Last-modified: 2023-03-09 (木) 20:37:43 (267d)

【B-58】(びーごじゅうはち)

Convair B-58 "Hustler(ハスラー)".

1950年代、アメリカのコンソリデーテッド・ヴァルティ(コンベア)社が開発・生産していた超音速戦略爆撃機
アメリカ初の超音速戦略爆撃機であったが、後述する理由により、配備からわずか10年足らずで退役となった。

設計コンセプトは「ワルシャワ条約機構防空網を強行突破して核爆弾を投下するための爆撃機」。
1956年に試作機が初飛行、1960年から実戦配備が始められた。

機体構造はコンベア社が得意としていたデルタ翼エリアルールを採用した胴体を組み合わせ、構造材はハニカム構造を取り入れて徹底的に軽量化された。

当時のアメリカ空軍にはデルタ翼の練習機がなかったため、パイロット候補生の初期訓練のためにF-102「デルタ・ダガー」?戦闘機が別途用意された。

エンジンにはGE社製のJ79ターボジェットを4基搭載し、高度35,000フィート以上で連続2時間のアフターバーナー使用が可能であった。
その代償として燃費は劣悪で、航続距離は明らかに不足しており、想定されていた核攻撃任務において複数回の空中給油が必須となっていた。
また、膨大な燃料容積を確保するためにインテグラルタンクを採用しており、被弾時の生存性には大きな懸念があった。

当初は一般的な射出座席を備えていたが、超音速巡航中の脱出で死亡事故が発生したため、カプセル式脱出装置が新たに開発・搭載された。
カプセルは脱出後に備えて水や食料も搭載されており、シェルターとしての役目も果たしている。

機体内にウェポンベイは存在せず、自衛用機関砲を除く全兵装を外装式のポッド(爆弾倉兼増槽)に搭載している。
これにより、目標上空でポッドを投棄することによって身軽な帰還が可能になったほか、新しく開発された兵器もポッドにより搭載可能となっていた。

以上の意欲的設計は機体調達単価を高騰させ、整備も煩雑化。また、汎用性においても前世代のB-52に劣るものとなった。
折悪しく弾道ミサイルが実用化されて戦略爆撃機の存在意義が失われた事もあり、1970年までに全機が退役となった。

戦闘へ投入された経験はないが、1962年のキューバ危機の際にキューバ上空で偵察飛行を行っている。
ベトナム戦争では実戦投入が検討されたものの、生存性に対する懸念から棄却されている。

スペックデータ(B-58A)

乗員3名
全長29.51m
全高9.12m
翼幅17.3m
翼面積143.3
アスペクト比2.09
翼型root:NACA 0003.46
tip:NACA 0004.08
空虚重量25,202kg
総重量30,786kg
最大離陸重量80,236kg
零揚抗力係数0.0068
前面面積0.975
エンジンGE J79-GE-5Aアフターバーナー付きターボジェット×4基
エンジン推力46kN(10,400lbf)(ドライ
67kN(15,000lbf)(アフターバーナー使用時)
最高速度マッハ2
2,122km/h(高度12,000m)
巡航速度980km/h
航続距離7,600km
戦闘行動半径3,220km
上昇限度19,300m
上昇率88m/s(総重量時)
揚抗比11.3(亜音速クリーン時)
翼面荷重210kg/
推力重量比0.919
固定武装T171 20mm機関砲×1基
兵装最大兵装搭載量8,822kg
Mark.39 or B53核爆弾×1発またはB43 or B61核爆弾×4発
アビオニクスAN/APB-2爆撃レーダー
AN/APN-110ドップラー航法レーダー(AN/ASQ-42航法・爆撃システムの一部)
AN/APN-170 地形追従レーダー
AN/APR-12 レーダー警戒受信機

RB-58Aに装備:
AN/APQ-69側方監視機上レーダーポッド
AN/APS-73合成開口レーダーポッド


バリエーション

  • XB-58(2機):
    試作機。後に1機がTB-58Aに改造。

  • YB-58A(11機):
    前量産機。後に1機がNB-58Aに、5機がTB-58Aに改造。

  • B-58A(新造86機、RB-58Aから11機):
    量産型。

    • RB-58A(17機):
      偵察機型。実際にはテスト機として使用された。
      テスト終了後に11機が量産化改造されてB-58Aに、1機がTB-58Aに改造された。

    • TB-58A(8機):
      訓練機型。テスト機各型から改造。非武装。

    • NB-58A(YB-58Aから1機):
      試験機型。XB-70用のYJ93-GEエンジンのテストベッドとなった。
      後にTB-58Aに改造された。

  • B-58B:
    エンジンをJ79-GE-9に換装し、航続距離、速度、高度を改善した型。計画のみ。
    通常爆弾や空対地ミサイルの運用能力を追加する予定だった。

  • B-58C:
    XB-70の安価な代替機として提案された型。計画のみ。
    エンジンP&W J58?ターボジェット推力145kN(32,500lbf))に換装し、燃料搭載量を増加させた。

  • B-58D:
    迎撃機型。提案のみ。

  • B-58E:
    多数の空中発射弾道ミサイルを搭載したマルチミッションプラットフォーム
    提案のみ。

  • モデル58-9:
    B-58Cから派生した超音速旅客機SST)型。
    マッハ2以上で乗客数は52名を想定していた。
    計画のみで実機は製造されず。


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