Last-modified: 2017-10-14 (土) 08:59:13 (64d)

【AH-1】(えーえいちわん)

Bell209(AH-1) Cobra(コブラ).

アメリカのベル社が1960年代に開発した、世界初の実用攻撃ヘリコプター
何度も近代化改修を繰り返されたため、バリエーションが非常に多い。

元々は同社製の汎用ヘリコプター・UH-1の改良計画として開発がはじめられた。
開発中に対地攻撃能力を要求されて大きく設計変更されたため、UH-1の面影はあまりない。

前面投影面積を抑えるために胴体幅を1m未満にまで細長く絞り、コックピットタンデム複座式となった。
武装は機首前方と胴体横のスタブ翼ハードポイントを設けて設置されている。
これらの特徴は、以降の攻撃ヘリコプターにも一般的な構成として定着している。

当初の運用者であったアメリカ陸軍では後継のAH-64に置換され退役済みであるが、アメリカ海兵隊では現在でも最新型のZ型が運用されている。
また、日本や韓国・イスラエルなどの同盟・友好国軍でも用いられている。

開発の経緯

開発が始まった1960年代当時、アメリカはベトナム戦争の渦中にあった。
当時のベトナムは、道路も鉄道もほとんど未整備であり、機械化部隊の投入が困難であった。
このため、アメリカ陸軍は機動力の不備を補うためにヘリボーン戦術を採用。
無防備な輸送ヘリコプターを護衛するための火力支援機が必要になった。

当初、この要求はUH-1などの汎用機に機関銃ロケット弾を搭載した「ガンシップ」という機体で賄われた。
しかし、速成のガンシップには運用上大きな問題*1があり、改めて専用の攻撃ヘリコプターが必要となった。

1960年代半ば、アメリカ陸軍は「AAFSS(新型空中火力支援システム)」という名称で攻撃ヘリコプターの開発を決定。
競争試作の呼びかけに応じたロッキード社の案がAH-56「シャイアン」として一度は制式採用された。
しかし、AH-56はメーカーの技術的未成熟*2などに由来する金の壁から実用化が頓挫してしまったため、陸軍はインドシナ戦線に即時投入できる機体の競争試作を改めて実施。
この競争試作でベル社のモデル209が制式採用され*3、「AH-1 コブラ」と命名された。

当初、本機はAH-56が配備されるまでの一時的な代替機として配備されていた。
しかし、AH-56の実用化が断念されたため、現代に至るまで長きに渡って使われ続けている。

ah1.JPG

AH-1S(JGSDF)

運用国

スペックデータ

タイプAH-1GAH-1S
乗員2名(前席:射撃手、後席:操縦士
全長16.18m17.44m
胴体長13.4m13.59m
全高4.1m4.19m
主ローター直径13.4m13.41m
回転円盤面積141.2
自重2,754kg3,076kg
最大離陸重量4,309kg4,536kg
エンジンターボシャフト×1基
ライカミング T53-L-13ライカミング T53-K-703
エンジン出力
(最大/連続)
1.400shp/1,100shp1.800shp/1,485shp
速度
(超過禁止/巡航)
M0.26
(352km/h)
M0.26/M0.19
(315km/h / 228km/h)
海面上昇率494m/min
実用上昇限度3,475m3,960m
ホバリング高度限界3,720m(IGE)
航続距離-456km
固定武装M134 7.62mm機関銃×1門
または
M129 40mmグレネードランチャー×2門
M197 20mmガトリング砲×1門
兵装M200 ハイドラ70ロケット弾ポッド×2基
(ロケット弾19発)
BGM-71「TOW」対戦車ミサイル×最大8発
JM261 ハイドラ70ロケット弾ポッド×2基
ロケット弾19発)等


タイプAH-1WAH-1Z
乗員2名(前席:射撃手、後席:操縦士
全長17.68m17.8m
胴体長13.87m
全高4.44m4.37m
主ローター直径14.63m14.6m
回転円盤面積168.1
空虚重量4,953kg5,580kg
最大離陸重量6,690kg8,390kg
エンジンターボシャフト×1基
GE T700-GE-401GE T700-GE-401C
推力1,285kW1,340kW
超過禁止速度190kt221kt
最大速度
(水平/巡航)
152kt/150kt-/160kt
上昇率-582m/min
実用上昇限度4,270m6,100m+
ホバリング高度限界3,720m(IGE)
航続距離280nm
(機内燃料のみ)
685km
固定武装M197 20mmガトリング砲×1門
(装弾数750発)
兵装AIM-9「サイドワインダー」AAM
AIM-92「スティンガー」AAM
BGM-71「TOW」ATM
AGM-114「ヘルファイア」ATM
ハイドラ70ロケット弾ポッド
ATAS
AIM-9×最大6発
BGM-71「TOW」
AGM-114「ヘルファイア」×最大16発(両翼合計)
AGM-65「マーベリック」
AGM-122「サイドアーム」ARM
CBU-55 FAE 燃料気化爆弾
焼夷弾
77/100/230ガロン燃料タンク×最大4基
M260ロケット弾ポッド×最大4基
(ハイドラ70FEAR×19発)
127mmズーニーロケットランチャー

バリエーション(陸軍型)

  • ベル209:
    AH-1Gの原型機。
    エンジンやトランスミッションなどはUH-1から流用している。
    また、民間向けとして販売された機体(森林警備用として販売)にもこの型番が使われている。

  • AH-1G"HueyCobra(ヒューイコブラ)"*4
    初期型。ベトナム戦争における対ゲリラ戦闘に対応した兵装が搭載されていた。

  • YAH-Q:
    Q型の試作機。

    • AH-1Q:
      旧東側(ワルシャワ条約機構)各国軍(ソ連軍・東ドイツ軍など)との対戦車戦闘向けに改修された型。
      TOW対戦車ミサイルの運用能力を有し、機関砲をターレット状に変更している。

    • YAH-1S:
      S型の試作機。Q型ベース。
  • YAH-1R:
    G型にS型のエンジン(T53-L-703)を搭載したテストベッド機。

  • AH-1S:
    Q型の改良型。
    機体重量増加による運動性能の低下を補うために、エンジンやトランスミッションが強化された。
    また、風防形状の変更や搭載機器の改良等の改修が行われた。
    新規生産のほか、一部のG/Q型が改修された。

    • AH-1P:
      S型の量産型。キャノピーと計器を改善した。
      旧称「量産型AH-1S」。

    • AH-1E:
      機関砲照準器?ターレットに装着して射撃能力を向上させた型。
      旧称「アップガンAH-1S」。

    • AH-1F:
      近代化改修型。
      赤外線抑制装置?の追加やレーザー測距器?火器管制装置を搭載し、隠密性の向上などを施した。
      旧称「近代化AH-1S」。

      • AH-1F C-NITE:
        F型に暗視照準器を追加した夜間戦闘対応型。
        通称「コブラナイト」。

  • AH-1S(陸上自衛隊仕様):
    富士重工業でのライセンス生産モデル。
    実質的にはAH-1EまたはAH-1F C-NITEに相当する。
    武装をM197 三砲身20mmガトリング砲TOW対戦車ミサイル・JM261ハイドラ70 2.75inロケット弾ポッドに置換。

    • TH-1S:
      S型をAH-64の操縦士訓練用に改修した練習機型。

  • YAH-63:
    ローターブレードを4枚化するなどした発展型試作機。AH-64に破れ不採用。

  • QAH-1:
    アメリカとカナダが共同開発した無人機モデル。

  • ベル309"KingCobra(キングコブラ)":
    AH-1の実験機。エンジンはT-55-L-7Cを搭載。

バリエーション(海兵隊型)


*1 これらの詳細については攻撃ヘリコプターの項も参照のこと。
*2 それまでロッキード社は、実用ヘリコプターを開発・生産した経験がなかったという。
*3 本機の他、シコルスキーS-61、カマンUH-2ボーイング・バートルACH-47、パイアセッキ16H「パスファインダー」の4機種が候補に上がっていた。
*4 これまで米陸軍の制式採用ヘリには、大陸原住民の種族名が愛称として採用されていたが、本機ではこの慣例が破られた。

添付ファイル: fileah1.JPG 1549件 [詳細]

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