Last-modified: 2020-11-15 (日) 12:12:14 (17d)

【B747-8】(びーななよんななだっしゅえいと)

Boeing 747-8.

ボーイング社が開発・生産・販売している超大型旅客機B747の最新の派生型。
旅客機型の「-8IC(インターコンチネンタル)」、貨物機型の「-8F(フレイター)」がある。
2009年11月に生産が開始され、2010年2月に貨物機型・-8Fの初号機が初飛行した*1

なお、ボーイングのジェット旅客機で、貨物型の方が先に初飛行したのは本型が初である。

機体は既存のB747-400を踏襲しているが、主翼の前後で胴体を5.7m延長して収容力を向上させている。

この改修はエアバスA380との競合を想定したものだが、実際の収容力A380よりも劣る*2

また、主翼の翼端にはレイクド・ウィングチップを装備。
エンジンも更新され、GE社製のGEnxターボファンを採用している。

とはいえ、原型機と同様にエンジン4基の多発機であり、この点は明白に旧態依然であった。

操縦系統はボーイングの伝統に従い、既存のB747-400と同じく操縦輪を採用。
B747-400の運用経験を持つ乗員整備士であれば短期の機種転換訓練で移行できる。

客室の内装にもB787の技術が流用され、当時最新の装備・デザインに更新されている。
ただし、機体設計や構造材は新調されておらず、B787と比べて耐湿性で著しく劣る。

日本では後述の通り、日本貨物航空が貨物型8機*3を運用しているが、旅客型の発注はない*4

評価

基本設計が古く、競合機種との比較劣位は当初から明らかで、大きな需要は望めない機体だった。
ことさら、エンジン4基の多発機である事自体、双発機が劇的に進歩した時代背景において致命的な旧弊だった。
実際、旅客機型のセールスは不調なまま推移、2017年を最後に受注が途絶え、事実上の生産終了に陥っている*5

その一方で、貨物機としては安定した需要を得てもいる。
これは旅客機ほど新奇性が求められない点と、競合機種A380貨物機としては生産されなかった事による。

しかし、それでも決して受注は好調とはいえず、現在は受注済みのオーダー消化のために月産0.5機のペースで生産が続けられている。
今後、新しく大きな受注がなければ生産終了となる可能性もある。

スペックデータ

タイプB747-8IB747-8F
乗員2名(機長副操縦士
座席数/貨物容量467席(3クラス構成)
581席(2クラス構成)
137.7t
貨物室容積176m³858m³
全長76.3m
全高19.4m
翼幅68.4m
翼面積554
主翼角37.5°
アスペクト比8.45
キャビン6.1m
運用空虚重量220.1t197.1t
最大離陸重量447.7t
最大ペイロード76.1t132.6t
燃料容量63,034 US gal/193.3t59,734 US gal/181.5t
エンジンジェネラル・エレクトリック GEnx-2B67?ターボファン×4基
推力296kN(66,500lbf))
最大運用制限速度マッハ0.9
(956km/h)
巡航速度マッハ0.86
(914km/h)
マッハ0.85
(903km/h)
最大航続距離14,320km7,630km
上昇限度13,100m


発注状況

2020年現在、本機は以下のオペレーターから受注を得ている。

航空会社747-8747-8F合計備考
ルフトハンザドイツ航空19機-19機旅客機仕様のローンチカスタマー
大韓航空10機7機17機旅客機*6貨物機の双方を導入。
貨物機はコリアンエアカーゴが運航。
中国国際航空(エア・チャイナ)7機-7機旅客機のみ。
カタール・アミリ・フライト1機-1機カタール空軍隷下。
旅客機王室専用機として2機発注。
1機は後にトルコ政府に売却。
ブルネイ政府1機-1機BBJ仕様。
モロッコ政府1機-1機モロッコ空軍が運用。
オマーン・ロイヤル・フライト1機-1機政府専用機として運用
クウェート航空1機-1機政府専用機として導入(機体記号9K-GAA)
トルコ政府1機-1機元カタール・アミリ・フライトの機体。
アメリカ国防総省
アメリカ空軍
2機*7-2機旅客機を「VC-25B」の名称で大統領専用機
として導入予定*8
エアフォースワンVC-25(B747-2G4B)
の代替。
社名非公表1機-1機旅客機型をビジネス機として運航している
ものと推定。
社名非公表-4機4機貨物機のみ。
UPS航空*9-16機16機貨物機のみ。
カーゴルックス航空-14機14機貨物機仕様のローンチカスタマー
キャセイ・パシフィック航空-14機14機貨物機仕様のローンチカスタマー
旅客機は導入せず。
エアブリッジ・カーゴ-12機12機貨物機のみ。
日本貨物航空-8機8機貨物機のみ*10
ポーラーエアカーゴ-6機6機貨物機のみ。
シルクウェイ・ウエスト航空-5機5機貨物機のみ。
アトラス航空-3機3機貨物機のみ*11
カタール航空カーゴ-2機2機貨物機のみ。
ヴォルガ・ドニエプル航空-6機6機貨物機のみ。
9機発注
サウディア・カーゴ-2機2機貨物機のみ。
グッゲンハイムアビエーション
パートナーズ
---貨物機のみ。
GEキャピタル・アビエーション・
サービス
(GECAS)
---貨物機のみ。
ドバイ・アエロスペース・
エンタープライズ
(DAE)
---貨物機のみ。


この他、「ボーイングビジネスジェット」のブランドで-8ICをベースとしたVIP輸送用の機体も販売されている。


*1 旅客機型の-8ICは2011年3月に初飛行した。
*2 それでも収容力はB777-300ERよりは大きい。
*3 この他、オプションとして6機を発注していたが、キャンセルされている。
*4 かつてB747を運用していた日本航空全日本空輸の両社とも、(運航コスト上の問題などから)本機の発注を見送ったため。
*5 旅客型の(事実上の)最終号機は大韓航空に引き渡された。
*6 うち1機は2021年度より政府専用機として運用予定。
*7 ロシアのトランスアエロ航空が発注していたが、同社の経営破綻によってボーイングで保管されている機体。
*8 なお、当初は新造機を3機導入する予定だった。
*9 アメリカ合衆国の貨物運送会社であるユナイテッド ・パーセル・サービス(UPS)の子会社(航空部門)。
*10 当初はカーゴルックス航空と共に貨物機型のローンチカスタマーになる予定だったが、直前にキャセイ・パシフィック航空に移譲。
*11 一時期はブリティッシュ・エアウェイズにリースされていた。

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