Last-modified: 2020-09-13 (日) 12:56:42 (76d)

【BAC 1-11】(びーえーしー わんいれぶん)

BAC One-Eleven.

1960年代〜1980年代、英国のブリティッシュ・エアクラフト社が開発・生産した短距離用双発ジェット旅客機
ダグラスDC-3コンベア240などといった小型レシプロ旅客機の代替として開発された。

もともとは、1956年にハンチング社が計画した小型ジェット旅客機「H107」と、ヴィッカース社が計画していた「VC-11」が母体となっている。
両社が再編でBAC社に吸収されたため、ハンチング社のH107をもとにして開発がすすめられ、1963年に原型機が初飛行した。
前述のとおり、当初はレシプロ機の代替として開発が進められたが、実際にはヴィッカース・バイカウントロッキードL-188などのターボプロップ機の後継となった。

なお、開発当時のライバル機にはボーイングB737やダグラスDC-9などがあったが、それらよりも先行して開発が進んだ上、機体がより小型であった。

1965年から顧客への引き渡しが開始。
当初は英国の航空会社からの発注を受けて生産されていたが、後にヨーロッパ諸国やアメリカ、ブラジルなど世界各国の航空会社でも短中距離用機材として用いられ、英国製のジェット旅客機としては商業的に最も成功した機体となった*1

その後、さらなる再編でBAC社がブリティッシュ・エアロスペース社に吸収され、同社がBAe146を生産することになったため1982年に生産が終了したが、当時東側陣営の一国であったルーマニアに生産設備が移管され「ROMBAC 1-11」として1989年まで生産が続けられた。

現在ではBAe146アブロRJフォッカー100などに代替され、ほとんどが定期航路から引退しているが、少数の機体がプライベートジェットとして運用されている。

主なオペレーター

  • 民間
    • 英国欧州航空(BEA)
    • ブリティッシュ・エアウェイズ(BEAから承継)
    • レイカー航空
    • モナーク航空
    • ライアンエアー
    • スイス航空
    • スカンジナビア航空
    • フィリピン航空
    • アメリカン航空
    • ブラニフ航空
    • アロハ航空
    • トランス・ブラジル航空
    • VASP航空

  • 軍事
    • オーストラリア空軍
    • ブラジル空軍
    • オマーン空軍
    • フィリピン空軍
    • イギリス空軍
      • 帝国テストパイロット学校(ETPS)
      • ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメント(RAE)
  • 政府機関
    • メキシコ政府
    • フィリピン政府
    • ルーマニア政府
    • UAE政府

スペックデータ

タイプモデル200モデル300/400モデル475モデル500
乗員2名(機長副機長
座席数89名119名
全長28.50m32.61m
キャビン3.20m
キャビン幅15.24m17.32m21.44m
全高7.47m
翼幅26.97m28.50m
翼面積9195.8
空虚重量21,007kg22,100kg23,465kg24,758kg
最大離陸重量35,600kg39,000kg44,700kg47,400kg
最大着陸重量31,000kg35,000kg39,000kg
最大ペイロード8,023kg10,105kg9,647kg11,983kg
エンジンロールス・ロイス? RB.163 スペイ低バイパス比ターボファン×2基
スペイMk.506スペイMk.511スペイMk.512-14DW
最大推力
(×2)
46.3kN(10,410lbf)51kN(11,400lbf)55.8kN(12,550lbf)
最大巡航速度
(高度6,400m)
882km/h871km/h
失速速度200km/h211km/h183km/h195km/h
航続距離*21,340km2,040km3,001km2,744km
上昇限度11,000m
上昇率14.0m/s12.4m/s12.6m/s11.6m/s
離陸滑走距離
(最大離陸重量時)
1,900m2,000m1,700m2,000m


バリエーション

  • モデル200:
    最初の生産型で客席数最大79席。日本にもデモフライトで飛来した。

  • モデル300:
    エンジンを改良し、航続距離を延長した型。
    ロールス・ロイス スペイMk.511を搭載。

  • モデル400:
    モデル300の北米向け仕様。
    アメリカン航空の要求に応じて仕様変更した。

  • ROMBAC 1-11-475(モデル475):
    ルーマニアでの生産型。

  • モデル475:
    モデル400の胴体とモデル500の主翼・エンジンを組み合わせて、離着陸性能を強化した型。
    少数機がフォーセット航空、エア・パシフィック等で運用された。
    さらに日本にもYS-11の代替機として離着陸性能強化型の売り込みがあり、参考として本型がデモフライトで飛来した。

  • ROMBAC 1-11-495(モデル495):
    モデル475のルーマニアでの生産型。計画のみ。

  • モデル500:
    胴体を延長して客席数を最大119席にした型。
    エンジンはロールス・ロイス スペイ512を搭載。

  • BAC 1-11-510ED:
    モデル500のBEA/ブリティッシュ・エアウェイズ向け派生型。

  • ROMBAC 1-11-550(モデル550):
    ルーマニアでの生産型。

  • ROMBAC 1-11-560(モデル560):
    モデル500のルーマニアでの生産型。

  • モデル670:
    モデル475の改良型。空力を改善し、騒音を低減した。


*1 これは、同じ英国製の「世界初のジェット旅客機」であったコメットや同じヴィッカース社製のVC-10とは対照的な結果である。
*2 通常ペイロード、2時間のリザーブ。

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