Last-modified: 2023-02-14 (火) 13:11:36 (114d)
【AAV7】 †
Assault Amphibious Vehicle,personnel. model7(水陸両用強襲輸送車7型)
アメリカ合衆国で開発された、水陸両用車としての能力を持つ装甲兵員輸送車。
公式の愛称はないが、アメリカ海兵隊では水陸両用装甲車に用いる伝統的な名称である「アムトラック(Amtrak)」の愛称で呼ばれている。
もともとは1960年代、海兵隊の上陸強襲作戦用車両「LVTP-7*1」として開発されたが、実戦投入された湾岸戦争やイラク戦争では、陸上にて通常の装甲兵員輸送車・歩兵戦闘車として用いられることが多かった。
そのため、対戦車ミサイル対策として増加装甲キットが開発され装備されている。
日本でも25大綱にて編制された事実上の海兵隊である「水陸機動団」の装備として採用されている。
陸自独自の仕様として航海灯(戦闘時は外す)とサイレンを装備し、オプションとしてサイドミラー付き方向指示器も用意されている。
なお、2017年6月2日の改正自衛隊法の公布にて、「船舶法などの適用除外」を定めた第109条・第110条が改正され、陸上自衛隊の使用する船舶(水陸両用車両を含む)が「船舶法」・「小型船舶の登録等に関する法律」の対象外となったほか、これに乗船して操縦に従事する隊員が「船舶職員及び小型船舶操縦者法」の対象外となった。
なお、本車の後継としてEFV(Expeditionary Fighting Vehicle:遠征戦闘車)が開発されていたが、2011年にキャンセルされている。
スペックデータ †
タイプ | AAV7 | AAV7A1 |
乗員 | 3名 | |
搭載量 | 兵員25名または貨物4.5t | |
全長 | 7.944m | 8.161m |
全高 | 3.264m | 3.315m |
全幅 | 3.269m | |
全備重量 | 22.839t | 25.652t |
エンジン | 液冷ターボチャージドディーゼル | |
デトロイト・ディーゼル8V-53T 2ストロークV型8気筒 (出力400hp) | カミンズ VT400 4ストロークV型8気筒 (出力525hp) | |
速度 | 72.42km/h(地上整地時) 13km/h(水上航行時) | |
行動距離 | 483km(地上整地時) 72km(水上航行時) 3.7kn/2海里(海上発進時) | |
武装 | M85 12.7mm重機関銃×1挺(弾数400発) | Mk.19 40mm自動擲弾銃×1基 ブローニングM2 12.7mm重機関銃×1挺 |
装甲 | 7.4〜44.45mm |
バリエーション †
- LVTX12:
計画・開発時の総称。
- LVTP7(AAV7):
兵員輸送車型の量産型。
- LVTC7(AAVC7):
指揮車輌型。銃塔は装備されず、通常のハッチになっている。
- LVTC7A1(AAVC7A1):
LVTP7A1に準じた近代化改修を施した指揮車両型。
LVTC7からの改修車両に加え、生産当初から改修点を盛り込んだ新造車両がある。
- AAVC7A1 EAAK:
指揮車両型に増加装甲キット(EAAK)を装着したタイプ。
- AAVC7A1 RAM/RS:
指揮車輌型に第二次改装(RAM/RS)を施したタイプ。
- AAVC7A1 RAM/RS EAAK:
指揮車輌型に第二次改修(RAM/RS)を実施し、増加装甲キット(EAAK)を装着したタイプ。
- AAVC7A1 EAAK:
- LVTC7A1(AAVC7A1):
- LVTR7(AAVR7):
ブーム式クレーンとウインチを装備した回収車型。
銃塔は装備されず、通常のハッチになっている。
- LVTR7A1(AAVR7A1):
LVTP7A1に準じた近代化改修を施した回収車型。
LVTR7からの改修車両に加え、生産当初から改修点を盛り込んだ新造車両がある。
- AAVR7A1 RAM/RS:
回収車型のAAVR7A1に第二次改修(RAM/RS)を実施したタイプ。
(なお、回収車型のAAVR7A1にEAAKを装着する改修は、2015年時点まで実施された例は無い。)
- LVTR7A1(AAVR7A1):
- LVTP7A1(MCSK*5搭載型):
不採用に終わったLVTE7の代用として、兵員輸送車型の兵員室部分にMK.154 LMC*6を搭載した地雷原除去車。
- AAV7 SU:
セラミック製の装甲防御力向上パッケージ装着型。
2010年頃より開発が行われ、2016年に公開された。
- LVTE7(LVTE2):
車体前面にドーザープレート、兵員室に地雷原突破用の爆索投射装置を装備した戦闘工兵車型。
試作車のみで量産はなされなかった。
- LVTEX3:
LVTE7の試作車を転用した火力支援車型の試作車輛。
主砲を105mm低反動砲に換装したM551「シェリダン」?空挺戦車の砲塔を搭載した。
制式採用はなされず、1両のみが製作されたに留まった。
- LVTH7:
火力支援車型。105mm榴弾砲装備の砲塔を搭載した。計画のみ。
- LVTP7 MTU*7:
1975年、アメリカ陸軍の計画した対空レーザー兵器(GAAHEL*8)のテストベッド車両に改造されたもの。
兵員室部分にガスタービン発電機と冷却装置、及びレーザー装置を搭載し、30キロワットの出力の炭酸ガスレーザーを照射できた。
海兵隊より陸軍に譲渡された車両が改造されて、レッドストーン兵器廠?において各種の実験に用いられた。
実験終了後、装置はNASAに移管されている。
- AAVP7A1 CATFAE:
兵員室に燃料気化爆弾弾頭の地雷処理用ロケット弾発射装置(CATFAE*9)を搭載した地雷処理車両型。
ロケット弾発射装置は横3列と4列のものを各3基、計21基を搭載し、兵員室部分以外は兵員輸送型と同一である。
テストのみで制式採用はなされなかった。
*1 Landing Vehicle, Tracked, Personnel-7の略。
*2 Up-Gunned Weapon Stationの略。
*3 Enhanced Applique Armor Kits(強化型増着装甲キット)の略。
*4 Reliability, Availability, Maintainability/Rebuild to Standard の略。
*5 Mine Clearance System Kits(追加型地雷除去装置)の略。
*6 Launcher, Mine Clearance.
*7 Mobile Test Unitの略。
*8 Ground-based AntiAircraft? High Energy Laser(地上設置対航空機高エネルギーレーザー)の略。
*9 Catapult Launched Fuel-Air Explosive (Land Mine Countermeasure).