【AA-13】 †
ロシアのヴィーンペル設計局が開発した長射程空対空ミサイル。
NATOコードではAA-X-13(R-37)またはAA-13「アロー」(R-37M)、ロシアではR-37と呼ばれる。
開発名称はIzdeliye 610(イズジェリェ-610)。
このミサイルは、MiG-31M「フォックスハウンド」の次期主力武装として同じ長射程*1AAMのR-33(AA-9「エイモス」)空対空ミサイルをベースに開発された。
設計は1980年代初頭より始められ、1989年に最初のテストが行われた。
しかし、経済の混乱に伴う予算不足から1998年にいったん開発中止となったが、2006年になってMiG-31BM用として開発が再開している。
本ミサイルは、R-33の終末誘導にアクティブレーダー誘導を追加した改良型で、誘導はアガト9B-1388ホーミング装置を使用する。
MiG-31やSu-35等の機体から発射された後は指令更新付慣性(慣性+データリンク誘導)で目標を追尾、中間誘導でセミアクティブレーダー誘導に切り替わり、終端誘導は自立誘導型アクティブレーダー誘導で目標を撃墜する。
ミサイルは撃ちっ放し能力を持つため、指令・慣性誘導の必要ない射程(約75km)であれば発射母機は戦闘空域から離脱できる。
また、ミサイルを発射後に誘導することも可能である。
重量はアメリカ軍のAIM-54「フェニックス」長射程AAMよりも150kgも重く、全長も14cm長い。
また、射程の方はAIM-54を上回る300kmと言われている。
機動性能はR-77「アッダー」に匹敵し、戦闘機に対して攻撃する能力も有る。
主な用途として爆撃機の迎撃や、(AWACSから数百km離れた場所を巡回するHAVCAPが存在するため現実的かどうかは別にして)AWACSを護衛機の手が届かない遠距離から撃ち落すのが目的だと思われる。
主な搭載機としてはMiG-31やSu-35が搭載できる。
Su-35は不明だが、MiG-31ではM/BM型が搭載でき、R-37×6発・R-77×4発の迎撃兵装を搭載できる。
この型では前脚扉の形状が変更され、中央線上に配置されるミサイルのフェアリングとなっている。
また、Su-57やSu-27、Su-35(初代)、Su-37、Su-47?にも搭載できるとされる。
性能諸元 †
用途 | 長距離空対空戦闘 |
全長 | 4.06m |
直径 | 38cm |
全幅 | 72cm |
発射重量 | 600kg |
射程 | 150〜398km(R-37) 200km/300km〜400km(ブースター装備時)(R-37M) |
射高 | 15〜25,000m |
速度 | マッハ6 |
推進方式 | 固体推進ロケットモーター |
弾頭 | HE 破片効果弾頭(60kg) |
信管? | アクティブレーダー+接触 |
誘導方式 | 指令更新付慣性誘導(慣性+データリンク) セミアクティブレーダーホーミング(SARH)(中間誘導) アクティブレーダーホーミング(ARH)(終末誘導) |
目標捜索装置 | 9B-1388(R-37) 9B-1103M-350(R-37M) |
発射プラットフォーム | MiG-31M/BM、Su-30、Su-35、Su-57 |
バリエーション †
- R-37:
基本型。
試験用として何基かが製造されたが前述の理由から量産されず。
- R-37M(RVV-BD):
R-37として初めて量産された形式。開発名称はIzdeliye 610M(イズジェリェ-610M)。
投棄式のロケットブースターを装着して射程の延伸が図られている。
また、Su-35やSu-57等と兵装を統合するための改良を施されているという。
- R-37ME:
輸出型。開発名称はIzdeliye 620(イズジェリェ-620)。
- R-37ME:
- RVV-BD-UD:
整備などの訓練用モデル。
- RVV-BD-STR:
弾頭を装備しない戦闘訓練用モデル。
- RVV-SD-SD:
整備訓練用モデル。
- RVV-BD-GM:
飛行研究型。
- Izdeliye 810:
現在開発中のR-37Mベースの改良型。
PAK FAのウェポンベイに搭載できるよう中央の翼を除去するなどした。