撃、強行偵察など多岐にわたる任務を一手に担うことが可能でかつ長距離飛行の可能な多目的双発戦闘機計画が開始、ドイツ空軍大臣ヘルマン・ゲーリングがこれを最優先開発機種として開発を推し進めた。
戦闘駆逐機(Kampfzerstörer)という分類の与えられたこの計画にはドイツの航空機設計7社が参加、内3社の機体*1の比較試験が実施されることとなる。

このうち、バイエルンのメッサーシュミットが設計、1936年5月に初飛行したした機体は計画にあった爆弾倉や動力銃座を省いたことで細く絞られた胴体から、他社の機体と比べて高い飛行性能を発揮、当時のドイツ空軍主力単発戦闘機であったBf109Bよりも優速*2、搭載する固定武装も強力であったことから、制式採用された。

特徴

機体設計は同時期のイギリスの双発戦闘機であるブリストル・ボーファイター?と比べて非常に細いため空力的に優れる一方、重量や空気抵抗の差から多くの単発戦闘機には運動性で劣ったが、戦術でカバーできる範囲で、高高度性能は同時期の単発機よりも優れたものだった。

また、余裕ある機体規模から装備、機材の追加装備なにかかる支障が少なく、多目的に運用が可能だった。

戦史

初の実戦は第二次世界大戦開戦時のポーランド侵攻で、配備部隊は少なかったものの旧式のポーランド空軍機を圧倒的な優速と火力で駆逐、続くデンマーク・ノルウェー侵攻や西方電撃戦(フランス侵攻)では近代的な英仏の戦闘機に対し、高度優位からの一撃離脱を主戦法とすることで、損害を抑えつつフランス上空の制空権掌握に寄与した。
しかし、バトル・オブ・ブリテン爆撃機の護衛戦闘機として運用された際は、イギリス側の防空レーダーシステムによって接近が早期に察知されたこと、任務に直接護衛*3が含まれたことにより、高度不利状況での交戦が増え、その武装を活かせないまま運動性に優れる英空軍単発戦闘機、スピットファイアハリケーンに多くが撃墜され、投入された実働237機の内223機が失われた。

その後、バトル・オブ・ブリテンでのドイツ空軍によるロンドン爆撃の報復として英空軍は、1940年5月から本格的なドイツ爆撃を開始した。
この爆撃は多くが夜間に実施されたため、迎撃する機体には数少ない攻撃チャンスを確実とする火力と、航法や無線通信を行う乗員の同乗、及び夜間戦闘の為の各種装備追加が求められた。
Bf110はこの任務に最適の機体であり、バトル・オブ・ブリテン以後の本機は専ら連合軍爆撃機迎撃を主任務とする夜間戦闘機か、双発機特有の大きな搭載量を活かしたヤーボ戦闘爆撃機)として運用された。

夜間戦闘機としての運用開始からしばらくの間、夜間戦闘機型の本機は地上の早期警戒レーダー「フライア」と対空レーダー「ヴュルツブルク」と連動して敵の爆撃機隊の発見を支援する「ヒンメルビット」を搭載した。
1942年にはドイツ初の実用的な航空機搭載レーダー「FuG202 リヒテンシュタイン」のBf110への搭載が始まり、1943年には殆どの機体がこれを装備した。

「リヒテンシュタイン」レーダーは搭載時、機首部に「有刺鉄線」と呼ばれた巨大なアンテナを装備したが、重量増加と空気抵抗により最高速度が40km/h程度低下したため、ヒンメルビットに慣れた搭乗員には不評だった。

また、G型が登場する頃には上向きに65〜78度の角度がついた武装搭載の様式「シュレーゲ・ムジーク」が実施された。

Bf110は、当初の開発方針にあった長距離護衛戦闘機としては失敗に終わったものの、夜間戦闘では主力戦闘機であり、ドイツが敗戦を迎える1945年までに6,000機以上が生産、運用され、最終的には100機以上の撃墜数を持つ夜間戦闘機エースパイロットを生んだ。

スペックデータ(Bf 110 C-1)

乗員2名または3名
全長12.0714m
全高4.128m
翼幅16.2497m
翼面積38.4
翼形翼根:NACA 2R1(翼圧比18.5%)
翼端:NACA 2R1(翼圧比11%)
空虚重量4,425kg
未装備重量4,885kg
全備重量6,028kg
最大離陸重量6,749kg
燃料容量1,272L(336 US gal)(中央部タンク)
エンジンダイムラー・ベンツ DB601B-1 液冷倒立V型12気筒×2基
出力
(仏馬力/キロワット)
1,050PS/772kW(離昇)
1,100PS/809kW(高度3,700m)
プロペラVDM製3翅可変ピッチプロペラ
最高速度475km/h(6,028kg、海面高度)
525km/h(高度4,000m)
541km/h(高度6,000m)
巡航速度262km/h(最大連続稼働、海面高度)
489km/h(最大連続稼働、高度5,000m)
484km/h(最大連続稼働、高度7,000m)
349km/h(経済巡航速度、高度4,200m)
着陸速度150km/h
航続距離774km(最大連続巡航速度、通常燃料、海面高度)
850km(最大連続巡航速度、高度5,000m)
909km(経済巡航速度、高度7,000m)
1,094km(経済巡航速度、高度4,200m)
実用上昇限度10,000m
上昇率11m/s
高度上昇時間高度6,000mまで10分12秒(9.80m/s)
翼面荷重173kg/
馬力荷重241W/kg
武装
機首MG FF/M 20mm機関砲×2門
(各弾倉60発、飛行中に銃手/無線手弾倉の取り替え可能)
MG17 7.92mm機銃×4挺(各1,000発)
後方旋回機銃MG15 7.92mm機銃×1挺


バリエーション

  • Bf110V1:
    試作機。ダイムラー・ベンツ DB00系エンジンを搭載。

  • Bf110V2:
    二次試作機。

  • Bf110V3:
    武装試験機。MG17 7.92mm機銃×4挺を装備。

  • Bf110A:
    プロトタイプ。エンジンはユンカースJumo210Bを搭載。

    • Bf110A-0:
      先行量産型。
      武装は機首にMG17 7.92mm機銃4挺、後部にMG15 7.92mm機銃1門を装備。

  • Bf110B:
    小規模生産型。
    A型と同じく暫定的にJumo210G/Ga(670PS/700PS)を搭載。

    • Bf110B-0:
      Bf110B-1と同等の先行量産型。

    • Bf110B-1:
      生産型。
      武装は機首にMG17 7.92mm機銃4挺とMG FF 20mm機関砲2門を装備。

    • Bf110B-2:
      偵察機型。20mm機関砲を撤去し、各種カメラを装備。

    • Bf110B-3:
      練習機型。20mm機関砲を撤去し、無線装置を搭載。

  • Bf110C:
    1,000馬力級のDB601エンジンを搭載した型。
    エンジンナセルが再設計され、ラジエーターを主翼下面に移して主翼幅を短縮、空力的に洗練された。

    • Bf110C-0:
      プロトタイプ。

    • Bf110C-1:
      戦闘機型。エンジンはDB601B-1(1,100PS)を搭載。

    • Bf110C-2:
      通信機をFuG aからFuG 10に更新した型。

    • Bf110C-3:
      MG FF 20mm機関砲を薄殻弾頭の発射が可能なMG FF/Mに換装した型。

    • Bf110C-4:
      搭乗員を護る9mmの防弾板を追加した型。

      • Bf110C-4/B:
        250kg爆弾2発を装備できるETC500またはETC250爆弾架を2基搭載した戦闘爆撃機型。

    • Bf110C-5:
      偵察機型。20mm機関砲を撤去しRb 50/30カメラを搭載。
      DB601Pエンジンを搭載。

    • Bf110C-6:
      試作対地攻撃型。
      20mm機関砲を撤去し、胴体下にガンポッド形式でMK101 30mm機関砲×1門を装備。

    • Bf110C-7:
      C-4/Bをベースにした戦闘爆撃機型。
      中央部にETC500爆弾架を2基搭載し、1,000kgまでの爆弾を搭載可能。

  • Bf110D:
    ノルウェーへの侵攻のために開発された長距離重戦闘機/戦闘爆撃機型。
    C型をベースに胴体下外部燃料タンクを装備した。

    • Bf110D-0:
      Bf110C-3を改造した試作型。
      「ダッケルバウフ(Dackelbauch)*4」と呼ばれる1,050リットルの巨大な合板製増槽を装備。

    • Bf110D-1:
      C型ベースの長距離戦闘機型。
      D-0と同様にダッケルバウフを装備。

      • Bf110D-1/R1:
        オプションで主翼に900リットルドロップタンクを追加搭載可能とした型。

      • Bf110D-1/R2:
        「ダッケルバウフ」を廃止し、85リットルの潤滑油用ドロップタンクを装備した型。
        主翼に900リットルドロップタンクを追加搭載可能。

    • Bf110D-2:
      両翼に300リットルドロップタンク、中央部に500kg爆弾用ラック2基を装備した型。

    • Bf110D-3:
      主翼に300リットルまたは900リットルのドロップタンク2基を装備する型。
      救命筏の搭載のために尾部が長くなっている。
      オプションでETC500爆弾架を装着可能(900Lドロップタンクは装着不可)。

    • Bf110D-4:
      長距離偵察機型。Rb50/30カメラを装備。
      主翼に300リットルまたは900リットルのドロップタンク2基を搭載。

  • Bf110E:
    主に戦闘爆撃機として運用された型。

    • Bf110E-0:
      先行量産型。ETC50爆弾架を2基装備。DB 601 Bエンジンを搭載。

    • Bf110E-1:
      量産型。DB 601 Pエンジンを搭載。

      • Bf110E-1/U1:
        夜間戦闘機への改造型。「シュパナー・アンラーゲ」赤外線暗視装置を装備。

    • Bf110E-2:
      D-3と同様に尾部を延長し救命筏を搭載した型。

    • Bf110E-3:
      長距離偵察機型。

  • Bf110F:
    E型をベースに機体構造と装甲を強化した型。DB601F(1,350PS)エンジンを搭載。

    • Bf110F-0:
      プロトタイプ。エンジン周辺以外はE型と同等の機体。

    • Bf110F-1:
      戦闘爆撃機型。

    • Bf110F-2:
      F-1から胴体の爆弾ラックを撤去した長距離戦闘機型。
      主に連合軍爆撃機の迎撃に運用され、のちにW.Gr21 対空ロケット弾を両主翼に各1発懸吊した機体もあった。

    • Bf110F-3:
      E-3に準ずる偵察機型。

    • Bf110F-4:
      初の本格的な夜間戦闘機型。
      乗員は3名。

  • Bf110G:
    F型の改良型で防弾装備が強化され、DB605Bエンジン(1,475PS)を搭載。
    後部銃座がMG81Z 7.92mm2連装機銃となったほか、尾部方向舵が大型化している。

    • Bf110G-1:
      生産されず。

    • Bf110G-2:
      戦闘爆撃機型。ロケット弾を装備。

      • Bf110G-2/R1:
        胴体下にBK3.7 37mm機関砲を装備した型。

      • Bf110G-2/R4:
        胴体下にBK3.7 37mm機関砲機首にMK108 30mm機関砲×2門を装備した型。

    • Bf110G-3:
      長距離偵察機型。

    • Bf110G-4:
      FuG202/220「リヒテンシュタイン」レーダーを搭載した夜間戦闘機型。
      オプションで「シュレーゲ・ムジーク」を装備。

    • G型は以下のオプション装備キットがあった。
      Rüstsatz装備品対象サブタイプ
      R1胴体下面のETC500ラックと機首のMG 151/20 20mm機関砲×2門を撤去し、
      胴体下面にBK 3.7 37mm機関砲×1門(弾数32発)を装備。
      G-2
      G-3
      R2GM-1出力増強装置
      (重量約613kg、容量450kg、通常45分、緊急27分)
      G-4
      R3機首上面のMG 17 7.92mm機銃×4門を撤去し、
      MK 108 30mm機関砲×2門(弾数各135発)を装備。
      G-2
      G-3
      G-4
      R4R-2仕様+R-3仕様G-4
      R5R-1仕様+R-3仕様G-2
      R6R-2仕様+R-3仕様G-4
      R7外翼下面に300リットル増槽2基G-2
      G-3
      G-4
      R8「シュレーゲ・ムジ−ク」(MG FF/M 20mm機関砲2門)G-4
      R9「シュレーゲ・ムジーク」(MK 108 30mm機関砲2門)
      B1後部胴体下面に増設潤滑油タンクG-2
      G-3
      G-4
      B2両外翼下面に300リットル増槽2基
      M1胴体下面にMG 151/20 20mm機関砲2門
      M2胴体下面にETC500/bラック
      M3両外翼下面にETC50/Vdラック
      M4
      M5両外翼下面にW.Gr42ロケット弾2発(計4発)

  • Bf110H:
    エンジンをDB605Eに換装した型。それ以外はG型と同様。
    少数が生産された*5


*1 フォッケウルフ(Fw 57)・ヘンシェル(Hs 124)・メッサーシュミット(Bf 110)。
*2 ただし、この優速は第二次世界大戦開戦頃のBf109Eの配備によって覆された。
*3 爆撃機に対して直接随伴する護衛方法。
*4 ドイツ語で「ダックスフンドの腹」の意。
*5 空襲により工場が破壊され、生産されなかった説もある。

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