Last-modified: 2020-09-22 (火) 07:53:11 (3d)

【B747】(びーななよんなな)

Boeing 747.

1960年代後半にボーイング社が開発した大型旅客機通称ジャンボジェット」とも言う。
民間機に特別塗装を施すという流行の発信源であるため、代名詞も多数存在する*1

キャビンの一部を二階建てにした広胴機で、乗客定員は標準型で350〜450名前後であるが、改修次第でさらに増員可能だった。
航続距離も長大で、太平洋を無着陸横断できる史上初の旅客機*2として名声を博した。

関連:ジャンボジェット

開発の経緯

当初、本機はアメリカ空軍の次期大型戦略輸送機「C-19」として開発された。
しかし、コンペティションでロッキード社の案(後の「C-5」)に敗北し、民間機として再計画されることになった。

このため、輸送機としての設計の名残が随所に見受けられる。
例えば、一部が二階建てになっているキャビンのうち、一階部分は元々戦車などを搭載するための貨物室だった*3

当時のボーイング社は民間旅客機分野で遅れを取っていた*4ため、アメリカ合衆国のフラッグキャリアであったパンアメリカン航空(パンナム)と提携。
パンナム側の要請から「太平洋の無着陸横断」「高速大量輸送」をコンセプトとして再設計された。
この要求は当時の技術水準では無理難題であり、開発は紆余曲折を経て難航。
社運を賭けた一大プロジェクトとなり、一時期はボーイング社を倒産の危機に陥れた。

こうした経緯を経て誕生した同機は、ボーイングが誇る傑作機となり、同社に躍進をもたらした。
一方、運航デビューと同時期に第四次中東戦争が勃発し、その影響で燃料価格と運航コストが高騰。
また、多大なペイロードが災いし、増加した座席を埋めきれなくなった*5

ローンチカスタマーのパンナムは、空席による赤字運航を避けるため、格安の団体旅行運賃を設定して観光客にばら撒いた。
この価格破壊により、それまで富裕層だけのものだった航空旅行は一気に庶民に身近なものになった。

しかし、パンナムは旧来のビジネスモデルを破壊された衝撃から立ち直れず、徐々に経営状態が悪化し、最終的に1991年12月、倒産してしまった。
以降、現在に至るまでアメリカ合衆国にフラッグキャリアは不在である。

主なオペレーター(2020年8月現在)

航空会社747-100747-200747-300*6合計
アメリカ空軍*7-6機-6機
イラン空軍3機3機-6機
Geo-Sky-3機-3機
Fars Air Qeshm-2機-2機
Air Georgia-1機-1機
カスピアン航空-1機-1機
Fly Pro-1機-1機
イラン航空-1機-1機
ロールス・ロイス ノースアメリカ-1機-1機
The Cargo Airlines-1機-1機
サウジアラビア政府--1機1機
TransAVIAexport Airlines--1機1機

スペックデータ

タイプ747SP747-100747-200B747-300
乗員3名
機長副操縦士航空機関士
基本乗客数276名
(25F 57J 194Y)
366名
(32F 74J 260Y)
400名
(34F 76J 290Y)
貨物容量110立方メートル
(3,900cubic feet)
175立方メートル(6,190cubic feet)
LD1コンテナ×30個
全長56.3m70.66m
テール高さ19.9m19.3m
翼幅59.6m
キャビン608cm
主翼面積511
主翼角度37.5°
アスペクト比7
空虚重量152.9t172.1t170.1t174t
最大離陸重量320t333t378t
燃料容量190.63立方メートル
(50,359 US gal)
183.38立方メートル
(48,445 US gal)
204.36立方メートル
(53,985 US gal)
エンジンターボファン×4基
P&W JT9D-7?またはロールス・ロイス? RB211-524?またはGE CF6
推力206〜253kN193〜230kN206〜243.5kN206〜253kN
最高速度マッハ0.92
巡航速度-939km/h(最大巡航)
907km/h(経済巡航)
航続距離10,800km8,560km12,150km11,720km
離陸滑走距離2,820m3,250m3,300m

派生型のラインナップ

※ここでは、いわゆる「クラシックジャンボ」と呼ばれる型について述べる。
近代化型のB747-400及びB747-8系列の詳細については当該項目を参照のこと。

  • B747-100:
    基本型。

    • B747-100B:
      短距離型。

    • B747-100B/SUD:
      B747-300型のボディに-100型のエンジンを搭載したモデル。
      日本航空が発注した2機のみ生産。

    • B747SR
      日本の国内線向けに、短距離・高稼働率運航に特化されたモデル。-100型をベースとする。

    • SCA*8
      NASAスペースシャトル運搬用に購入・改装した2機の中古機。
      スペースシャトル計画の終了に伴って用途を失い、2012年2月8日に退役。

      • 1号機(機体記号N905NA):
        中古の-100型(機体記号N9668)をアメリカン航空から買い取って改装。
        退役後はヒューストン宇宙センターにてアトラクション用の実物大展示品として転用。

      • 2号機(機体記号N911NA):
        中古のB747SR機体記号JA8117*9)を日本航空から買い取って改装。
        退役後はカリフォルニア州のJoe Davies Heritage Airparkにて展示保存*10

    • C-19:
      アメリカ空軍戦略輸送機として提案された型。
      C-5に敗れて採用されず。

  • B747-200:
    機体構造強化型で、いわゆる「747クラシック」の標準型。

  • B747-300:
    従来型の2階席を延長したタイプ。

    • B747-300SR:
      2階席部分の客室が延ばされたタイプ。日本航空のみに導入。

  • B747SP
    胴体を大幅に短縮し、航続距離を延長したタイプ。少数のみ生産。

    • SOFIA*12
      NASAが運用する天体観測機。-SP型をベースに開発された。


*1 全日本空輸の「マリンジャンボ」など。
*2 無着陸で太平洋を横断する航路を設定できる旅客機は本機が史上初であった。
  これ以前にもB707ベースの改修機がカタログスペック上これを達成しているが、気象条件やペイロード上の制限から定期航路を設定できなかった。

*3 後年、この設計が貨物機として最適であることが判明し、現在でも超大型貨物機部門では市場独占状態にある。
*4 当時の主力商品・B707は、構造上胴体の延長や着陸脚の延長ができず、ライバルのダグラスDC-8に比べて販売は芳しくなかった。
*5 航空券は通常、発券から実際に搭乗するまでの間にキャンセルがある程度出ることを見越し、提供可能な座席数より多く発券されるのが普通であるが、本機の収容力はその「余剰分」まで埋めてしまうものだった。
*6 747-300FおよびCombiを含む。
*7 大統領専用機VC-25及び空中指揮機・E-4Bとして。
*8 Shuttle Carrier Aircraft.
*9 B747SRの第1号機でもあった。
*10 なお、機体の所有権はNASAに残されている。
*11 社内呼称は「B747-2G4B」。なお「G4」はアメリカ連邦政府をあらわす顧客コード。
*12 The Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy(遠赤外線天文学成層圏天文台)の略。

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