Last-modified: 2023-04-30 (日) 12:04:15 (145d)
【93式空対艦誘導弾】 †
ASM-1(80式空対艦誘導弾)の発展型として開発された国産の空対艦ミサイル。
通称「ASM-2」。
航空自衛隊のF-2支援戦闘機などを発射母機として運用される。
ASM-1開発当時からの技術進化に合わせて改良が加えられ、動力に88式地対艦誘導弾で実用化されたTJM2ターボジェットエンジン(推力260kgf(2,550N))を搭載することにより、ASM-1の3倍以上の射程を有する。
また、誘導方式を慣性誘導(中間誘導)と赤外線画像誘導(終端誘導)との組み合わせとすることによって、敵側のECMを無効にし、個艦識別能力と命中点選択機能を獲得している。
弾頭はASM-1同様にPBX系炸薬を使用した徹甲榴弾であるが、ASM-1と異なり、新たに焼夷剤が付与されている。
現在では、弾頭部にGPS誘導装置を設置して地上の固定目標を狙えるようになったASM-2Bの配備が進んでいる。
これによって、ASM-2は対艦攻撃から対地攻撃までできるオールマイティなミサイルになったといえる。
そのほかステルス翼が存在しており、ステルス翼を装着することにより残存性を向上させることもできる。
改良の一環として慣性航法装置へリングレーザージャイロを追加して誘導精度を高める試みがなされているほか、データリンク装置を追加してさらなる誘導精度の向上と目標選択能力を高めたASM-2D/Lの開発が三菱重工より提案されている。
スペックデータ †
全長 | 3,980mm |
直径 | 350mm |
主翼幅 | 1,190mm/940mm(翼取り付け根部) |
操舵幅 | 905mm/215mm(翼取り付け根部) |
全備時重心位置質量 (誘導装置先端から) | 2,230mm(金属翼) 2,102mm(ステルス翼) |
全備重量 | 528kg(金属翼) 532kg(ステルス翼) |
エンジン | TJM2ターボジェット |
最大射程 | 170km以上 |
信管 | 着発延期信管 |
弾頭 | 焼夷剤付徹甲榴弾(PBX系炸薬を使用) |
シーカー | 赤外線画像シーカー |
誘導方式 | 慣性誘導(中間誘導)/赤外線画像誘導(終端誘導) |
派生型 †
- 93式空対艦誘導弾(B)(ASM-2B):
慣性装置のセンサーを機械式ジャイロから光学式ジャイロに、オートパイロット電子装置をアナログ式からデジタル式に変更し、中間誘導用にGPS誘導方式を追加して誘導精度を高めた改良型。
- 93式空対艦誘導弾(B)改善弾:
慣性装置とオートパイロット電子装置のソフトウェアの更新やIRCCM?能力の向上が図られた型。
- 巡航ミサイル型標的:
シーカーと弾頭の代わりに射撃評価装置(MDI)を装備したもの。
MDI用の送受信アンテナとデータ送信用のテレメーターアンテナが新たに追加されている。
XAAM-4及びAAM-4(B)の低空目標・小型目標対処能力を確認するための実射試験に超低高度用標的として使用された。