Last-modified: 2023-08-11 (金) 10:08:13 (50d)
【A350】 †
Airbus A350.
2004年12月10日にエアバス社が開発を発表した大型双発ジェット旅客機。
当初、ボーイング社製のB787に対抗しうる中型機として、A330をベースに開発することとなっていたが、ユーザーから「これではA330の焼き直しに過ぎない」という批判があり、B787に比して受注が伸び悩むこととなった。
その後、エアバス社は当初の設計を大幅に改め、大型の機体とした「A350XWB*1」を発表。
2013年5月に試作初号機がロールアウトし、ローンチカスタマーとなるカタール航空には2014年12月に量産1号機が引き渡されている。
日本では日本航空が「老朽化したB767及びB777の代替」として31機を発注(他25機をオプション)しており、2019年度から就航した*2。
これ以前の2014年、日本国政府専用機(初代)・B-747-400の後継機候補にも挙がっていたが「日本とアメリカとの同盟関係」や「エアバス社と日本との接点*4」「運航支援体制の確立が困難*5」「トータルコストが高くなる*6」などの理由でB777-300ERに敗れている。
主なオペレーター(2023年7月現在) †
国名 | オペレーター名 | A350-900 | A350-1000 | 合計 |
ロシア | アエロフロート・ロシア航空 | 7機 | 7機 | |
グアドループ | エア・カライベス | 3機 | 1機 | 4機 |
中国 | 中国国際航空 (エア・チャイナ) | 10機 | 10機 | |
中国東方航空 | 7機 | 7機 | ||
中国南方航空 | 6機 | 6機 | ||
海南航空 | 2機 | 2機 | ||
四川航空 | 4機 | 4機 | ||
フランス | エールフランス | 5機 | 5機 | |
フレンチ・ビー | 3機 | 3機 | ||
モーリシャス | モーリシャス航空 | 2機 | 2機 | |
韓国 | アシアナ航空 | 11機 | 11機 | |
イギリス | ブリティッシュ・エアウェイズ | 6機 | 6機 | |
ヴァージン・アトランティック航空 | 4機 | 4機 | ||
香港 | キャセイパシフィック航空 | 24機 | 12機 | 36機 |
香港航空 | 2機 | 2機 | ||
中華民国 | チャイナエアライン (中華航空) | 14機 | 14機 | |
アメリカ | デルタ航空 | 9機 | 9機 | |
エチオピア | エチオピア航空 | 14機 | 14機 | |
スペイン | エベロップ航空 | 2機 | 2機 | |
イベリア航空 | 6機 | 6機 | ||
フィジー | フィジー・エアウェイズ | 2機 | 2機 | |
フィンランド | フィンエアー (フィンランド航空) | 15機 | 15機 | |
日本 | 日本航空 | 16機 | 16機 | |
ブラジル | LATAM ブラジル (元 TAM航空) | 10機 | 10機 | |
ドイツ | ルフトハンザドイツ航空 | 16機 | 16機 | |
ドイツ空軍*7 | 3機 | 3機 | ||
マレーシア | マレーシア航空 | 6機 | 6機 | |
フィリピン | フィリピン航空 | 6機 | 6機 | |
カタール | カタール航空 | 39機 | 15機 | 54機 |
スカンジナビア | スカンジナビア航空 | 3機 | 3機 | |
シンガポール | シンガポール航空 | 48機 | 48機 | |
タイ | タイ国際航空 | 12機 | 12機 | |
ベトナム | ベトナム航空 | 14機 | 14機 |
スペックデータ †
タイプ | A350-800 | A350-900 | A350-900R | A350-900F | A350-1000 |
乗員 | 2名(機長・副機長) | ||||
乗客数 (3クラス/2クラス) | 270名/312名 | 314名/366名 | 310名/- | - | 350名/412名 |
貨物搭載量 | - | 90t | - | ||
全長 | 60.7m | 67.0m | 74.0m | ||
全高 | 16.9m | ||||
胴体幅 | 596cm | ||||
キャビン幅 | 559cm | ||||
最大離陸重量 | 248t | 268t | 298t | ||
最大燃料搭載量 | 129,000L | 141,000L | - | 156,000L | |
エンジン | ロールス・ロイス トレントXWBターボファン×2基 | ||||
エンジン推力 | 74,000lb | 83,000lb | 92,000lb | ||
就航速度 | M0.85 | ||||
航続距離 | 15,400km | 15,000km | 17,600km | 9,250km | 14,800km |
A350の派生型 †
- A350-800:
基本の短胴型。2016年5月計画中止*8。
3クラスで270座席、航続距離15,400km。
- A350-900:
標準胴体型。
3クラスで314座席、航続距離15,000km。
- A350-900R:
A350-900の航続距離延長型。
想定航続距離17,600km。
- A350-900ULR:
シンガポール航空の要請により開発された、シンガポール〜北米間直行運航可能な超長距離路線仕様機。
想定航続距離17,964km。
- A350-900F:
A350-900の貨物機型。貨物搭載量90t。
- A350-900R:
- A350-1000:
A350-900の胴体延長型。
3クラスで350座席、航続距離14,800km。
- ACJ350 XWB:
プライベートジェット機仕様。
航続距離は20,550kmで、25人の搭乗で22時間以上飛行可能とされ、2019年にドイツが政府専用機として3機発注している。
*1 Extra wide Bodyの略。
*2 一方、全日本空輸は同目的でB777-9の導入を計画している。
*3 これ以前に日本エアシステムから引き継いでいたA300は操縦系統に操縦輪を用いていた。
*4 当時、全日本空輸やスターフライヤー・ピーチ・アビエーション・バニラエア及びエアアジア・ジャパン(2代目)にA320を、スカイマークにA330を導入していたが、フラッグキャリアの日本航空には機材を納入していなかった(かつて同社で運用されていたA300は日本エアシステムからの承継)。
*5 日本航空が本機を発注したのはこの後であった。
*6 B-747-400の操縦輪方式からサイドスティック方式への転換にコストがかかる、など。
*7 政府専用機として運用。なお、航空会社以外での運用は同空軍が初となった。
*8 A330の派生型A330-900neoと機体規模が重複するため。