Last-modified: 2022-05-21 (土) 13:23:38 (310d)
【BTR-80】 †
ロシア陸軍で運用されている装輪式装甲兵員輸送車。
BTR-70の改良型に当たる。
1984年に開発が開始され、1987年にソ連陸軍の自動車化狙撃師団*1に部隊配備が開始された。
BTR-60PBからの改造に過ぎなかったBTR-70に対し、大幅な改良が施されている。
エンジンは120馬力のガソリンエンジン2基から260馬力のディーゼルエンジン1基に改められた。
兵員室は、天井がやや高くなり容積が増加したほか、BTR-70では逆三角形の小型のもので実用性に欠けた側面ハッチは、上部にもハッチを追加して大型化している。
そのため、ハッチ上部は前方向に、ハッチ下部は真下に開く、やや複雑な構造になっている。
砲塔は、KPVT 14.5mm機関銃とPKT 7.62mm機関銃を各1丁装備したものが搭載されるが、アフガン侵攻戦で高所から攻撃されて被害を蒙った戦訓から、機関銃の最大仰角を+80度まで拡大している。
また、砲塔後部には902B発煙弾発射機「トゥーチャ(黒雲)」を6基装備している。
輸出も積極的に行なわれており、旧ソ連諸国を中心に22ヶ国以上に輸出された。
スペックデータ †
BTR-80 | |
乗員 | 2名+兵員9名 |
全長 | 7.65m |
全幅 | 2.9m |
全高 | 2.46m |
戦闘重量 | 13.6t |
懸架・駆動方式 | 8輪駆動 |
エンジン | KAMAZ-7403 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル×2基(出力260hp) |
登板力 | 50% |
超堤高 | 0.5m |
超豪幅 | 2.0m |
最大速度 | 90km/h(整地) 60km/h(不整地) 10km/h(水上) |
行動距離 | 600km |
装甲 | 車体前面:8〜10mm 砲塔前面:6mm |
兵装 | KPVT 14.5mm重機関銃×1挺(500発) 2A72 30mm機関砲×1門(BTR-80A) PKT 7.62mm機関銃×1挺(2,000発) |
2S23「ノーナ-SVK」 | |
乗員 | 4名 |
全長 | 7.4m |
全幅 | 2.9m |
全高 | 2.49m |
戦闘重量 | 14.5t |
エンジン | KAMAZ-7403 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル×2基(出力260hp) |
登坂力 | 60% |
超堤高 | 0.5m |
超壕幅 | 2.0m |
速度 | 80km/h(路上) 10km/h(浮航) |
行動距離 | 600km |
装甲 | 16mm(砲塔前面) |
兵装 | 2A60 120mm直射・迫撃両用砲×1門(弾数30発) PKT 7.62mm機関銃×1挺(弾数500発) 3連装発煙弾発射器×2基 |
派生型 †
- BTR-80(GAZ-5903):
前期生産型。
- BTR-80K(GAZ-59031):
指揮車両型。
- BTR-80M:
改良型。
車体が延長され、エンジンをDMZ-238M2(出力240shp)に換装している。
- BTR-80A(GAZ-59034):
1995年から配備が開始された歩兵戦闘車型。ハンガリー陸軍が少数採用している。
外装式に2A72 30mm機関砲(装弾数300発)を装備した「BPPU」砲塔を搭載。
照準器として1PZ-9照準器とTPN-3またはTPN-3-42「Kristall」夜間照準器を装備している。
- BTR-80S:
ロシア国内軍(BB)*2向け生産型。
BTR-80Aの2A72 30mm機関砲をKPVT 14.5mm重機関銃に再換装した。
- BTR-80AK:
A型の指揮車両型。
ホイップアンテナ2本を装備。
- BRDM-3:
偵察戦闘車型。
夜間暗視装置を新型のものに換装して各種観測装置を増設、車両の固有乗員以外の搭乗兵員を3名に減少させた代わりに偵察用機材や車載武装の搭載弾薬を増加させている。
- BTR-80S:
- BTR-80UM:
ウクライナで開発された発展型。
- BTR-82:
2009年に登場した最新型。
対地雷性能の向上、新型のTKN-4GA暗視装置やGLONASS?端末の搭載、300馬力のエンジンへの換装などの改造が行われており、以前のタイプよりも大幅に性能が向上している。
- BTR-82A:
2A72 30mm機関砲を搭載した型。
- BTR-82AM:
BTR-80をBTR-82Aレベルに改装した型。
海軍歩兵部隊に配備されている。
- BTR-87:
BTR-82Aの改良型。
エンジンコンパートメントを車体前部右側に移動している。
- BTR-82V:
国家警備隊向けモデル。
- BTR-82A:
- 2S23「ノーナSVK」:
自動車化狙撃連隊向けの自走迫撃砲型。
2S9「ノーナS」の2A60 120mm直射・迫撃両用砲塔を搭載している。
- BREM-K(GAZ-59033):
装甲回収車型。
牽引装置、ウインチ、溶接装置および軽量クレーンを装備する。
- KM-80またはBTR-80 PBKM:
指揮車両型。
- RKhM-4:
NBC偵察車輌型。
KPKhR-3化学薬品検出セットやIMD-21BA・DP-5V検出装置、KPO-1サンプリング装置などを搭載。
- RKhM-4-01:
改良型。
GSA-13、IMD-1R、ASP-12システム、PGO-11半自動検出装置を装備し、無線機をR-123MからR-171MおよびR-173Mに換装している。
- RKhM-4-02:
検出システムを更新した型。
- RKhM-6 "Povozka":
2011年に配備が開始された最新型。
- RPM-2(NKR):
KRPIシステムを装備する放射線偵察車輌。
- RKhM-4-01:
- R-149BMRA:
指令・信号車両型。
- R-145BM1:
指令・信号車両型。
- R-439-BK1:
SatCom?中継局車型。
- BPDM 15TS56M「タイフーン-M」:
戦略ロケットの警備車両。
BTR-60MBP/15Ya56M MBPの後継として開発された。
- K1Sh1(GAZ-59032):
指揮車輌型。
- BMM-80"Simfoniya"(GAZ-59039):
装甲救急車型。
担架2人を含む9名の患者を輸送可能。
以下の3タイプがある。
- BMM-1:
応急処置と戦場からの避難に使用される車両。
- BMM-2:
大隊レベルで使用される車両。
- BMM-3:
移動野戦病院として使用される型。
- BMM-1:
- E-351BrM:
電源車型。
AD-30T/400ディーゼル発電機を搭載。
- PU-12M6(9S482M6):
防空指揮車輌型。
- PU-12M7:
改良型。
- PU-12M7:
- 1V152:
野戦砲兵部隊向け指揮・前線観測車型。
- R-149BMR:
信号車両型。
R-168-100KA「Akveduk-100KA」、R-168-100U、R-163-25U、R-163-10V、およびR-163-1V「Arbalet」HF/VHF無線機セットを装備。
また、ASh-4テレスコピック式マストやAZI NVIS HFアンテナなどを装備。
- R-149MA3:
指令・信号車両型。
- R-165B:
短波(HF)信号車両型。
「Arbalet-500K」、R-163-10VおよびR-163-50、R-163-AR無線機、R-016V「Vishnya」HFリンク機器、およびAB-4U-P28.5-1V発電機を搭載。
- R-439-MD2:
SatCom?中継局車型。
- R-439-BK"Legenda-2BK":
SatCom?中継局車型。
- P-240BTZ:
P-240BTの後継として開発された交換車両型。
「ゼニット」セットを装備する。
- BMM-80"Simfoniya"(GAZ-59039):
- Infauna:
空挺部隊向けの電子戦車両型。
- BTR-90:
BTR-80の後継。
詳しくは項を参照。
- BTR-94?:
ウクライナで開発された発展型。詳しくは項を参照。
- BTR-3U?:
BTR-94の発展型。詳しくは項を参照。
- BTR-3U?:
- GAZ59032:
民間向けモデル。
天井をさらに高くして、10名が乗車することが可能。
- GAZ59037:
極地・寒冷地調査用の民間向けモデル。
暖房設備・物資輸送フォームを搭載。
- B33「ツィンブル」:
ルーマニアでのライセンス生産型。
- ツィンブル2000:
B33の発展型。試作のみ。
エンジンをドイツ AG社製のBF6M1013FCに、トランスミッションをアリソン製のものに換装。
また、砲搭もMLI-84M1と同じOWS-25Rを搭載した。