Last-modified: 2021-09-10 (金) 07:29:04 (12d)

【B-52】(びーごじゅうに)

Boeing B-52 "Stratofortress(ストラトフォートレス)".

1950年代にボーイング社が開発し、アメリカ空軍で運用されている8発ジェット戦略爆撃機
初飛行は1952年に完成した原型機・YB-52である。

メガトン水爆を搭載する戦略爆撃機として開発され、F型までは水爆4発を搭載していた。
G型以降は核兵器以外にも通常の戦略爆撃に転用され、ベトナム戦争で猛威を振るった。
元々はSAM射程外からの高々度爆撃を前提としていたが、新型SAMの射程伸張に伴い、G型からは地形追随飛行が可能となっている。

後継のB-1B-2が配備されると第一線から退き、もっぱら巡航ミサイル母機・安全な地域での爆撃機としての役割を果たしている。
アフガニスタンやイラクでJDAMを搭載して近接航空支援を行った事例もある。

初期型のB-52Aを筆頭に、B〜Hまでの派生型があったが、このうちG型までは既に退役しており、現在就役しているのは最終量産型のH型のみ。
原型機の開発から70年、量産最終号機がロールアウトしてからでも60年近くが経過している*1が、目立った後継機種は現れていない。
近代化改修・予備役に退いた機体の復帰などの延命措置が行われ、2040年頃までは現役にとどまる予定となっている。

現代の航空戦ドクトリンマルチロールファイター無人機に比重が移っており、戦略爆撃機という概念自体が過去の遺物となりつつある。
設計コンセプトを継承した後継機種が現れる見込みがない*2ため、大量に調達された機体の運用寿命が尽きるまで使い潰される予定となっている。

スペックデータ(B-52H)

乗員6名(機長副操縦士レーダーナビゲーター航法士電子戦士官(EWO))
全長48.5m
全高12.4m
翼幅56.4m
主翼面積370
空虚重量83,250kg
運用時重量120,000kg
最大離陸重量220,000kg
最大兵装搭載量27,216kg
機体内燃料搭載量181,610リットル
零揚抗力係数0.0119(推定)
抗力面積4.42
アスペクト比8.56
エンジンP&W TF33-P-3/103?ターボファン×8基(推力75.6kN)
最大速度1,047km/h
巡航速度844km/h
戦闘行動半径7,210km
フェリー航続距離16,232km
実用上昇限度15,000m
海面上昇率31.85m/s
翼面荷重586kg/
推力重量比0.31
揚抗比21.5(推定)
固定武装M61A1 20mmバルカン砲×1門(尾部、現在は撤去)
兵装
空対地ミサイルAGM-69「SRAM」×20発
AGM-142「ハブナップ」?
AGM-154「JSOW」?
空対艦ミサイルAGM-84「ハープーン」
巡航ミサイルAGM-28「ハウンドドッグ」
AGM-86「ALCM/CALCM」?×20発
AGM-129「ACM」?
爆弾類Mk.82通常爆弾(胴体内28発、翼下18発)
GBU-31「JDAM」
CBU-103/-104/-105「WCMD*3
B61戦術核爆弾 など
その他ADR-8チャフロケット(1965〜1970)
AN/AAQ-28(V)「ライトニング」照準ポッド
AN/AAQ-33「スナイパー」照準ポッド
ADM-20「クエール」空中発射デコイ(1960年代〜1970年代?)


派生型

  • 量産型
    • B-52B(50機):
      エンジンとアビオニクスがアップグレードされた実戦配備型。
      うち27機は偵察ポッドの追加によりRB-52Bとして完成し、後に7機のB-52Bはサンフラワー(Sunflower)計画の下、B-52C仕様に改造された。

      • RB-52B:
        センサーまたはカメラポッドを搭載した偵察型。
        当初はXR-16Aの名称が予定されていた。

    • B-52C(35機):
      性能向上・搭載電子機器改良型。1956年3月に初飛行。
      元々はRB-52Cとして発注された機体であるが爆撃機型として完成した。
      翼下増槽により最大離陸重量と航続距離が増大した。

      • RB-52C:
        偵察機型。

    • B-52D(170機):
      偵察機能を削除した長距離爆撃特化型。1956年5月に初飛行。
      一部は通常爆弾が大量に搭載できるように改造され、ベトナム戦争に投入された。
      退役後は、キャッスル航空博物館をはじめ、多くの機体が展示保存されている。

    • B-52E(100機):
      低空侵攻用にアビオニクスと爆撃管制システムを改良した型。
      1957年10月に初飛行。

    • B-52F(89機):
      エンジンを水噴射装置付きのJ57-P-43Wに換装した型。
      1958年5月に初飛行。

    • B-52G(193機):
      低空長距離侵攻能力を強化した型。
      燃料搭載量の増加のための軽量化により機体構造を変更し、居住性を強化。
      また、垂直尾翼上端をカットしたほか、後部機銃席がリモコン銃座に変更されている。
      START Iの締結により、ほとんどの機体が廃棄された。

    • B-52H(102機):
      1960年7月に初飛行した現行型。
      エンジンをP&W TF33ターボファンに変更し、後部機関銃を12.7mm機関銃4門からM61A1 20mmバルカン砲1門に変更している*4
      一部の機体は高高度無人偵察機「D-21」の飛行試験に使用された。

    • B-52J:
      2018年時点で検討中の構想名で、H型の改修型。
      エンジンP&W TF33ターボファンから新型エンジンに変更するほか、アビオニクス、防御装置、センサー、射出座席などを更新する。

  • 試作機・実験機
    • XB-52(1機):
      1952年10月2日に初飛行した最初の原型機の呼称。
      地上試験中に損傷し、修理のためYB-52に遅れることとなった。

    • YB-52(1機):
      1952年4月15日に初飛行した2番目の原型機。
      操縦席はバブルキャノピーで、タンデム配置である。

    • B-52A(3機):
      最初の量産型とされるが、爆撃航法装備等を持たない実質的な追加試作機。
      各種フライトテストに使用された。

    • NB-52A(1機):
      B-52Aの最終号機(機体番号52-0003)を、高高度極超音速実験機「X-15」の試験支援機に改造した機体。
      X-15は専用のパイロンの他、エンジン2基を降ろして空けたエンジンパイロンに搭載された。
      時期によって塗装が異なる。

    • NB-52B(1機):
      RB-52B(機体番号52-0008)を改造した試験支援機。
      X-15」超音速実験機の搭載母機として調達された。
      複数のゼロが先行する機体番号を「ボールズ」と称するアメリカ空軍の慣例に従い、「ボールズ8」の愛称で呼ばれた。
      NASAの多数の技術試験プロジェクト*5に参加した後、2004年に退役した。
      退役後はエドワーズ空軍基地?の北ゲート近くに永久展示されている。

    • JB-52E(1機):
      B-52E(機体番号57-0119)の8基あるエンジンのうち、2基のみGE TF39?に換装した機体。

    • NB-52E(1機):
      E型(機体番号56-0632)を改造した機体。
      機首部にピトー管カナード翼が追加されている。
      カナード翼とLAMS(Load Alleviation and Mode Stabilization system)(CCV技術)の試験に用いた。

    • NB-52H:
      H型を基にしたNASAの試験支援機。2002年から運用。

    • EB-52SOJ:
      海軍及び海兵隊との統合部隊で運用していたEA-6Bの後継として開発された電子戦機型。開発中止。


*1 乗員の中には親子二代に渡って本機に搭乗した者もいたという。
*2 なお、現在、本機及びB-1B-2の後継として「B-21(仮称)」が開発されている。
*3 Wind Corrected Munitions Dispenser:風向修正弾薬ディスペンサー。
*4 現在は取り外されている。
*5 ペガサスロケット?の打ち上げや、「X-38」乗員帰還機(CRV)の投下実験、「ハイパーX」計画ための「X-43」無人試験機の発進実験など。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS