Last-modified: 2023-11-11 (土) 14:53:38 (18d)

【B777-3SBER】(びーなななななな さんえすびーいーあーる)

Boeing B777-3SBER(B-777-300ER).

日本国政府が導入し、航空自衛隊が運用する政府専用機
ボーイング社の大型双発ジェット旅客機B777の派生型の一つである。

機体の実装はビジネス機仕様のBBJ 777(-300ERモデル)からの改装による。
「B777-3SBER」はボーイング社の顧客コードを付した型式表記で、日本国内の公文書では「特別輸送機『B-777-300ER』」と表記している。

ボーイング社の顧客コードは同じ顧客でも契約ごとに一定しない傾向にあり、顧客コード「SB」も本機が初出。
(これは、前世代のB-747-400と違って本機がボーイング社のビジネス機ボーイングビジネスジェット」の一機体として受注され、日本政府がその「新規顧客」となったことによる)

従来のB-747-400の後継として2018年に導入。
2019年度から2機(機体記号:80-1111 / 80-1112)が防衛省航空自衛隊により運用開始された。
主たる用途は皇族・要人・賓客等の外遊、および国外の事変に際して自衛官・避難民及び物資を緊急輸送する事。

法令上、皇族・内閣総理大臣・国賓・衆議院議長・参議院議長・最高裁判所長官が利用してよい事となっている。
しかし、防衛省所管の国有財産であるため使用要件は厳しく、単に要人が移動するだけの理由では使用許可が下りないという。
また、道路・鉄道網が高度に発達している日本の国土事情では空路を選択する機会自体それほど多くなく、要人・賓客が空路で移動する場合でも民間の定期便やチャーター機を使用することがある。

関連:B777 B747-47C 政府専用機 エアフォースワン VC-25A シグナス(コールサイン) ボーイングビジネスジェット

運用体制

現在の機体の所属は航空支援集団特別航空輸送隊・第701飛行隊。根拠地は千歳基地
部隊の庁舎は基地側にあるが、本機の格納庫・専用スポット及び整備拠点は民間機用の空港である新千歳空港側にある。

乗員および整備員は全て航空自衛官から選抜されている。
一方、重整備・改装・国内の空港におけるグランドハンドリングは一部がANAホールディングス全日本空輸)に委託されている。

また、航空自衛隊B777の運用教則を保有していないため、以下の訓練項目についてはANAホールディングス全日本空輸)の関連会社に出向して受講している。

機長副機長
B777-300ER限定の事業用操縦士資格。
本機は自衛隊機であるため航空法の適用を除外されているが、実務上の理由から習得が求められる。
フライトアテンダント
要人の饗応などに際して必要となる、客室乗務員としての教育。
隊内でもロードマスターとしての教育が行われ、有資格者の中から客室乗務員として抜擢される。
航空整備士
B777限定の航空整備士資格。
操縦士と同様、本機は自衛隊機であるため航空法の適用を除外されているが、実務上の必要から習得が求められる。
また、部外の有資格者を技術空曹として入隊させている場合もある。
機上無線員(参考)
総務省が認定する航空無線通信士の資格。
航行に必要な管制上の通信は機長副操縦士が行うが、要人による政治的秘密通信では専任の通信士が必要とされる。
航空整備士と同様、部外の有資格者を技術空曹として入隊させている場合もある。

機体自体は2マンクルーだが、要人輸送という任務の性質上、偵察航法幹部機上無線員を搭乗させる場合がある。

本機による要人の輸送時、機体は基本的に2機一組で運用する。
基本的に1号機(80-1111)を主務機とするが、例外的に2号機(80-1112)が務める場合や、単機で運用される場合もある。
なお、副務機は目的地からの帰路、主務機が任務を果たせると判断した場合には羽田に立ち寄らず、直接千歳帰投することが多いという。

機内構成

コックピット
操縦系統は通常のB777と同じ2マンクルー操縦輪方式だが、偵察航法幹部機上無線員の席も用意されている。
軍用機として敵味方識別装置ミサイル接近警報装置・軍用規格の無線設備などを装備していると推定される(機密につき詳細非公開)。
なお、前世代のB-747-400にあった天測用ハッチは存在しないため、駐機中の国旗はコックピットの窓から出すことになっている。
運航要員区画
座席は全日本空輸の基準におけるエコノミークラス相当(推定)。機体の前部にあると推定される。
貴賓室等
配置は非公開だが、状況証拠からL2・R2ドア近辺に存在するものと推定される。
(L2・R2ドアの上部に日章旗が描画されており、また賓客はL2ドアから出入りしている。加えて、R2ドアは常時締め切られている)
会議室
6席。パーテーションで区切ることで2室に分けることができる。
事務室
ファクシミリやコピー機、ワークステーションなどが置かれているとみられるが、詳細は不明。
随行員区画
座席はビジネスクラス相当・21席。
一般区画
座席は全日本空輸の基準でプレミアムエコノミーに相当。全85席(通常)。
マスコミ関係者などの民間人が搭乗する際には運賃が請求される(エコノミークラス相当とされるが金額は非公開)。
ギャレー(数か所)
一般のエアライン向け旅客機と同様、機内食・ドリンクの準備などを行う。
食材は日本国内で調達するものと現地調達するものがあり、栄養ドリンクなども供される。
毒物混入の危険性についての対策も行われているものと推定されるが、安全対策の詳細は非公開。
貨物室(階下)
B-747-400と同様、任務・旅程に応じて必要な貨物が随時積み込まれる他、海外の寄港先で不具合が生じた場合に備えてスペアパーツ類が搭載されているという。

前任のB-747-400には座席ごとの娯楽設備はなかったが、本機の座席には、現代の国際線の旅客機相応の娯楽設備が設けられている。
また、機体上部には衛星通信アンテナを備え、飛行中でも機内Wi-Fiによるインターネットを通じた情報収集・発信が可能。

このことと機内スペースの関係上、先代のB-747-400に備えられていた「記者会見席」は廃止されている。

導入の経緯

日本政府は1992年以来、B747-400をベースとしたB-747-400(B747-47C)を政府専用機として用いていた。
しかし就航から20年以上の時間が経過した事により運用寿命が近づいてきた。

加えて、当時の日本国内にB747を重整備できる整備工場は2社(全日本空輸日本航空)しかなく、その両社がB747系列機の更新・退役を決定。
これによってB747-47Cの運航体制は維持できなくなると判断され、日本政府は2014年に後継機種の選定に着手した。

後継機種としては以下の三機種が選定の対象となった(機種名の後のカッコ書きはビジネス機仕様の型番)。

ボーイング B787BBJ 787
航続性能が高く、国内民間航空会社での運用実績もあったものの、兵員・避難民を輸送するにはペイロードが不十分。
加えて、新規の複合材を多用する設計、火災事故を続発させて耐空証明を失効させた前歴など、長期運用における信頼性に乏しい。
これらの理由から不採用。
エアバス A350-900ACJ350
2014年当時は国内での運用実績がなく、関連企業に運航支援を依頼できる状況になかった。
航空自衛隊エアバス旅客機を取り扱った経験がなく、運航体制の構築が著しく困難だった。
また、エアバス社自体も当時の日本国内での影響力が低く、対応遅延などの問題発生が予期された。
加えて、操縦系統が操縦輪ではなくサイドスティックであるため、パイロットの機種転換訓練に膨大な設備投資が必要となる。
以上の理由から不採用。
ボーイング B777-300ERBBJ 777(-300ERモデル)
上記二機種と比較して、ペイロード航続性能に優れ、また国内航空会社でも運用実績があって支援体制も整えやすい点が評価されて採択、B747-47Cと同数の2機を発注。
機体はBBJ 777(-300ERモデル)として2016年に完成し、スイスのバーゼルでVIP輸送機及び軍用機としての改装を受けた後に千歳基地回航された。
1号機「N509BJ(→80-1111)」の到着は2018年8月、2号機「N511BJ(→80-1112)」の到着は同年12月。

また、これと併せて、運航支援にあたる業者も公募。
B777-300ERで応募した二社が選定の対象となり、ANAホールディングスが採用された。

日本航空
B777を保守する設備・技術を喪いつつあるものと判断され、不採用。
当時、老朽化したB777B767の代替としてA350-900/-1000を導入する計画を持っていた。
(この計画は実際に推進され、2023年現在はB767B777からA350-900/-1000への更新が進んでいる)
ANAホールディングス
納期やサポート体制に関して日本航空に優ると判断され、採用。
当時、日本航空と同じ目的でB777系列の近代化モデル(B777-9)を導入する計画を持っていた。

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