Last-modified: 2018-08-18 (土) 07:48:57 (3d)

【B747-47C】(びーななよんなな よんななしー)

ボーイングB747-400旅客機のうち、特に航空自衛隊が運用する日本政府専用機(カスタマーコード"7C")を指す型式番号。
ボーイング社内における規定であり、日本政府・航空自衛隊では通常通りB747-400と呼称している。

超大型旅客機B747-400の国際線仕様をベースに、貴賓室・会議室などが追加されている。
ただし、アメリカ空軍が運用する同様の機体であるE-4VC-25(共に200Bベース)と違い、空中給油には非対応である。
主として外国への公式訪問に使用される他、事変に際して自衛隊や在外邦人の緊急輸送を行う事も想定されている。

現在の所属は航空支援集団特別航空輸送隊・第701飛行隊。根拠地は千歳基地*1

乗務員は全て自衛官だが、航空自衛隊B747-400の運用教則を保有していない。
このため、乗員の教導・機体整備・グランドハンドリングなどは一部日本航空に委託されている*2
なお、日本航空からB747が退役した後は、機体関連資格の取得支援業務はB747Fを運航する日本貨物航空に引き継がれている*3

法令上、皇族・内閣総理大臣・国賓に類する賓客・衆議院議長・参議院議長・最高裁判所長官が利用してよい事となっている。
もっとも、日本国内の交通事情ではあえて政府専用の旅客機を手配するような公務は少なく、飛行回数は決して多くない。
用途はあくまで公務のみに限られており、単に要人が移動するからというだけの理由では使用許可が下りない*4

このため、導入当初は「宝の持ち腐れ」との批判もあったという。

B747-400が旧式化して民間各社が機体更新を行ったため、2018年現在、日本で運用されている最後の旅客型B747となっている*5
この事によって機体の保守管理が困難になったため*6、2018年度限りで用途廃棄される予定*7
後継機にはB777-300ERが充てられることとなっており*8、これに併せて、機体整備などの委託先も日本航空から全日本空輸に移る予定である*9

関連:エアフォースワン シグナス(コールサイン) VC-25

導入の経緯

本機は、日本政府が初めて導入した政府専用機である。

これ以前の公務海外旅行には、事実上のフラッグキャリアであった日本航空のチャーター便で対応していた。
しかし、1980年代のイラン・イラク戦争の際、イラン国内邦人保護に利用できる航空機が存在しなくなるというアクシデントが発生。
この醜態を受け、危地に送り込む事も想定した政府専用機が改めて必要となった。

このとき、特別機の派遣が日本航空に要請されたが、現地の乗入体制が整っておらず*10、また、イラク側が一方的にイラン上空を「飛行禁止区域」に設定したこともあって特別機の派遣ができなかった。
加えて、当時の自衛隊も海外展開を全く想定していない体制であったため、現地に派遣可能な機体は事実上存在しなくなってしまった。
結局のところ、件の邦人はトルコ政府が派遣したトルコ航空の特別機などにより救出されている。

1987年、ボーイング社と購入契約を締結して2機を発注、1991年に引き渡された。

当時の総理府は安全上の理由から3機の導入を望んでいた*11が、予算の都合から2機しか導入できなかった*12
なお、政府専用機にB747-400が選ばれた理由は、日本から北米大陸東岸・西ヨーロッパまで無着陸で飛べる航続距離を持っていることに加え、当時、世界的な問題になっていた日本の対外貿易黒字削減の一面もあったという*13

当初、本機は総理府(現:内閣府)の所有する民間機扱いだったが、翌1992年に航空自衛隊へ移管され、軍用機扱いとなって現在に至っている。

内装

「VIP専用機」としてかなりの改装が施されており、座席数は150席程度と言われている。
キャビンの構成は以下のようになっているという。

一階席
貴賓室
機首部にあるとされているが詳細は不明。公表されている資料にはこの部分についての記載がない。
秘書官室
11席。ビジネスクラス相当の座席になっている。
会議室
4席。改装して兵員・避難民向けの一般客室に変更可能といわれている。
事務室
2席。会議室と同様、必要に応じて改装して兵員・避難民向けの一般客室に変更可能といわれている。
随行員室
33席。秘書官室と同様ビジネスクラス相当の座席。
一般客室
89席(通常)。通常はプレミアムエコノミー相当の座席だが座席ごとの娯楽設備はない。マスコミなどの民間人に対しては運賃が請求される。
記者会見席
3席
二階席
コックピット
軍用機であるためIFF・軍用のUHF無線機*14などが追加。天井の天測用ハッチに器材を取り付けて国旗を立てることもできる。
操縦系統は2マンクルーだが、機長副操縦士に加えて偵察航法幹部が乗務して3名で運用される。
通信室
運航要員室
25席。
休憩室

*1 部隊の庁舎は基地側にあるが、格納庫・専用スポット及び整備拠点は新千歳空港側にある。
*2 日本航空はこのほか、本機のうち1機が整備で使用できない際の機材の提供も行っている。
*3 この点はアメリカのVC-25が、エビエーターの教導の一部を貨物専門航空会社であるアトラス航空に委託しているのと似ている。
*4 この点はアメリカのVC-25が「大統領のプライベートジェット」のように扱われていることと対照的である。
*5 B747-400の直接の後継モデルはB747-8だが、日本での同機は現在、貨物型が日本貨物航空で運用されているのみにとどまっている。
*6 B747シリーズ自体の運用は日本貨物航空が続けているが、同社にはB747の重整備を行える施設がない。
*7 引退後は保存される予定もあるというが、具体的な案はまだ決まっていない。
*8 候補にはB787A350XWBも挙がっていたが、(兵員・避難民の輸送も考慮した)ペイロードや運航面の問題などから脱落している。
*9 後継機には日本航空もB777-300ERを提案していたが、納期やサポート体制(日航はB777をA350XWBに交代させ、順次退役させる予定)の面から全日空の提案が選ばれた。
*10 日本航空は戦争前の1980年までイランへの定期便を就航させていたが、戦争勃発に伴い休止となり、現地駐在員も引き上げていた。
*11 そのことを見越してか、総理府は3機分のシリアル(JA8091〜JA8093)を予約していたが、使用されたのは2機分(JA8091・JA8092)のみだった。
*12 その後も防衛庁は予備機の導入を検討し続けていたが、ミサイル防衛に予算を取られて断念している。
*13 同じ頃、フランスからシュペルピューマが「政府専用ヘリコプター」として導入されたのもこれと同じ理由である。
*14 民間機は通信にVHFを用いている。

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